明治のお屋敷「欅苑」で、南魚沼産・極上田舎料理フルコースを堪能!

2016.04.21 更新

八海山をはじめとした名山に囲まれた新潟県南部の南魚沼市。山が蓄えた豊富な雪解け水が伏流水として注がれる魚沼盆地では、魚沼産コシヒカリの中でも、味も価格もワンランク上と名高い「南魚沼産コシヒカリ」が栽培されています。また、山々と豪雪が育む豊かな自然が、ここでしか味わえないさまざまな食材を育んでいます。そんな南魚沼産の食材を明治のお屋敷で堪能できる極上のフルコースが存在しました。

今回の目的地「欅苑(けやきえん)」は、関越自動車道六日町ICから約10分ほど車を走らせたところにあります。駐車場に車を停めるとすぐに、広大な敷地と立派な桜並木がお出迎え。桜並木を楽しみながらゆっくりと通り抜けると茅葺屋根の大きな屋敷が見えてきます。ここが「欅苑」の建物です。
▲初夏の欅苑 本館。冬は保全の為、雪囲いのシートに覆われている

この屋敷が建てられたのは、今から150年近く前の明治3(1870)年。この家を守る一族は、約600年前に庄屋としてこの地に来てから、先祖代々に渡って、家を建て替えながら引き継いできたそうです。

お屋敷の隣には、店名の由来となった樹齢推定1500年の大欅(おおけやき)が。かの有名な聖徳太子が生まれたのが574年なので、それよりもっと前からここに存在している事になります。高さは22.9mの、見た事もない立派な欅の木に、思わず「わーっ!」と声を上げてしまいました!
▲写真では収まらないほど大きな欅!木の下に立っているのが私です!

建物だけで200坪、敷地を合わせると4,500坪もある大きな屋敷なので、時代の経過と共に維持するのはかなりの苦労があったそうです。

現在は、その当主である南雲(なぐも)さん御一家が、田舎料理を楽しめるお店として歴史ある建物を開放していますが、このお店をはじめた理由も家の維持が大きな理由でした。
▲女将・南雲直子さん

「家を維持する為に30年前から料理を出し始めました。家をどうやって生かすかを考えた時に、ただ見てもらうだけではお客様には満足してもらえないだろうと考え、自分でもてなすことを決意しました」

料理には自家菜園にて栽培した旬の食材を始め、地元・南魚沼で採れたこだわりの食材を使用。春は山菜、夏は天然の鮎、秋は山のキノコ、冬は根菜など、季節ごとの食材を手間ひま掛けて調理されています。絶品料理と、きめ細やかなおもてなしで人気のお店です。
▲くぐり戸を開けると昔ながらの素敵な古民家の雰囲気

建物に入ると、天井が高く、大きな梁と奥の囲炉裏に目が止まります。キレイに磨かれた床と、大きな生花。立派な外観も素敵ですが、室内もとっても素敵です!建物の魅力にため息を漏らし、すっかり魅了されているところに女将の南雲さんがやってきました。
「さぁ、どうぞ中でゆったりと暖まってくださいね」

室内に入ると、まず「抹茶とお菓子」が出てきました。外の寒さで冷えた体にはピッタリのやさしい心遣い。
抹茶はひとくち飲むとほろ苦い味わいと、風味豊かな薫りが口の中いっぱいに広がっていきます。お茶受けは「黄味小判」といって、卵黄を贅沢に使った小判型の焼き菓子。ほんのりと甘く卵黄の濃厚な味がやみつきになります。

ほっと一息ついたところで、最初のお膳が運ばれてきました。
▲吸物膳。お吸物と3つの品

今回頂く料理は5,000円(税別)コース。
始めに並んだ料理は「お吸い物」、「ホタテ貝のすり身を加えた卵豆腐」、「ワケギとウドのからし酢みそ和え」、「うるいのおひたし」の吸物膳です。
吸物膳は南雲家に昔から伝わってきた御膳で、そのメインとなるお吸い物は上品な口当たりにも関わらず、どこかほっと安心出来るやさしい味。出汁が効いていて風味豊かな香りがスッと鼻の中を通り抜け、まるで一足先にこの場所だけ春が芽吹いたような感じがしました。
▲箸置きは椿の葉

料理とは別に気になったのが箸置きです。なんと椿の葉が箸置きになっているんですね!こんなオシャレな箸置きを見たのは初めてです。屋敷の庭に植えている樹木の葉を、季節によって変えて出してくれるそうですよ。
▲彩り豊かな本膳

吸物膳を堪能し余韻を楽しんでいると、ちょうど良いタイミングで本膳が運ばれて来ました。本膳は手前左から時計回りに「がんもどき」、「根菜の炒めなます」、「胡麻豆腐」、「ふきのとうの胡麻味噌和え」、「レンコンの揚げまんじゅう」、「ワラビのショウガ醤油づけ」、「ジネンジョの海苔巻き」です。
▲レンコンの揚げまんじゅう

