伊勢カレーうどん/全国カレー巡礼の旅Vol.20

2016.04.08

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は三重県志摩市の名産、黒アワビを贅沢に使ったカレーをご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するでしょう?

【Contents】

1.昭和3年創業、伊勢うどんの名店へ
2.ご当地うどん×カレーのコラボレーションやいかに!
▲多くの観光客で賑わうこの場所は……はい、伊勢神宮です!というわけで、今回は三重県伊勢市からお届け。伊勢といえば、やっぱり“アレ”ですよね~

1.昭和3年創業、伊勢うどんの有名店へ

私たちが向かったのは、伊勢市駅からほど近いところにある、伊勢うどんの名店「山口屋」。
▲昭和3(1928)年創業。地元の方から観光客、著名人まで多くの人が訪れる有名店です
▲これまで新聞や雑誌など多くのメディアに登場した実力派。壁には有名人のサインがたくさん!
「伊勢うどん」をご存じない方のために簡単にご説明。伊勢うどんとは、極太の麺とフワフワの柔らかい食感が特徴のご当地うどんで、たまり醤油ベースの甘辛いタレをまぜていただくのが伝統的な食べ方であります!今回はそんな伊勢うどんとカレーがコラボした「伊勢カレーうどん」をご紹介いたします!
こちらが今回お世話になる「山口屋」三代目店主の山口敦史さん。さっそくですが山口さん、今は何をされているんですか?
山口さん「釜茹でしたうどんを湯切りしているところです。伊勢うどんはとても柔らかいので、金具のザルだと麺表面が傷ついてしまう。うちでは、昔ながらの『とおし』という竹かごを使います」。
釜は直径約1メートルの特注品。

「山口屋」では、多いときには1日300食が売れるそう。って、ちょっとちょっと~!300食っていったら都内の超繁盛ラーメン店レベルの売れっぷりじゃないですか~!伊勢うどんのお店は数あれど、山口屋さんの人気度が早くも伝わってまいります。ゴクリ。
▲うどんは三重県産小麦あやひかりを使った最高峰の内麦粉「伊勢の響」を使用。併設する製麺場で、温度や湿度によって毎日塩分量を調節しながら山口さんご自身が打ちます

多くの伊勢うどんのお店同様、打ち立て後と提供直前の2度茹でが基本スタイルの同店。最初の茹で時間は、驚異の1時間(!)だとか。これを30分ほど蒸らし、提供直前に再度釜茹でします。

続いて、カレーうどんに使用するカレーについて教えていただきましょう。
▲厨房内にはスパイシーな香りとお出汁の優しい香りが漂います

山口「といっても、特別なことはしていないんだよなぁ……具材は玉ねぎと牛肉のみ。そこに、鰹節から引いた出汁と薄口醤油、ブレンドしたカレー粉3種類を加えるだけです」

こん「……それだけ?」

山口「それだけ」

井上先生「とはいえうどん屋さんで3種類のカレー粉をブレンドしているところはなかなかないですよ」
▲作り方は本当にシンプル!しかし、初代から受け継いだ丁寧な手法は多くのファンを魅了しています

2.ご当地うどん×カレーのコラボレーションやいかに!

▲いよいよ、肉カレーうどん(税込780円)の登場!待ってましたー!
▲「カレーの香りの中に出汁の香りもしっかり感じられるね」
▲いっただっきまーす
▲「ズズッ」。井上先生、第一印象をお願いします!
井上先生「カレー粉と出汁、そして醤油。3つの焦点がしっかり合っているね」

こん「バランスがいいってことですか?」

井上先生「うん。伊勢うどんに合うカレーを明確にイメージしてうまくまとめてる。個々がバラバラにならず、チームワークのいいカレーうどんって感じだね」

こん「チームワークのいいカレーうどん!たしかに!」

井上先生「穏やかな中にも黒コショウや……これはおそらく陳皮(ちんぴ)かな?うん、陳皮がいいアクセントになっている。出汁の香りが鼻からグワ~ッと抜けていくのもいいね。……おや?あとからスパイシー感が口の中で暴れ始めるぞ、これは意外!」
▲「わ!本当だ!優しそうな見た目して小刻みにパンチ出してきますね、この子!でも、鰹の丸い旨みもちゃんと感じられてグイグイ飲んじゃう」
▲伊勢うどんの麺の方はどんな感じかな~?
こん「ん~!これこれ!フワフワだから、お箸で持ち上げるのもやっとなんですよね。で、ほろりと噛み切れるこの感じ。讃岐うどんと違い、麺表面がツルツルしてないからカレー出汁をまといやすいのも◎。そういう意味では伊勢うどんってカレーうどんにぴったりな麺ですよね!」

井上先生「たしかにね!表面積もある分、カレーによく絡むね~!余すことなくまとわりつく!」
▲「伊勢カレーうどんは飲み物だ!」と、井上先生から謎の名言が飛び出しました
井上先生「全体的に優しい仕上がりだけど、食べ進めていくとのどの奥にジワジワ辛みが広がるね。でも、水を飲むのも忘れてあっという間に食べてしまう」

こん「和風スパイシーな仕上がりに箸が止まらない!」

二人ともきれいに平らげたところで、カレー格言のお時間です!
井上「カレーうどんは『うどん歯ごたえ』×『カレーブレンド』×『出汁』、それぞれを楽しみ食べよ!」

こん「まろやかカレー×ふわふわうどんの好マッチ!」
「うどんの食感とカレーブレンド、出汁……この3つのバランスの大切さをあらためて感じた回だったね。仕事柄、日々新しいお店の調査に追われているからこそ、昔ながらの優しい味わいに気づきがあったよ」と井上先生。
▲「うどんが変わればカレーも変わる。何事も相性ですね!」
▲お店の前にはオリジナルの顔ハメ看板が。これはやるっきゃないでしょ!山口屋さん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。


井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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