「塩パン」ブーム発祥の店! 1日6,000個を売る「パン・メゾン」

2016.04.11

ここ数年で瞬く間に全国に一大ブームを巻き起こし、今やすっかりスタンダードとなった「塩パン」。バターと塩の豊かな風味、外はカリカリ、中はモチモチの食感で、人々をとりこにするこのパンは、愛媛県八幡浜(やわたはま)市にある1軒の小さなパン屋さんで生まれました。

ここが塩パン誕生の地!

店の名は「パン・メゾン」。海の青と山の緑が美しい、のどかな町にあります。この地で創業して17年間、地域で愛され続けているパン屋さんです。
2015年5月に移転リニューアルしましたが、同じ町内で、もとのお店があった場所の目と鼻の先。町のみんなも安心して、以前と変わらず通い続けることができています。近所のお母さんやサラリーマン、塾や部活帰りの高校生など、ひっきりなしにやって来ます。
▲ずらりと並ぶ美味しそうなパン。年間100種は新商品を作り出すのだそう
半オープンキッチンとも呼ぶべき、店内から見通せる調理場と石窯から、次々にたくさんのパンが焼きあがっては運ばれてきます。
▲お待ちかねの「塩パン」(税込・77円)も焼き上がりました
塩パンは、焼きあがるそばから、文字通り飛ぶように売れていきます。みんなトレイに山積みにして買っていきます。

塩パン誕生秘話を平田社長に訊く

この空前の大ヒット商品、塩パンは、どのようにして生まれたのでしょうか。生みの親である平田社長に、お話を伺いました。
「暑さで食欲も落ちる夏でも、みんなに喜んで食べてもらえるパンを作りたい」
新商品のアイデアを練っていたある夏の日、当時県外に修行に出ていた長男から「最近、フランスパンに塩をふったものが売れている」という話を聞きました。
これをヒントに、塩を使い、しかも硬いフランスパンではなく、子供からお年寄りまで誰もが食べやすいソフトな食感のパンを作ることにしました。理想の味と食感を求めて、バターを少しずつ増やし、ついには生地に練りこむのではなく、そのまま生地でくるくる巻き込む方法を考え出したのです。
▲塩パン製造中の様子。バターをたっぷり使います
巻き込むのは生地の約2割の分量のバター。「こんなに入れていいのかな」と思いながら焼いてみると、予想外の効果が。
まず、焼くうちにバターが溶け出して、真ん中にほどよい空洞ができ、パリっとした表面が際立つ形状になりました。
さらに鉄板にずらっと並べて焼くと、大量に溶け出したバターで、パンの底がカリカリとしたフライ状に。パリッ、カリッ、そして中はモチッ。贅沢に3つの食感が楽しめる、なんとも楽しい焼き上がりです。
「これはいける!」38年間パンを焼いてきて、これほどの手ごたえを感じたのは始めてだったそうです。

火がついたのは、地域のみんなの口コミから

「でも最初は売れなくてね。4年かかって、口コミだけでここまで来ました」と平田社長。
最初のファンは、朝が早い市場で働く人たち。市外や県外からやってきた人たちにも口コミで広まっていきました。
次なるファンは、部活帰りの高校生。お店が閉まるまでに、また商品があるうちに買いに来れない高校生が、親に買っておいてくれるように頼み始め、今度はお母さんたちの間でも評判になりました。

こうしてどんどんファン層を広げた塩パンは、100個売れれば大ヒットというこれまでの常識をはるかに超え、300個、400個と売れ始め、気づけば1,000個、そして今では土日には5,000~6,000個も売れるという、爆発的ヒットとなったのです。
▲塩パンとメロンパンが合体した「塩メロンパン」(税込・129円)。甘くて塩辛いクセになる味
▲「塩パンdeフレンチ」(税込・108円)はその名の通り、塩パンで作ったフレンチトースト

美味しさのヒミツのひとつは、こだわりの塩

今や全国で、お店ごとにさまざまな形や味の塩パンが発売されていますが、元祖ともいうべきここ「パン・メゾン」の塩パンは、やさしい塩の風味が特徴のひとつです。
決して塩辛すぎず、甘みさえ感じる塩。
どこの塩かは「企業ヒミツ!」だそうです。
でも少しだけ、ヒミツの一端を教えてくれました。探しぬき、選びぬいた岩塩を、ハンマーで割って使っているとのこと。
普通は窯で焼くと溶けてしまう塩が、程よく残り、また塩そのものが持つ甘みも生きて、バターの風味と絶妙にマッチしているのです。

売っているのは「小さな幸せ」

▲「モンキーちゃん」(税込・141円)
▲「てり焼きピザ」(税込・220円)
▲「黄金(こがね)パン」(税込・63円)
そんな平田社長が、素敵な一言をくれました。「私たちが売っているのはね、パンじゃなくて、小さな幸せなんですよ」
たくさんのパンの中から、どれを買おうかと迷う楽しさ、食べて美味しい、良かった、と思う幸せ。それをみんなに、たくさん感じてほしい。そう語る社長の笑顔も、幸せでいっぱいです。
平田社長の今イチオシのパンは「ハイミルク」。
塩パンの生地でミルクバターを巻いて、表面に塗っているのは、なんと醤油ダレ。ミルクバターの甘さと、ふわっと香る醤油が見事に調和。みたらし団子のような、どこか懐かしい親しみを感じる味わいです。これは特に焼き立てがオススメ!
▲「ハイミルク」(税込・86円)。焼き上がりにサッと塗る醤油ダレがポイント
▲コーヒーのサービスもあるので、オープンテラスで焼き立てをほおばろう!
2013年6月には愛媛県伊予郡松前町に息子さんが2号店をオープン。ここでも塩パンは大人気で、行列ができるパン屋さんです。イートインスペースやキッズスペースも充実しています。

友達やカップル、子どもと一緒に、焼きたてパンの香りに包まれて、美味しい、楽しい、幸せいっぱいの時間を過ごせるパン屋さんへ出かけてみませんか?
矢野智子

矢野智子

愛媛県在住。約20年間まったくの異業種に勤めた後、夢を追って地元出版社へ転職。愛媛出身ながらほとんどの時間を県外で過ごしていたため、生活の拠点を愛媛に定めたここ数年、地元の魅力に感動しきり。人生を豊かにするものは「食」と「読」と信じ、それを作ることから情熱を傾ける日々。

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