グラン・シノワ「神仙閣」。円卓を囲み、極上の北京料理を心ゆくまで
日本の北京料理店を代表する神戸の「神仙閣(しんせんかく)」。創業昭和9(1934)年。中国の要人や在神戸華僑の宴会に、必ずといっていいほど使われる名店だ。北京料理は宮廷料理にルーツがあるため、4人以上で円卓を囲み贅沢なコースを味わうのが醍醐味。

他店が真似できない、
さすがのオードブルとフカヒレの姿煮込み

来日する中国の要人や華僑の大物たちのフォーマル・ディナーはもちろん、結婚式や誕生日の宴会、貿易やビジネスの商談成立の打ち上げなど、いろいろな食事会に使われている。
それは開港以来、神戸に多く住み着いた中国人の「ことあるたびに円卓を囲む」伝統と風習ゆえのことだ。



北京料理のごちそうの代表格「鮑参翅(バオサンチー)」、すなわちアワビ、ナマコ、フカヒレの三大食材ほかの豪快な高級料理と、400人の宴会が可能だというキャパ、中国美術工芸品や歴史的な骨董、調度品をあしらった豪華な雰囲気が他の店を圧倒しているのだ。








1階はカウンターバーのあるロビーで、2階が厨房。客室は3~7階、掘りごたつの部屋など変化に富んだ客室の総キャパシティは800人と群を抜いている。



やはり「神仙閣」らしい「ふかひれの姿煮込み」「鮑の姿蒸し特製ソース」がメニューに入る、10,000円以上のコースを奮発したい。


・伊勢海老付きオードブル
・海燕の巣の上湯(しゃんたん)スープ
・三種類の揚げ物
・海老のお料理
・ふかひれの姿煮込み
・鮑の姿蒸し特製ソース
・牛肉の煮込み又は魚の黄韮炒め
・北京ダック
・点心のセイロ蒸し
・中華菓子
・ポテトとバナナの飴炊き
・特製プリン
・果物
グラン・メゾンならではのすごい品数なのはもちろん、多くの料理のベースとなる上湯スープから点心、デザートまで、毎日大量に出るゆえの総勢22名の料理人の徹底した分業制が味を左右している。
宴会北京料理に関しては「大きな店ほどおいしい」といわれるゆえんだ。
まず「伊勢海老付きオードブル」。
お年寄りのグルメなど、これがお目当てで「あとは数品でいい」という人もいるほどの完成度。

別皿のピータン。




「ふかひれの姿煮込み」は丁寧に取り分けてくれる。それにしても繊維が太い。
フカヒレの素材自体には味がなく、むしろ特有のクセを抜き、いかにおいしい上湯で味わうかにかかっている。


書くとこれだけだが、ドラム缶大の寸胴鍋3本分を毎日つくる。前日の残りを追い足し、いつも同じ味にするためだ。スープは半日煮込んで、ショウガとネギで風味付けしながら、アクをどんどん取る。スープが減る勢いで、どこまでも取って濾す。店の命の上湯、ひたすら丁寧に。
「鮑の姿蒸し特製ソース」。前菜のアワビは炒りつけたものだが、こちらはナマを蒸して上湯ベースのソースで味わう料理。全国から優れた黒アワビを年中吟味して仕入れている。

だからゆっくり時間をかけて食べるのはもちろん、年月をかけて何回か経験すればするほど、このグラン・シノワの奥行きが分かってくる。



神仙閣
兵庫県神戸市中央区下山手通2-13-1
[営業時間]11:00~21:00(L.O.20:00)
[定休日]なし
078-331-1263

江弘毅
編集者。京阪神エルマガジン社時代に雑誌『ミーツ・リージョナル』を立ち上げ、12年間編集長を務める。著書『街場の大阪論』(新潮文庫)、 『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)、『飲み食い世界一の大阪』(ミシマ社)など、主に大阪の街や食についての著書多数。最新刊は7月15日発売の『濃い味、うす味、街のあじ。』(140B)。編集出版集団 140B取締役編集責任者。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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