この本膳もどれも美味しくて、ほっぺたが落ちそうな勢いだったのですが、とりわけ印象的だったのは「レンコンの揚げまんじゅう」です。揚げまんじゅうの中にはレンコンの他にエビ、そして南魚沼で採れたぎんなんやユリネが入っていて、多彩な食材たちの織りなすハーモニーが口いっぱいに広がります。
▲ジネンジョの海苔巻き

「ジネンジョの海苔巻き」も印象的でした。ジネンジョはもともと山野に自生する貴重な食材。山芋と似ていますが、粘りも風味も格段に美味しいと言われています。

そんなジネンジョを海苔巻きで食べるというのは初めての食べ方でした。もちもちと弾力のある食感が癖になりそうなほど美味しく、海苔と醤油の香りがジネンジョの風味にとってもマッチしていました。
▲囲炉裏で焼いた「イワナの塩焼き」

本膳の料理を楽しんでいると「イワナの塩焼き」が運ばれて来ました。このイワナも南魚沼で穫れたものを使用し、ほど良く塩の効いた魚は身が引き締まっていて、骨も気にならず、頭からシッポまでまるごと食べられます。

ちなみに、7月半ばから秋の初めまでは、天然の鮎を出してくれるそうです。南魚沼市を流れている魚野川(うおのがわ)は有名な鮎の産地。天然の鮎は川の苔を食べて大きくなるので香りも良く、脂もほどよく、美味さは格別とのことです。

焼き魚はすべて囲炉裏の炭火で焼く事によって、美味しさがまた大きく変わってくるとのことでした。
▲締めはやっぱり「ご飯とのっぺ汁」

締めに出て来たのは「むかご ご飯」と「のっぺ汁」です。
むかごとは山芋の葉の付け根にできる灰色の芽のことで、ご飯との相性が抜群!

そして、何より白飯の美味しさにビックリしてしまいました!お米はもちろん、コシヒカリです。南雲さんに聞いたところ、お米はすべて自分の田んぼで手作りしたもの。これぞ正真正銘の南魚沼産コシヒカリです!美味しさの秘密は、雪解け水と寒暖の差とのこと。
▲新潟郷土料理の代表格、のっぺ汁

そして「のっぺ汁」です。「のっぺ汁」は新潟を代表する郷土料理のひとつです。主に正月など、晴れの日に振る舞われる事が多く、庶民の間でもご馳走として親しまれています。

食材は里芋、こんにゃく、にんじん、なめこ、ぎんなん、きくらげ、きぬさや、ホタテの貝柱など…。数多くの食材が細かく切られ、手間と時間を惜しまずに作られているからでしょうか。その味は作り手の愛情が感じられる、胸がほっと暖かくなるような優しい味わいでした。
食後のデザートは「バニラアイスのイチゴ添え」。バニラアイスの上には抹茶のソース、そして取材した日は雛祭りが近かったので「ひなあられ」が添えられていました。こういった小さな心配りがとても嬉しいですね。

ゆったりとした時間と、南魚沼産の素材の旨味がいかされた料理に大満足でした。

南雲さんの人柄からでしょうか、料理とおもてなしへのこだわりは誠実で清々しいものを感じました。

「料理だけでなく、建物全体の雰囲気や庭の自然豊かな空間を通して、普段とは違うのんびりとした時間を過ごしてもらいたいです。お客様に来て良かったと思ってもらえる様にまごころを込めて尽くすこと。ただそれだけですね」
▲夏の大欅

庭の欅は桜が終わった頃から葉が芽吹き始め、夏になるともう一回り大きくなったような威厳を感じられるとのことでした。

欅苑にいる時間は普段過ごしている時間よりもゆったりと流れている様に感じました。その理由は料理の美味しさはもちろんのこと、空間の心地良さや細部にわたるおもてなしなど、南雲さんとスタッフの方々の愛情がたくさん込められているからなのかもしれません。私も季節を変えてまた来たいと思いました。
▲室内の装飾は飽きのこない日常美へのこだわりを感じる
欅苑では別棟で宿泊も受け付けています。温泉や大きなお風呂はありませんが、おいしい朝食も味わうことができます。四季折々の姿を見せる自然と、旬の食材。移りゆく越後の大自然に包まれるリラックスした時間を過ごしに、歴史ある古民家を訪れてみてはいかがでしょうか?
スミヤ隆行

スミヤ隆行

新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。時計修理業を営むかたわら、まちづくりや空き家再生プロジェクトなど様々な市民活動に取り組んでいる。ソーシャルライフディレクターとして、これからの地域の楽しみ方やライフスタイルの提案なども行っている。 編集:唐澤頼充

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