豚のカシラ肉に特製味噌だれをたっぷり!東松山の「やきとり」を堪能

2016.04.26

埼玉県東松山市が「やきとりの街」として有名なのはご存知ですか?一般的な「やきとり」には鶏肉が使われますが、東松山ではちょっと違います。今回は地元でも人気のやきとり店2軒を訪ね、東松山ならではの「やきとり」の魅力を探ってきました!

東松山の「やきとり」に欠かせない味噌だれ。そのはじまりはコチュジャンから

東武東上線の東松山駅周辺には約50軒のやきとり店が点在しています。
じつはここ東松山は「やきとりの街」。人口1万人あたりのやきとり店の数が約7.2軒と全国で一番多く、北海道室蘭市や愛媛県今治市の「やきとり」とならんで「日本三大やきとりの街」のひとつといわれています。

「やきとり」というと通常、鶏肉を思い浮かべると思いますが、東松山の「やきとり」に使われるのは、豚のカシラ肉。「カシラ」とは、豚のほほとこめかみの部分です。

東松山の「やきとり」が誕生したのは昭和36(1961)年頃。寄居町で昭和31(1956)年に商いをはじめた韓国出身の「大松屋」の主人がコチュジャンからヒントを得て、味噌だれを考案し、しろモツやレバーに塗って提供していました。昭和33(1958)年にカシラ肉を串刺しにして屋台で売り出すと、味噌だれとの相性もよく、人気となりました。

その後、昭和36年に仲間の「若松屋」のすすめで東松山に移店したことで、東松山に味噌だれが伝わり、炭火焼のカシラ肉に味噌だれを塗って食す、東松山の「やきとり」がはじまりました。
▲味噌だれをたっぷりつけた「やきとり桂馬」のやきとり

味噌だれは白味噌をベースに、唐辛子やニンニク、ごま油、みりん、果物など10種類以上の素材をブレンドして作られており、店それぞれでレシピが異なります。
いろんな店を食べ歩いて、自分好みの味を探してみるのも楽しみのひとつです。
▲やきとり店めぐりは東松山駅から。「東松山焼鳥組合」や「東松山市観光情報」のホームページで「やきとりマップ」を見られるのでお店の場所をチェックしておきましょう

ブランド豚にピッタリ合う、甘めの味噌だれ

1軒目に訪れたのは「秘伝のみそだれ」が評判の「黒豚やきとりひびき東松山駅前本店」。

ひびきグループは「東松山のやきとり」を気軽に楽しめるようにと東松山駅を中心に埼玉、東京、さらにはシンガポールやフィレンツェなど、海外にもやきとり店を展開しています。
さらに2006年には全国やきとり連絡協議会を立ち上げ、各地のやきとり文化の育成と普及に努めています。毎年秋には、全国7大やきとりの街(北海道室蘭市・北海道美唄市・福島県福島市・埼玉県東松山市・山口県長門市・愛媛県今治市・福岡県久留米市)の名物やきとりが集結し、その味を競うイベント「やきとリンピック(R)」を開催しており、9回目の2015年は首都圏で初めて東松山で開催されました。
▲赤い柱と大きな看板が目印

ここ本店は東松山駅から徒歩1分とアクセスもよく、入り口がオープンで入りやすいので、東松山のやきとりデビューにピッタリのお店です。
▲店内は52席。カウンター席もあり、ひとりで訪れる女性客も多いそう
▲働きはじめて今年で5年目の石束(いしづか)さん

ひびきグループの店舗では、はじめに国際特許取得の「回転式両面グリル」を使って焼いていきます。
この機械こそが、株式会社ひびきが開発したやきとり機、通称「両面ひびき炙り」。
なんと串の両面を同時に焼くことができるんです。
▲やきとり機に串をセット
▲同時に何本もの串を焼きながら回り、カーブのところで「やきとり」がひっくり返る。なんだかおもしろい光景……

