五感を刺激するアート!「水と土の芸術祭2015」で体験したいアートと自然と歴史の融合

2015.06.17 更新

新潟はおいしいお米がとれる場所、そんなイメージが強くありませんか?しかし、もとは川が氾濫を繰り返す広大な低湿地帯で、今おいしいお米が作られているのは、先人たちの努力のおかげです。そんな水と土との歴史を経て、様々な命を育んできた過去と現在を見つめ、未来を考える現代アートの祭典が「水と土の芸術祭」。3回目の開催となる今年は、この新潟の歴史や自然を語る上では欠かせない「潟(かた)」(湖の一種)をメインフィールドに、69のアートプロジェクトと109の市民プロジェクトなどが展開されます。

▲メインフィールドの1つ、佐潟

鳥屋野潟(とやのがた)、福島潟(ふくしまがた)、佐潟(さかた)、上堰潟(うわせきがた)といった4つの潟や、ベースキャンプである旧二葉中学校校舎を中心に展開されるアート作品は、それぞれの潟が持つ歴史や風景、土地の文化を踏まえた、ここでしか表現できないメッセージを伝えてくれます。作品と空間と歴史を全身で受け止める同芸術祭の、五感をキーワードにした、魅力溢れるプログラムの一部をご紹介します。

【視覚】躍動する体に目が奪われる!身体を活かした芸術祭

同芸術祭の大きな特徴のひとつが、多彩なパフォーマンスプログラム。新潟市を拠点に世界レベルの舞踊作品を生み出し続ける、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館専属舞踊団「Noism(ノイズム)」が、鍛え抜かれた舞踊家たちの体をもって、様々な切り口から訪れる人の目を奪います。
「Noism1」は、メンバーが潟や芸術祭のアート作品からインスピレーションを得て振付をおこない、実際に潟や川などの作品展示場所で公演。日没に向けて移りゆく風景の中、二度と同じものはない瞬間の芸術作品が誕生します。
Noism1見世物小屋シリーズ第3弾『Nameless Voice~水の庭、砂の家』(演出振付:金森穣、2012)撮影:篠山紀信

研修生が所属する「Noism2」では新潟伝統の楽器・樽砧(たるきぬた)とのコラボを披露。また今回初めてお披露目される、世界を舞台に活躍するメンバーが集うNoismの新たなプロジェクトカンパニー「Noism0」による公演も必見!その他スクールやトークショー、朗読会など盛りだくさん!思わず見入ってしまう圧巻のプログラムに注目です。

【聴覚】自然の音から身近なものまで、音の芸術を楽しむ

耳で楽しむなら、「オーケストラNIIGATA!(大友良英)」。公募した市民100人が音の出るものを持ち寄って参加する即興のオーケストラ。プロデュースするのは、ドラマ「あまちゃん」の楽曲でもお馴染みの大友良英氏。一体どんな楽器が集まって、どんな音楽ができあがるのか。金管楽器や手作り楽器、さらには調理器具など独自のものが集まってひとつのものを創り、みんなで未来を考え共有するきっかけにする作品です。

自然の音に耳を傾けるなら、「水の声ーWater Whisper(高田洋一)」。建物の天井に蓄えた水を透過する光と、その水が水琴窟(すいきんくつ)に落ちる音とで水の揺らぎを体感することができます。日常の喧噪から一歩離れ、静かに自然の奏でに身を任せる贅沢な時間が流れます。

【嗅覚】海が、牡蠣が、川が土地の記憶を伝えてくれる。

香りは、記憶を呼び覚ます大きなファクター。竹と牡蠣殻による巨大な「新潟の夢ーDream of Niigataー(王文志)」は、海を思う潮の香りを運んでくれるアート作品です。
水と土の芸術祭に第1回より参加している王氏が、東日本大震災の被災地復興を祈念し、再生の象徴である牡蠣殻を使い、市民とともに巨大なオブジェを造り上げます。新潟の中心部を貫く万代橋からも見えるほど、大きく目立つ不思議なフォルム。内部は橋や広場など高低差が楽しいゆったりとした情景が広がります。東北の香り、港町新潟の香り、川や草や季節の香り…たくさんの自然の香りを感じた先に、どんな情景が心に浮かぶでしょうか。

【触覚】視点を変えて自然に触れる非日常体験

実際にもっと潟に触れてみるなら、地域住民によるおもてなしプロジェクトのひとつである「潟舟体験」がおすすめです。遠くから見ているだけでは分からない水や植物の様子、空気感、温度、水上から見る陸の景色をじっくり体感。すべての潟で開催されるので、同じ「潟」でも異なる特徴が分かるかもしれません。

そして鉄板や真砂土などでできた、上堰潟にかかる白いアーチ「曲(藤野高志/生物建築舎)」は、実際に座ることができるアート作品。普段目で見ることはできない風や人の動きの振動を、アーチの揺らぎによって感じることができます。

【味覚】食材も調理法もおもてなしも地域によって変化!

「timber messenger ー山から海へ移動するカフェー(金野千恵)」は、期間限定で潟を巡るカフェ建築。それぞれの場所で設えの形を変える作品。「潟るカフェ」として、そこで提供される料理は新潟食材をふんだんに使った土地ならではのものになります。
その土地の住民や生産者との交流も楽しみのひとつ。エリアごとの変化を楽しみに、何度も訪れたくなるプロジェクトです。ベースキャンプでもおにぎりや、お米を使った体に優しいジェラートなど、新潟ならではの味覚が迎えてくれます。

水と土の芸術祭2015総合ディレクター小川弘幸氏に同芸術祭の魅力を伺ったところ「作品に触れると、その周りの環境や歴史をおのずと知ることになるので、初めて訪れる人はもちろん、普段潟を身近に見ている人にとってもきっと発見があるはずです。移りゆく自然と作品との出合いは、一期一会。どの作品・場所にもきっと五感を刺激するものがあることでしょう。時間帯によって景色や作品の見え方も変わりますし、訪れるたびに新鮮な出合いがあるはずですよ」と教えてくださいました。
▲福島潟は220種以上の野鳥や450種類以上の植物が集い、天然記念物のオオヒシクイが飛来する

アーティスト作品の他にも、市民がアーティストを招聘したり自らプロジェクトを立ち上げる109の市民プロジェクトや、アーティストや街づくりを担う人達と直接議論できる座談会、こども向けプロジェクトなど、3回目を迎えアーティストと市民が密接に関わった充実の内容になっています。

そしてなんと、アート作品の鑑賞にあたりパスポートは不要!500円のガイドブックを購入すれば、作品の詳細やスタンプラリー、さらにはお得な特典までつくのでよりいっそう楽しめます。新潟を初めて訪れる人も、ガイドブック提示で乗車できる巡回バスを利用すれば、広い会場もスムーズに回ることができます。

まずは、新潟市の街中・古町にある総合インフォメーションへ。新潟の過去、現在、そして未来の表情を知るチャンスを、お見逃しなく!
▲商業ビルNEXT21に設置される1階ふるまち総合インフォメーション自体もアート作品
丸山智子

丸山智子

ライター・コピーライター。新潟をもっと楽しくするWEBマガジン「にいがたレポ」参加ライター。東京の編集プロダクション、広告制作会社を経て2014年より新潟でフリーランスに。イベントの宣伝・広報、地方情報誌、住宅情報誌、会報誌等での執筆、広告の企画制作などの分野で活動中。関心分野は、和菓子・日本文化・舞台芸術。

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