保存版!喜多方ラーメンめぐりで行くべき3店

2016.03.09

喜多方ラーメンは、福島県喜多方市のご当地ラーメンです。人口に対するラーメン店の数が日本一といわれる喜多方市では、道を歩けば数軒おきにラーメン店が。なんとその数約120店舗!今回は、喜多方ラーメン店の中からおすすめの3軒を紹介します。

喜多方ラーメンが誕生したのは大正末期~昭和初期。中華麺に近い「支那そば」を打ち、町をめぐった屋台のラーメンがはじまりと言われています。戦争による食糧難の時代で、支那そばは市民にとってごちそう。小さな屋台の味が少しずつ市民の生活に浸透し、「喜多方ラーメン」として全国でも有名になったのです。

喜多方ラーメンは、各店舗によって味、麺の太さはさまざま。一般的にスープはしょう油味といわれていますが、特に決まりがあるわけではありません。麺は「平打ち熟成多加水麺」と呼ばれる幅約4mmの太麺で、モチモチとした食感とちぢれがあるのが特徴です。

まずは、“元祖”喜多方ラーメンの店へ

まず向かったのが、喜多方ラーメンを語る上で欠かすことができない店「源来軒」です。「源来軒」の初代は、なんと冒頭で紹介した喜多方ラーメンを生んだ屋台の主人。
中国から日本へやってきた藩欽星(ばんきんせい)氏が、大正末期に創業。現在もその当時の味を大切に守っています。市内のラーメン店の中には、源来軒で修行をして自分の店を構えたという人も多いそうです。
おすすめの「ネギラーメン」を注文しました。

この日、特別に厨房に入らせてもらうと、大きな鍋ではスープがグツグツ。豚ガラ、鶏ガラなどのほかに、コンブ、シイタケ、煮干しのほか、約10種類の野菜を約8時間煮て、コクがありながらもしつこくない、味わい深いスープへと仕上げていきます。
▲注文がひっきりなしに入る中、みなさんこころよく笑顔でむかえてくれた
▲スープ作りは毎日午前1時からはじまる

「これ、何かわかる?」と、見せてくれたのはスルメイカのようなもの……。
▲スルメイカにしか見えない……

正体は乾燥メンマ。メンマの原料は竹、つまりこれは乾燥させた竹です。
「3日間かけて水分を含ませ、手でもんでやわらかく戻します。歯ごたえをのこしつつ、熱湯で煮て竹のにおいをとり、味をつければメンマの完成です。創業以来、メンマも手作り。乾燥メンマから手作りしている店は少ないかもしれませんね」(2代目店主・星欽二さん)
▲切った麺をもみ、ちぢれさせる
▲ちぢれた麺はスープとからみやすい
▲注文が入るたびに、どんどんなくなっていく麺

細切りにしたネギとチャーシュー、調味料を和えて具をスタンバイ。スープを注いだ器にゆで上がった麺を投入し、具をたっぷりのせたらネギラーメンの完成です。
▲たっぷりのお湯で麺をゆでる
▲スープに入った麺はなんだか気持ちよさそう
▲ネギラーメン用のネギは事前に細切りにしておく
▲手際よく仕上げていく

どこかなつかしく、毎日食べたい味わい

完成したネギラーメンをさっそくいただきました。シャキシャキのネギと豚チャーシューは、細切りにしてあるので、麺といっしょに口の中へつるり。

モチモチの麺にスープがしっかりとからんで、ひと口食べるたびにおいしさを噛み締めます。スープは、野菜からとった出汁の旨みが効いていて、コクがありながら後味にしつこさを感じません。
▲麺とネギとチャーシューが美しく合体!ネギラーメン 800円(税抜)
▲モチモチでぷりぷりの麺
▲しょう油で飽きのこない味に仕上げている

店内には王貞治さんのポスターが貼ってありました。「ファンなのですか?」と訪ねると、「初代の藩欽星が、同郷だった王さんのお父さんと一緒に来日したのです。そのご縁で、王さんも食べに来てくださったんですよ」(星さん)
と、予想外の答えが。
▲王さんのサイン入りポスターがあった

老舗でありながら飾らない雰囲気が、地元に愛され続ける「源来軒」の魅力。スタッフのみなさんの笑顔も、きっと隠し味ですね。自宅でも同じ味を楽しめる「源来軒」の麺とスープのセット(4食入り1,188円・税込)をゲットして「ごちそうさまでした~」とお店をあとに。
▲箱には、初代・藩欽星の写真が印刷してあった。83歳まで現役で麺を打ち、ラーメンを作っていた
▲真っ赤な外壁が目をひく「源来軒」

