青森味噌カレー牛乳ラーメン/全国カレー巡礼の旅Vol.16

2016.03.04

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は、徳島県のスリランカ人店主による本場仕込みのスリランカカレーをご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょうか。

【Contents】

1.組み合わせの妙!?青森県民のソウルフードとは
2.見た目は普通の味噌ラーメン。気になるお味は……?
▲本企画初となる雪国!東北・青森へやってきました

1.組み合わせの妙!?青森県民のソウルフードとは

今回お邪魔したのは、ちょっと変わったご当地ラーメンで有名な「味の札幌 大西」さん。
▲青森駅からの道中、お目当てのカレーについてタクシーの運転手さんも「大ファン!」ということでした。これは期待が高まります!
1991年創業の「味の札幌 大西」さん。店内は、木目を基調としていてロッジのような温かい雰囲気です。この時点ではいたって普通のラーメン屋さんのように見えますが……一体どんなカレーが登場するのでしょうか。
井上「これから出てくるのはね、『味噌カレー牛乳ラーメン』です!」

こん「『味噌カレー牛乳ラーメン』!?え~と、ひとつずつ整理させてください。まず味噌ですね。これはOK。んで、カレーと。これもなるほど。ここからが怪しくなってきますね。牛乳にラーメンって!」

井上「いやいや、そんな引かないで大丈夫。私も初めて聞いたときは、まったく味の想像がつきませんでした。しかし、いざ食べてみると『おや?おいしいぞ』と。一言でいうと、組み合わせの妙だね」

店主の大西文雄(おおにしふみお)さんに、味噌カレー牛乳ラーメンの誕生についてお話を伺いました。じつは青森では40年近い歴史を持つ味噌カレー牛乳ラーメン。昭和50年代ごろ、大西さんが修行を積んだラーメン店「味の札幌」(現在は閉店)で、ある常連客の「カレー味のラーメンが食べたい」というリクエストをきっかけに開発されたそう。

現在、青森県内で「味噌カレー牛乳ラーメン」を提供するお店は10軒ほど。その中でも、ここ「味の札幌 大西」のように「味の札幌」からのれん分けした5軒は、元祖の味が食べられる、と地域住民から観光客まで広く愛されています。
▲いよいよ青森名物「味噌カレー牛乳ラーメン」830円(税込)の登場!味噌の優しい香りがふわっと立ち込めます
▲いただきま~す!

2.見た目は普通の味噌ラーメン。気になるお味は……?

まずはスープから。見た目は味噌ラーメンのような乳白色ですが、その味は……?
口あたりはサラッと軽く、力みのない優しい味。初めて食べるのに、スープを飲み進めるごとにじんわりと身体に染み入るような懐かしささえ感じます。

スープのベースとなる自家製味噌ペーストは、北海道産白味噌にショウガやトウガラシなどを加えたオリジナル。これは、味噌カレー牛乳ラーメンが生まれた昭和50年代から現在まで、「味の札幌」系列の店に伝わる秘伝の味だそう。そこに青森産牛乳とカレー粉、6時間以上かけて旨みを引き出した豚骨&鶏ガラスープを投入します。
井上「牛乳が味噌とカレーを絶妙に結びつけているね。荒々しさがなく、優しい仕上がりで飽きが来ません」

こん「このスープ、角がなくて本当にマイルドですね!もっとドロッとしたものを想像していましたけれど、食べてびっくり。白味噌のあっさりした味わいを軸に、ほのかにカレーの風味や穏やかなガラの旨みを感じます。最後まで飲み干せちゃいそう」
▲厨房をちょっぴりのぞかせてもらいました。これが味の決め手となる自家製味噌ペースト
▲ここに少量の牛乳とカレー粉を加え、豚骨&鶏ガラスープで溶きます。店主の大西さん曰く「味噌、牛乳、カレー粉の割合が一番のこだわり。味噌の旨みを引き立たせるオリジナルの配合です」
続いて、麺をいただきます。青森市内の老舗、石塚製麺所から仕入れる麺は、しっかりとしたコシを感じさせる中太ちぢれタイプ。ムチッとした歯ごたえが特徴の、いわゆるガテン系の麺です。生地を伸ばす際、通常ひとつのローラーで伸ばしていくところをあえて6つ使うことで、グルテンが壊れず強いコシが生まれるのだそう。
▲伸びにくく、最後までシコシコの食感を楽しめます
▲食感だけでなく、「見た目から食欲をそそるように」とクチナシで鮮やかな色に仕上げるのも石塚製麺所のこだわり
こん「フウフウ、お箸が止まりません。奇をてらったわけではなく、お袋の味みたいな安心感があって……青森県民のソウルフードと呼ばれる理由が少し分かったような気がします」

井上「味の想像ができない分、食べたときの驚きがあって楽しいメニューだよね。ネーミングで判断せず、まずは一度食べてみてほしいなと思います。こういったメニューが長い間続いてるっていうことは、それだけみんなに愛されている……つまりはおいしいってことです!」
▲バターを溶かせばコクと塩気のアクセントが生まれ、おいしさアップ

それでは、本日のカレー格言の発表です!
井上「味噌×牛乳×カレー まず一度食べてみなはれ!」

こん「青森名物!三位一体カレー!」

青森の人々に愛される「味噌カレー牛乳ラーメン」。ホッと肩の力が抜けるような優しい味わいに、また青森を訪れる際には自然と足が向いてしまいそうです。
▲店長の金津淳(かなつじゅん)さんと。「味の札幌 大西」さん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。


井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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