最初は強火で表面をきゅっと焼き、カーブしたあとは弱火でじっくり中に火を通すことで、冷めてもおいしい「やきとり」になるのだとか。
▲仕上げに手作業で焼き足りないところを焼く

「やきとり機の前にずっと立っていると、火で顔が熱くなってきますね。でも、慣れました」と石束さん。さすがです。

最初に頼んだのは、「特撰かしら串」。
ダントツで人気の串なのだそう。
▲「特撰かしら串」1串160円(税別)

「肉、肉、ネギ、肉、ネギ、肉」と串にささった「やきとり」。
テーブルに置いてある味噌だれをつけます。
▲ぼんっと乗せるようにたっぷり味噌だれをつけます
カシラ肉は弾力があって、噛むごとにじゅわ~っと肉の旨みとコクが広がります。臭みは一切ありません。

こちらの味噌だれは茶色。
はじめはピリっとした唐辛子の辛さを感じますが、あとから、味噌のほんのりとしたやわらかい甘みが口いっぱいに広がります。辛さと甘さがぎゅっと凝縮された味噌だれです。

ピリっとしたさわやかな辛さで、辛いのが苦手でも、少なめに乗せれば大丈夫という人が多いのだそう。旨みとコクのあるカシラ肉や、甘みのあるネギとも相性バツグンです。

ちなみにカシラ肉は時間が経つと少し硬くなってしまうため、とにかく焼きたてをすぐに食べることが大切です。
▲「黒豚特上やきトン串」1串260円(税別)
▲「黒豚やきトン串」1串200円(税別)

「黒豚特上やきトン串」と「黒豚やきトン串」には埼玉県のブランド豚「彩の国黒豚」が使われています。
「彩の国黒豚」は肉質がやわらかいバークシャー種です。味をよくするために、いも類や麦類を主体とした飼料を与え、風味をよくするために、動物性原料を使用せずに飼育されています。
また、一般の豚は出荷まで約6カ月かけて飼育するところ、「彩の国黒豚」は約8カ月かけて飼育。これらの飼育法によって、「彩の国黒豚」は舌ざわりがシルクのようにしっかりして、甘みがある肉質に育ちます。

「黒豚特上やきトン串」は「彩の国黒豚」の肩ロースの部位を使用。肉がやわらかく、脂がジュワーっと染み出してきます。「黒豚やきトン串」はうで(肩)肉の赤身で噛めば噛むほど甘みが増します。ぜひ食べ比べてみてください。

家に持ち帰って楽しめる「秘伝のみそだれ」

ひびきの「秘伝のみそだれ」は商品化されており、2008年から2015年までモンドセレクションの「最高金賞」を連続で受賞しています。
▲「みそだれ」(右)700円(税別)はキュウリにつけたり、ごはんにのせてもおいしい
▲テイクアウトもやっています

やきとりのテイクアウト(1串130円・税別~)もやっており、お願いすれば焼き立てを詰めてもらうこともできます。自宅でもお店の味を食べられるのはうれしい!

おみやげ用に販売しているやきとり以外の商品も人気で、なかでもおすすめなのは1枚1枚手づくりされている「みそだれせんべい」と「みそだれせんべい ゆず」。
▲「みそだれせんべい ゆず(左)」と「みそだれせんべい」ともに1枚200円(税別)

厚みのある揚げせんべいに味噌だれがたっぷり塗られています。
「みそだれせんべい ゆず」はゆずの風味がしっかり染み込んでいて、さっぱりとした味わいです。

いつでも販売しているというわけではないので、あったらラッキーかも?

老舗で味わう、辛めの味噌だれ

次に紹介するのは「やきとり桂馬」。昭和32(1957)年に開店した老舗です。
店主は世界初の「やきとり」屋の同業組合、東松山焼鳥組合の運営も行なっており、東松山の「やきとり」の伝統と歴史を守り続ける活動をしています。
▲東松山駅から徒歩4分。真っ赤な看板が目印。まるで個人宅のような扉を開けるときはちょっとドキドキ……
▲17時の開店直後にも関わらず、カウンターにはお客さんの姿が
▲個室も2部屋ある
▲店主の青木萃美(すいよし)さん。黙々と焼き続けます。串をひっくり返す動作がすばやくて、カメラにおさめられないほど……

カウンター席の奥、焼き台の前の席をゲットしました。
目の前で焼いている様子を見られる特等席。炭火の煙とおいしい香りが漂ってきます。

はじめは、やっぱり「カシラ」から!
▲「カシラ」1串120円(税別)

「やきとり」は「カシラ」、「レバー」、「しろ」、「タン」、「ハツ」、「なんこつ」、「つくね」、すべて各1串120円(税別)です。

こちらの味噌だれは真っ赤で、いかにも辛そう……!
信州の白味噌をベースにニンニクなどの材料を入れ、すりこぎ棒でなじませて作っているそうです。
▲こんな感じに思い切ってたっぷりのせましょう

「カシラ」は思っていたよりやわらかくてジューシー。硬すぎず、やわらかすぎずの絶妙な歯ごたえです。もちろんこちらの「カシラ」も臭みは一切ありません。

味噌だれはあとを引くような、唐辛子のピリリとした辛さでクセになりそう!さらにニンニクの風味がカシラ肉の脂の旨みを引き立てていて、思わずビールが進みます。

次は「レバー」をいただきます。
▲「レバー」を含め、すべての串にネギがささっている

「レバー」は、外は香ばしく、ふだん食べているレバーよりやわらかい印象。臭みもなく、レバーだということを忘れてしまうくらい食べやすい。

次は「タン」。
▲「タン」はコリコリとした食感がやみつきになりそう

「タン」はかためで、歯ごたえバツグン!
大きくカットされた豚肉は1つ1つの串がボリューミー。3本だけでもお腹がふくれてきました。

やきとり以外のメニューもおいしい

ときおり目の前の焼き台から「パチパチッ」「ポンッ」という音が聞こえてきます。
店内はあっという間に満席で、笑い声があふれています。店の賑わいや地元の方との会話も楽しいひと時です。

「自家製御新香」350円(税別)や「厚あげ」400円(税別)などのおつまみも充実。やきとりに合うビールやウイスキー、焼酎、冷酒、ワインなどお酒の種類も豊富です。
▲壁にはやきとり以外のメニューがずらり

数あるメニューの中から〆に「もつ煮」をオーダー!
1つで2人前くらいあります。この量で500円(税別)というから驚きです。
もつ、ニンジン、こんにゃく、豆腐がごろっと大きめにカットされ、白味噌で煮込んだ「もつ煮」は体の芯からあたたまり、ほっとするやさしい味です。
▲女性なら2人でシェアしても十分な量

「もつ煮」を食べていると、「味噌だれを入れてみて!」
というおかみさんのアドバイスが。言われるがまま味噌だれを投入すると、味に辛みとコクが出て、ますますおいしい!

やきとりはおいしいし、ご主人はやさしいし、店内に流れる楽しい雰囲気にも、酔っ払うこと間違いなしです!
「黒豚やきとりひびき東松山駅前本店」さんと「やきとり桂馬」さん、どちらもそれぞれの個性と魅力がたっぷり。
やっぱり焼き立てを食べてみるのがいちばんなので、ぜひお店を訪れて、東松山ならではのやきとりを堪能してみましょう。めざせ50軒制覇!?
桑沢香織

桑沢香織

編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。雑誌、書籍、小冊子、ウェブ媒体の編集・執筆などを手がける。編集を担当した本に『わたしらしさのメイク』『おとなのヘアケア読本』(ともに技術評論社)、『劇団四季ミュージカルCATSのすべて』(光文社)、『大相撲手帳』(東京書籍)などがある。デコ新刊:『新幹線を走らせた男 国鉄総裁 十河信二物語』『増補 健康半分』『顔望診をはじめよう』『サバイバル登山入門』など。

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