一度は泊まってみたいクラシックホテル。「冨士屋ホテル」で昭和ロマンを満喫

2015.06.17

戦前に創業したクラシックホテルのうちのひとつが、箱根・宮ノ下温泉にある「富士屋ホテル」です。明治11年(1878年)の創業時から外国人客の宿泊が多く、外国人専用として経営された時代もあったことから、日本の建築様式や美術がふんだんに取り入れられた豪華なホテル。かつては、チャーリー・チャップリンやヘレンケラーも宿泊したそうです。今回は、富士屋ホテルで一番歴史のある本館と校倉造(あぜくらづくり)を模した壁が特徴的な花御殿を中心に、富士屋ホテルの見どころを探ってみました!

白を基調とした和洋折衷の建築

国道1号線沿いに位置する富士屋ホテル。敷地内の坂を少しのぼると、本館が見えてきます。白くて美しい建物は、なんと明治24年(1891年)に当時の創業者・山口千之助氏が開業したものだそう。ノスタルジックな外観に期待が高まります!
ホテルマンに迎えてもらったら、館内の階段を上がって2階のフロントロビーへと向かいます。その階段を上がるまでの間にも、創業者が飼っていた犬の銅像(とても大きい!)や手すりに施してある龍の彫刻が目を楽しませてくれます。
この本館は、富士屋ホテルの中でも最も歴史の古い建物だそう。社寺建築を思わせる瓦葺きの屋根、唐破風(からはふ)という日本特有の形式で作られた玄関などが特徴です。ちなみに、本館を含め、花御殿、食堂および菊花荘などが国の登録有形文化財に指定されています。
▲まずは1階部分から本館を見上げます。ローマ字で書かれたロゴがなんだかかわいい
▲フロントロビーがある2階部分です。鳳凰の彫刻が施された玄関には手動の回転扉が
▲これ、実は日本で稼働する回転扉の中で、一、二を争うほど古いものなのだそう。重ねてきた年月の重みを感じます!

数多くの彫刻や調度品が歴史を感じさせる

フロントロビーへ到着!広々とした空間と高い天井が特徴的です。建設当時、このように高い天井の建物は珍しかったそう。こうした部分にも外国人向けであった面影が残っていますね。
室内のいたるところに彫刻が施されていて、落ち着いたクラシカルな雰囲気です。
▲かつて手品を行って宿泊客を楽しませた「MAGIC ROOM」。今はロビーラウンジになっています
▲日本庭園が眼前に広がるオーキッド(ティーラウンジ)。代々受け継がれてきた自慢のスイーツがいただけます

いざ、富士屋ホテルのシンボル花御殿へ!

本館から花御殿へは、室内の渡り廊下を通って移動することができます。昭和11年(1936年)に3代目の山口正造氏が自ら設計を担当。千鳥破風(ちどりはふ)という屋根の形式が日本のお城のようで、豪華絢爛です。要所に取り入れられた朱色も花御殿を印象的な建物にしています。

花御殿という名称は、43室ある部屋のすべてにそれぞれ花の名前がつけられていることに由来しているそう。ルームキーや客室のドアなど、様々な場所に花のモチーフを使用しています。まさに花づくし!外国人客は“フラワーパレス”と呼んで親しんでいたそう。
▲灯籠や欄干などの日本的なビジュアルが、外国人客の心を捉えたんでしょうねえ…

見せていただいたのは、スイートルームのひとつ「菊」のお部屋です。扉を開けた瞬間、その重厚な雰囲気に圧倒されます。木製の格子天井や作り込まれた彫刻がすばらしい!大きな窓がとられており、そこからは箱根山などの山間の風景を楽しむことができます。

スイートルームに宿泊した方は、多くの時間を部屋で過ごすというのにも納得。昭和ロマンが詰まった部屋は、時間がゆっくりと流れる、とても心地よい空間でした。
▲お部屋は65平方メートルあり、広々としています。木製のデスクや化粧台までノスタルジー満点
▲窓からは本館とレストランが見渡せます。この景色を独り占めできるだけでも宿泊の価値あり
▲デスクには菊を描いた絵はがきが置いてあります。かつての旅行客にとって、連絡手段は手紙のみでした。それに倣って、たまには手紙を書いてみるのも、ホテルの素敵な過ごし方ですね

ほかにも、昭和5年(1930年)に建てられたレストラン棟や5,000坪の自然庭園など、富士屋ホテルにはまだまだ見どころがあるそう! たくさんの彫刻の中には、まだ調査中の作品もあるそうで、創業137年という歴史の長さを物語っています。まだまだ、いろんなストーリーが眠っていそうですよね。宿泊者を対象に館内を巡る「館内案内ツアー」が開催されているので、参加すれば、もっと富士屋ホテルの魅力を感じることができますよ。

細かなところまで気配りが行き届いている富士屋ホテル。宿泊するのはもちろん、レストランのランチやティータイムに訪れるだけでも、その雰囲気を充分に満喫できますよ。
いずみかな

いずみかな

フリーランスの編集ライター。男性の育児参加や自然エネルギーという少しかための分野の出版社出身。編集プロダクションを経て、女性ファッション誌・健康・グルメなど幅広く編集業を行う。 編集:山葉のぶゆき(エフェクト)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP