お笑いの街、なんばの「千とせ」に名物・肉吸いを食べに
その由来からして大阪的、「吉本新喜劇」そのものの「肉吸い」。肉うどんの「うどんはナシ」。つまり肉やネギ入りのダシだけを飲む「吸い物」ということで「肉吸い」と呼ばれるようになった。場所柄、この名物「肉吸い」を食べに行くことは、どっぷり「お笑いの街」に浸るということ。気分は陽気そのもの。

「千とせ」の肉吸い物語

その証左に店の入口の上には「うどん そば」と大書され、店内のメニューは「かけうどん三五〇(円)」から始まっている。

「肉吸い」はもともと「肉うどん」である。その肉うどんは、今もこの「千とせ」の人気メニューだ。
もう20年以上も前、吉本芸人の花紀京が来た。
この店は、大阪を代表するお笑いの舞台「なんば花月劇場(現なんばグランド花月)」や、隣接する吉本興業本社社屋から歩いて1分。だから多くの芸人が、出番の合間や昼ご飯などにしょっちゅう来ていた。



店主はにっこり、それに応えて出した。
このきっかけで、「肉吸い」はどんどん人気メニューになった。
この話は大阪では結構、知られている話だ。
しかし、そば屋で「天ぷらそば、台抜き」はある店が多いが、「肉吸い」は関西広しといえどもあまり耳にしない。






吉本芸人に加え、そんな近所の店舗の店主や従業員もご用達の店だけあって、いつも客がびっしりの店内は、まるで吉本新喜劇の1シーンのように大阪弁が飛び交う。


呪文のようにそう言って、肉吸い(650円)とセットで「小玉」つまり、ご飯小(160円)と生卵(50円)を注文する客が多い。


肉吸いをずずっと細かく切られた肉やネギごとすすり、卵かけご飯を食べる。するとまたダシが飲みたくなる。
そのおいしさは、しみじみと下町の味がする。
うどんにしろ鍋料理にしろ、大阪の食は「ダシ文化」と言われているが、その一つのユニークさではナンバーワンが、「千とせ」の「肉吸い」ではないだろうか。
朝10時半から昼2時半までの営業というのも、これまたユニークというか…。

千とせ 本店
大阪府大阪市中央区難波千日前8-1
[営業時間]10:30~14:30(売り切れ次第閉店)
[定休日]火曜
06-6633-6861

江弘毅
編集者。京阪神エルマガジン社時代に雑誌『ミーツ・リージョナル』を立ち上げ、12年間編集長を務める。著書『街場の大阪論』(新潮文庫)、 『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)、『飲み食い世界一の大阪』(ミシマ社)など、主に大阪の街や食についての著書多数。最新刊は7月15日発売の『濃い味、うす味、街のあじ。』(140B)。編集出版集団 140B取締役編集責任者。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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