名古屋台湾カレー/全国カレー巡礼の旅Vol.21

2016.04.15

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は三重県伊勢市のご当地麺・伊勢うどんを使ったカレーうどんをご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するでしょう?

【Contents】

1. 台湾?カレー?まずは名前の謎から解き明かそう!
2. 辛さの連続パンチにノックアウト寸前!……と思ったら?
やってきたのは愛知県犬山市!木曽川を挟んで向こう側に見えるのは、国宝犬山城です。現存する日本最古の様式の天守閣としては有名ですが、では創建したのは?……正解は、織田信長の叔父・信康!(※情報サイトらしく、豆知識を挟んでみました)

台湾?カレー?まずは名前の謎から解き明かそう!

こん「さっそくですが、先生!今回お邪魔するのは、名古屋を中心に今“キテる”お店なんですよね?」

井上先生「そうそう。この2~3年の間に名古屋では、あるワードがついた料理が次々と生まれているんですよ~」

こん「あるワード?」
というわけで、ジャン!こちらの「元祖台湾カレー」さんが本日の舞台です!
井上先生「あるワードというのは、この『台湾』のことね」
▲こちらは店長の水野鈴治(れいじ)さん

こん「本日はよろしくお願いいたします!もうね、お伺いしたいことがたくさんあるんです!まず、なぜ台湾なんですか?」

水野店長「辛く味付けしたミンチ肉のことを、名古屋では台湾ミンチと呼んでいます。名古屋エリアではここ数年で『台湾〇〇』を謳う店が急増しているのですが、その始まりは台湾料理屋の『味仙(みせん)』で生まれた台湾ラーメンです。そして、最近の『台湾〇〇』ブームの火付け役となったのが、名古屋市に本店を置く『麺屋はなび』発祥の台湾まぜそば。そのどちらにも台湾ミンチがのっています。そして、うちは『麺屋はなび』監修のカレー店なんです」

こん「なるほど!ピリ辛ミンチ肉が乗った料理を『台湾〇〇』と呼ぶんですね。あんかけナポリタンといい天むすといい、すでに完成された料理に何かを掛け合わせるところが名古屋らしいかも!」

ここでちょっと補足をば。台湾ラーメンといっても台湾料理というわけではなく、先述の「味仙」のご主人が台湾出身だったことからそう呼ばれるようになったとか。
▲台湾ミンチの正体は、牛肉・豚肉の合い挽きにたっぷりの唐辛子やニンニク、醤油を加えて炒めたもの(……ってこれ、熱々の白飯に乗せたら無敵のやつですよね?)
▲使う唐辛子は辛さの強い韓国産

さて、台湾=ピリ辛ミンチ肉ということが分かったところで、ここからは台湾カレーの秘密に迫っていきましょう!

台湾ミンチを迎え撃つカレールウは、十数種類の香辛料と、ミキサーにかけたニンジンと玉ねぎ、ジャガイモが入った野菜たっぷり系。辛く、味付けの濃い台湾ミンチとのバランスを考慮し、野菜の甘みを生かしたマイルドな仕上がりです。隠し味には西京味噌をほんの少し。香辛料の尖りを和らげてくれるのだそう。
▲水野店長「ルウの辛さのレベルは甘口~中辛くらいです」
▲刻み生ニンニクと京都産九条ネギを添え、仕上げに卵黄をオンするのがお決まり(この卵黄がのちにいいサポートをしてくれるんです!)

2. 辛さの連続パンチにノックアウト寸前!……と思ったら?

▲お待ちかねの台湾カレー(790円・税込)、いただきま~す!
▲香辛料の複雑な香りとニンニクの香りにもうたまらん!

こん「おすすめの食べ方はありますか?」

水野店長「まずはルウと台湾ミンチだけで召し上がっていただき、その後ニンニクや九条ネギを混ぜつつ、卵黄を崩すと段階的に楽しめますよ。さらに、卓上にこんぶ酢やゴマ、キムチなどをご用意しているので、お好みで味を変化させるのもおすすめです!」
▲では、まずはルウと台湾ミンチを豪快にパクリ

こん「ぐお~目が覚めるような辛さですね~!でも、台湾ミンチがただ辛くて味が濃いだけじゃなくて、お肉の旨みもしっかり感じられる、ダイナミックな印象です」
▲「辛い!旨い!やっぱ辛い!顔面に超高速パンチを浴びているみたい!」
▲涼しそうな表情に見えますが、先生も額に汗をにじませているのです

井上先生「食べ進めると辛さも増していくね~!でも、台湾ミンチとルウとのコントラストがはっきりしていていい。これはやみつきになる味ですね」
▲「九条ネギのシャキシャキ食感も効果的!爽快さで口がリフレッシュされます」
▲ここで卵黄にも仕事してもらいましょう。行け、卵黄!
卵黄のまろやかさと台湾ミンチの辛みが拮抗した……いや、やや辛みが優勢ではありますが、食べやすくなったのは間違いないわけで。

例えるなら、さきほどまでの容赦ないワンツー攻撃(=台湾ミンチ)にセコンド(=心)がタオルを投げかけた瞬間、客席の隅に田舎から応援に来た母(=卵黄)の姿を見つけ、勝利(=完食)への一筋の光を見出した感じ。うん、余計にわかりにくい。
▲また、たとえばゴマをプラスすると風味が増し、グッと大人な仕上がりに
▲自家製こんぶ酢は、ほんの数滴加えるだけで刺激が和らぐ魔法の液体
▲「こんぶ酢をかけると辛みが一瞬消えるけど、また辛いのを食べたくなるというループですね」
▲カレーといえば福神漬けですが、台湾カレーの場合はキムチ。「これが台湾ミンチによく合うんです」と水野店長
▲食欲大爆発中の私は、おすすめトッピングの唐揚げ(1個90円・税込)も。これぞ肉×肉のスーパーパワー飯!

それでは、本日もカレー格言で締めます!
井上先生「食べ方の革新カレー 七変化で楽しむ!!」

こん「名古屋の新名物!味が変わる台湾カレー」

井上先生「味を変えながら食べるというのが衝撃だったね!九条ネギやニンニク、卵、そしてこんぶ酢などの調味料であれこれ楽しんでいたら、あっという間に食べ終わっていた感じ(笑)」

こん「味を変えるといえば、第15回の徳島編で登場した『スリランカカレー』も混ぜながら食べるタイプでしたが、あのときとはまったく違うパンチの効いた一皿でしたね。このエンタメ性の高さ、お見事です!」
▲名古屋発祥のパンチ炸裂パワーめし。東京進出の日もそう遠くない!?元祖台湾カレーさん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。


井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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