五感で楽しむ最高のひとときを長岡和島トゥー・ル・モンドで!

2015.06.17 更新

都市部から遠い新潟県の片田舎。何もないと思われがちな地域にも、実は地元の人だけでなく県外の人たちが何度も足を運んでしまうような隠れた名店がいくつもあります。それはまさに知る人ぞ知る極上の空間。一流の料理だけでなく、お店に行くまでのプロセスやお店の中の雰囲気、スタッフの細やかな心配りといった、あらゆる条件が揃ったときに初めて生まれる最高のひととき。五感すべてで味わい尽くす最高のエンターテインメントが新潟県長岡市の和島地域にありました。

日本の原風景が残る新潟県長岡市和島地域

JR長岡駅から車で30分。旧和島村(現長岡市)は、いまも日本の原風景が残る自然豊かな土地。辺りは山と田んぼに囲まれており、ドライブしているだけでも心がリラックスしていくような穏やかな景色が広がっています。6月初頭の田んぼには、少し伸びた稲がきらきらと輝いて、気持ち良さそうに風に揺れていました。
村中から湧き水がでる、水質に恵まれた和島地域には、1994年にフジテレビ系列で放送されたドラマのモデルとなった久須美酒造さんの酒蔵があります。久須美酒造さんが誇る伝説のお酒「亀の翁(かめのお)」が造られる大きな酒蔵の横を通り過ぎると、白い外壁の建物「和島トゥー・ル・モンド」が見えてきます。
▲築85年の木造校舎をリノベーションした施設

旧小学校の大きな門を抜けて坂を登ると、緑に包まれた森の中の校舎と体育館が現れます。時おり木もれ日がのぞくその雄大な佇まいは、初めて訪れた場所にもかかわらずどこか懐かしい感覚を思い出させてくれます。かつて子どもたちがにぎやかに遊んでいた体育館では、結婚式が行われることもあるそうです。
その体育館を囲むようにして、左右には素敵にリノベーションされたレストランとパン屋さんが併設されています。
胸をわくわくさせながら、木製の取っ手を握って扉を開けると正面に暖炉が設置されていて、木造校舎らしい木のぬくもりと細部までデザインされたきれいな空間が広がっていました。

完全予約制のレストラン「Bague(バーグ)」。地場の素材の持ち味を最大限引き出すことを考えた料理を堪能

ガラス越しに厨房が見える廊下を抜けると、お待ちかねのレストラン「Bague」です。こちらの内装もこだわりがあちらこちらに感じられます。天井が高く、ゆったりとした空間で、テラスからは緑あふれる外の景色がのぞいて見えます。
スタッフがそっとイスを引いてくれて腰を掛けると、テーブルに添えられたお花が優しく迎え入れてくれました。
メニューを開くとスタッフの方が料理をひとつひとつ丁寧に説明してくれます。この土地で採れた旬の素材を使うためにメニューの内容はたえず変化していくとのことで、今しか味わえない旬な料理を提供されているそう。
様々なコース料理が並ぶ中、スープと前菜、メイン料理などがセットになったスタンダード2,000円(税別)とカスタードプリンを注文。
通常、注文するとナイフやフォークはスタッフさんが運んできてくれますが、レストラン「Bague」は違います。「テーブルの右下の引き出しをお引き下さい」そう言われて、木材の手触りが心地良い引き出しを引くと、ナイフとフォーク、箸がきれいに収納されていました。斬新なアイデア!もうこれだけでオシャレ!
そんな小さな感動をしている中、まず運ばれてきたのが「長岡産 はくれい蕪のポタージュ」です。白い器に白いポタージュ。スプーンを口に運んだ瞬間、衝撃を受けました。いままで食べたことのないくらいみずみずしいカブの味わい、そしてポタージュの甘さが口に溶けていきます。
次に出てきたのが自家製パン。焼きたての香ばしい匂いと共に運ばれてきたパンは、まん丸で可愛らしいうさぎのしっぽの様です。オリーブオイルをちょっとだけつけて口に入れると、濃厚な小麦の風味が口いっぱいに広がっていきます。
「パンは硬水で作られることが多いですが、当店では和島の湧水である超軟水をそのまま使用しています」独特の食感と風味はこの自然豊かな土地で作られたからこその逸品でした。
▲彩り豊かな前菜「自家製 越の鶏生ハムと 中之島産 里芋のプレッセ」