喜多方でもめずらしい、みそラーメン

喜多方ラーメンは、しょう油味というイメージが強いかもしれませんが、味はお店によって実にさまざまです。ここ「大喜(だいき)」では、70年もの歴史が詰まったみそラーメンが人気です。
▲喜多方駅から車で約10分。お店まで乗せてくれたタクシーの運転手さんもよく食べにいくそう。広い店内はテーブル席と座敷席がある

テーブルの上に注文したラーメンが出されるとともに、みその香りがやさしく漂ってきました。さっそくいただきます!
▲分厚いチャーシューが2枚入っている。みそラーメン650円(税込)

みそラーメンは、少し塩辛いイメージをもっていましたが、まったく塩辛さを感じない味わいにびっくり。毎日食べたくなるやさしい味です。麺はやや細麺とのことですが、これで細麺なんだなぁと思うほど、喜多方ラーメンは、スタンダードな麺がかなり太いようです。
▲おいしくて、一気に食べてしまいそう

スープに使用するみそは、信州ベースの3種をブレンド。たっぷりの野菜とともに作られた豚骨ベースのスープで溶いて、あっさりと仕上げてあります。
分厚いチャーシューは、豚バラを一度脂抜きして半日コトコトと煮込んだもの。トロトロです。具はほかに玉子とメンマ、ネギです。

「全国的には、玉子が入っているお店が多いと思いますが、喜多方ラーメンで玉子を入れているお店は少ないと思います。戦後、卵はとても貴重だったので、その名残ですね」(店主)

メニューには、なぜか中華料理の「サンマーメン」も。じつはこのメニュー、「大喜」の歴史が関係していました。

店主のおじいさんにあたる初代は、もともとは食堂を営んでいたそうですが、おいしさを追求するためにメニューをラーメンにしぼり、北海道、神奈川県で修行。その過程で、北海道のみそラーメンや、横浜の中華街でサンマーメンに出会い、お店のメニューへとつながったのです。

野菜たっぷりの餃子もいただきました。こちらも、あっさりとしていて、何個でも食べられそう……。
▲具に入れるにんにくは青森県産のものを使用。350円(税込)

今度はサンマーメンも食べたいなぁ。2つのラーメンに満たされて、この日は帰路につきました。

念願の“朝ラー”デビュー

“朝ラー”という言葉を知っていますか?喜多方では誰もが知っている共通語。ズバリ、朝からラーメンを食べることです。ちなみに、昼ラー、夜ラー、家ラーという言葉もあります。ラーメン屋はお昼頃からの営業が多いなか、喜多方には、朝ラーができるお店が15軒もあるそうです。

私も“朝ラー”デビューを果たすべく、朝から「まこと食堂」へ向かいました。
朝一番にラーメン屋へ行くのは、よく考えると生まれてはじめてです。

喜多方に朝ラーの習慣が根付いた理由は、諸説あるようですが、「朝早く農作業に出た農家の人がひと仕事終えて食べにいった」「会津の冬、出稼ぎから夜行列車で戻ってくる子どもを迎えに行った帰りにラーメン屋に立ち寄ったから」などといわれています。
▲まこと食堂。左は椅子席の入口、右は座敷席の入口

まこと食堂の営業は朝7時30分からですが、なんと6時過ぎには待っているお客さんもいるそうです。そんな“朝ラー”のベテランに会いたかったのですが、朝ラーをする人は出勤前で急いでいる方も多く、取材では入り込めない聖域のよう。
8時過ぎ、店内が少し落ち着いた時間に行きました。
▲朝ラーする人で混み合うピークの時間帯を終えるも、この後続々とお客さんが来店
▲店内の壁には、初代から地元で愛されて続けてきたことが分かる写真が貼ってあった
▲入口の正面奥には、小さな畳の間がある

「まこと食堂」は昭和22(1947)年に創業。現在は、3代目の佐藤リカさんが、初代からの味を大切に守っています。

お店に入ると「おはようございまーす」とお店の方が声をかけてくれました。そして、お店に入ってくるお客さんも「おはよう!」と。これは朝ならではの光景……朝ラー文化にふれることができて、なんだかうれしい。
ちなみに、「まこと食堂」で朝ラーがはじまった理由は、早朝のソフトボール練習帰りの学生や、夜勤終わりの人たちがラーメンを食べに来てくれるようになったからだそうです。