続いて前菜。地元の農家さんが作った新鮮な野菜がそのまま生かされて、生ハムと共にプレッセ(フランス語で押し固める)されています。野菜とお肉の美味しさはもちろんですがひと口食べた瞬間に“違う”と思ったのは、そこに振りかけられた塩でした。気になって聞いてみると、お隣出雲崎沖の海水で作られた海塩とのこと。この塩によって食材ひとつひとつの甘みがグッと引き出され、あとから野菜の香りがふわっと口の中に広がる、絶妙のハーモニーが生み出されていました。
▲「県産豚ロース肉のミキュイ グリーンマスタードソース」

心も身体も癒されて幸せを満喫しているところ、メイン料理が運ばれてきました。こちらも彩り豊かな野菜が添えられて、見た目だけでもほっぺたが落ちそうです。お肉をナイフで刻み口に運ぶと、肉の旨みが口の中で弾けて、噛むごとに美味しさが広がります。新潟県の豊かな大地で育った豚の味わいがぎゅーっと詰まっていました。そして、半熟玉子と混ぜて食べると、これまたまろやかな舌触りがなんとも言えません。
最後にちょうどいい甘みのデザートをペロリといただいて、至福の時間がゆっくりと過ぎていきました。
外に広がる田園と里山の景色。街の喧騒も、車の音もぜす、ただ静かに鳥のさえずりと風の音だけが聞こえてきます。体に染みこんでくるような美味しい料理と、体を包む豊かな自然の空気が、忙しい日常から心を開放させてくれます。

地方だからこそ生まれた、五感で味わう最高のエンターテインメント

最高の料理をいただいた後、和島トゥー・ル・モンド ディレクターの斎藤さんにお話をうかがいました。
「デパートや県外に出店することは考えていません。この土地で採れる食材を最高の状態でお客様にお届けできるように、この場所で味わってもらうことを大切に考えています」と斎藤さん。
地域の資源と食材を最大限に生かすことで自然と生まれてきたものが、今回いただいた極上の料理に表れていました。これは豊かな緑と美味しい水に恵まれた和島という地域だからこそ生まれたものです。
そして、斎藤さんは「この和島トゥー・ル・モンドは、もともと障害者の方も一緒に働ける施設としてオープンしました。長岡市で唯一の就労継続支援A型の指定障害福祉サービス事業所なんです」と教えてくれました。
上質な空間とサービスの裏側では地域福祉を担う大切な場所でもあるんですね。
「トゥー・ル・モンドという名前はフランス語で“みんなが集まる”という意味です。高齢者も障害者も健常者もみんなが集って調和する空間を造ることをコンセプトとしています」と斎藤さん。
県外の人が何度も足を運んで通ってしまう。その背景には、たくさんの人の愛と想いがあるからなのかもしれません。
土地の食材の活用、福祉、村のシンボルだった廃校の再生。料理だけでなく、ここに至るストーリー。そして、お店に行くまでのプロセスや空間、スタッフの細やかな心配りや雰囲気といった、あらゆる条件が絶妙のバランスで調和された和島トゥー・ル・モンド。ぜひ最高のひとときを過ごしに足を運んでみてください。
スミヤ隆行

スミヤ隆行

新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。時計修理業を営むかたわら、まちづくりや空き家再生プロジェクトなど様々な市民活動に取り組んでいる。ソーシャルライフディレクターとして、これからの地域の楽しみ方やライフスタイルの提案なども行っている。 編集:唐澤頼充

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