おすすめの大盛チャーシューメンを注文しました。チャーシューがたっぷり10枚のったボリューム満点の一杯です。
▲大盛チャーシューメン1,050円(税込)。中央にはネギがたっぷり盛られている

最初のひと口を口に入れる瞬間に、麺にからんだスープの香りがふわりと漂ってきて、目が覚める気がしました。麺に油がほどよくコーティングされていて、なめらかなのどごし。

朝からラーメンを食べるのは、胃に少し重たいかな……という心配はどこかへ飛んでいきました。食欲のスイッチがオン!

「麺はひと晩寝かせて熟成させています。じつは、朝お出しするラーメンは、スープがまだ煮詰まってきていないので少しあっさりしています。時間がたつにつれて濃くなっていくので、お昼や夕方に来ていただくと、また違った味わいですよ」(佐藤さん)
▲コシのある平たい麺はモチモチの食感だ

スープは、火加減に気をつけてぜったいに煮立たせないようにしていますとのこと。煮立つとスープがにごってしまうそうです。昔は薪で火を入れていたのだとか。
▲煮干しや豚骨などからしっかりと旨みを抽出する

コクのあるスープが体にしみわたります。ネギもシャキシャキ。チャーシューはとてもやわらかく、うすめにスライスされているので女性でも食べ切れるちょうどよいボリュームです。

もりもり食べていると、器の中に「ラッキー!」という文字が出てきました。何だろう?と思いながら食べ進めると「大当たり」「店員にお知らせください」と……。
ドキドキしながらお店の方に伝えると、「大当たりお願いしまーす」と大きな声でひと声。
麺とスープのセットをいただきました!これは朝からツイている!
「ごちそうさまでしたー」とお店を出るときには、私も「いってらしゃーい」と見送ってもらえました。無事に朝ラーデビューができたようです。
▲「大当たり」の賞品は、自宅でも「まこと食堂」のラーメンを味わえる麺とスープのセット1,080円(5食入り・税込)
▲「まこと食堂」の前に建っていた石碑。「らあめんの 香りただよう 蔵の町」

ラーメン神社で麺結び!?

昨日みそラーメンを食べた「大喜」の店主に、ラーメン神社なるものがあると聞き、行ってみました。
▲鳥居は箸がモチーフ

鳥居の向こうには、喜多方ラーメンの歴史を紹介するミュージアムがあり、中に入ると再び鳥居が。そして、ラーメンの神様がいました。
▲真っ赤な鳥居の奥には、ラーメンのどんぶりが。中にはだるまが入っていた

「これからも、おいしいラーメンをたくさん食べられますように」と祈願してみました。
▲縁結びならぬ「麺結び」

館内には、喜多方ラーメンの発祥や麺の特徴などを解説したパネルがありました。興味深く読みすすめると、喜多方ラーメンが根付いた背景には、喜多方の豊かな自然も関係していることを知ることができました。

喜多方には、栂峰(つがみね)渓流水を水源とする質の高い水が豊富。麺作りにも、スープ作りにも欠かせないこの名水がおいしい喜多方ラーメンを支えていたのです。
▲パネルなどを使って解説
▲巨大などんぶりを発見!
▲とりあえず入ってみた。目玉のおやじ気分
▲喜多方の町を歩いている途中に見つけた、栂峰渓流水の伏流水

今回は3軒のラーメン屋をめぐりましたが、共通していたのは、週に何回食べても飽きのこないやさしい味。そして、毎日通いたくなるお店の方々の笑顔に出会えたこと。今度は一週間くらい滞在して、もっといろいろな喜多方ラーメンの味を食べ比べたいと思いました。
齋藤春菜

齋藤春菜

編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。女性の美容・健康・ライフスタイルに関する書籍、雑誌を多数編集・執筆。文芸、料理、アート本の編集も行う。全国各地へと取材に訪れたさいには地元のおいしいお店を必ずチェックする。編集を担当した本に『お灸のすすめ』『瞑想のすすめ』(ともに池田書店)、『足もとのおしゃれとケア』『わたしらしさのメイク』(ともに技術評論社)、『はじめてのレコード』(DUBOOKS)、『顔望診をはじめよう』、『月の名前』、『健康半分』などがある。

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