沖縄で三線作り体験/クリエイター女子が行く!Vol.20

2016.04.29

こんにちは。フリーでイラストレーターをしています五島です。「ものづくりに興味はあるけどどこで体験できるのか分からない、なかなか行動に移せない……」この企画は、そんな悩めるあなたのために、クリエイター女子を代表してわたくしが全国各地で「ものづくり」を体験しまくります。そして、ものづくり体験の思い出を描き下ろしのイラスト付きでお送りします!前回は広島県熊野町で化粧筆作りを体験してきました。さてさて今回は…?

どうも五島です。
突然ですが、みなさんに謝りたいことがあります……。

まずはこちらの画像をご覧ください。
▲ハイターーーーーイ!(豆知識ですが、女性は「ハイサイ」ではなく「ハイタイ」と言うんですって!)

えー、お分かりだと思いますが、沖縄にやってきてしまいました。
取材だ仕事だと言いながら、ちゃっかり南の楽園を大満喫しています。
美味しい海ぶどうにタコライス、透き通る海と暖かい風。浮かれてムームーも現地で購入しました。

……めちゃくちゃ楽しんでてごめんなさい!!
なんていうかこう、普通に観光客ですよね。神様、編集部様ゆるして~!的な気分です。

ただ沖縄に来たからには、この土地ならではのものづくり体験をしっかりじっくりお届けしていきますよ。
それでは早速、インジチャービラ!(沖縄の方言でいってきますの意)

うちなー時間とはこのことか

▲どっしりドドン

本日お邪魔するのはこちら、「屋良三線屋(やらさんしんや)」さん。
そう、今回は沖縄三味線とも呼ばれる、三線作りに挑戦します!

楽器作りはものづくり連載がはじまって以来、初体験。
しかも私は自他ともに認める大の音痴なので、いろいろと心配です。
そもそも三線ってどうやって作られているんだろう?
▲考えるより、まず行動。おじゃましまーす!

中に入ると、三線の名手でもある屋良先生が出迎えてくださいました。
本日はよろしくお願いいたします!
▲ほぼ土下座スタイルのご挨拶

先生「東京からよく来たねえ、まずはコーヒーでも飲みなさい。今日はオリジナルのウッド三線を作るからね。じゃあコーヒー飲んだら、そこの布の山から使いたい布を選んでね」

えっと、とりあえず一言。
ゆ、ゆるい……!!

圧倒的にゆるい。東京では感じられない和やかな空気が、ここには流れている。
これがウワサに聞いていた「うちなー時間」というやつでしょうか。

先生が醸し出す雰囲気に癒されながら、胴部分に貼る布を2種類選びます。
▲沖縄らしい柄の綺麗な布がたくさん

ビビッドな紫色や、高い空を思わせる鮮やかな青色。
布ひとつとっても南の空気を感じることができます。

先生「布が選べたら、棹(ソー)をヤスリで削っといてちょうだい。なめらかになるように、手をうまく沿わせてね」

棹とは、ギターでいうネックの部分。沖縄では「さお」のことを「ソー」と呼ぶのですね。
他にも、胴の部分は「チーガ」、胴巻きは「ティーガー」など、説明が無いと全く分からない名称だらけ!
同じ日本でも、ここまで言葉や文化の違いを感じるのは沖縄だけかもしれません。
▲荒削りの棹を紙ヤスリで磨きます

棹は木製で、米松(ベイマツ)を使っているそう。
木材の中では柔らかい材質で、紙ヤスリでも十分に削ることが出来ます。

そういえば、ものづくり体験でのヤスリの登場率、すごいなあ。
椅子を作るのにもぐい呑みの仕上げにも、色んな場面で色んなものをヤスリまくってきたので、この作業は楽しく行うことができました。
経験がものを言う~!

私が調子良く棹を磨いている間に、先生が胴(チーガ)部分を作ってくれていました。
▲木をくり抜いて穴を開けています
▲専用の器具で下地となる布と胴をはさみます

三線作りをはじめて目の当たりにして、驚いたことがひとつ。
それは、ものすんごくゴツい道具をたくさん使うこと!
イメージでは布を手で張ったり、座り作業で作るものだとばかり思っていました。
▲頑丈な機械にセッティング、布をピンと張ります

先生「機械で均等に力をかけてしっかり布張りするんだよ。手で張ったらそう上手くはいかないからね」
楽器は音が命、正確であることが重要なんですね。
想像をあっさりと覆されてしまいました。

衝撃のすかいぷ

▲布を接着剤で貼り付け乾燥させれば、胴の土台は完成

お次は、最初に選んだ布をボンドで胴に貼っていきます。
先生は平行して、「糸蔵(いとぐら)」という弦を巻き付ける部分を作ってくれていました。

指導するだけでなく、隣りで先生も一緒に手を動かしてくれるんです。
先生が木を削る音を聞きながら、布をペタペタ。
この感じ、小さいころ母が仕事をしている横で絵を描いていた時間と似ています。
いいなあ。心地良いなあ。
▲ペタペタ、るんるん

先生は年に一度、東京に三線の演奏を教えに訪れているそう。
職人さんなだけでなく、演奏のプロでもあるんですよね。

先生「そうね、前はもっと東京に行っていたんだけどね。今は、『すかいぷ』をよく使っているよ」

へー、すかいぷ?すかいぷってまた、沖縄の方言かしら。

先生「いや、Skype。ボタンひとつでできるからいいよね。それで三線の演奏を教えたりしてる」

え……?Skype……?

すかいぷって、私が知っているSkypeで合ってたんだ。
先生、Skype使いこなしているの……?

ちょっと複雑な気持ちになりましたが、確かに動画で三線の演奏を勉強できたらとても便利かもしれない。
距離という大きな隔たりを取っ払ってくれるSkype、スゴイぞ!
▲両面に布を貼ると一気に三線っぽくなった

糸蔵作りを終えた先生は電動ドリルや大きなカッターを使って棹を仕上げてくれていました。
ボンドですら使いこなせず手がベタベタになった私の目には、重そうな道具を使いこなす先生がとても魅力的に映ります。
やっぱり職人さんって、カッケエなあ……。

先生「棹はやっとくから、そのカラクイに滑り止めの溝をつけておいて」

はい、師匠!
カラクイとは糸巻きのこと。チューニングするとき手で回す、アレです。
▲これまたヤスリで削ります

糸巻きも胴も、先生の指導のおかげで無事完成!

棹をしっかり平行に磨いたら、最後に着色をします。
着色スプレーを使うので、風通しの良い外で作業をすることに。
▲棹をかかげてお庭に移動

棹は本来、黒や茶など渋い色で着色するのが一般的。
でも今回はなんでも好きな色を選んで良いそうなので、沖縄の海を連想した淡いブルーをチョイスしました。
▲プシュ~~~~~!

着色スプレーは一度に吹きつけすぎると垂れてきてしまうので、薄く塗っては乾かす工程を繰り返します。
乾くのを待つ間は、のんびり休憩。

やればできるさ、なんくるないさ~

▲お庭の近くにシーサー発見

ふと上に目をやれば、高すぎて青すぎる眩しい空。
思わず深呼吸をしたくなりますね。スーハー、スーハー。

時計の針は世界中同じリズムで進んでいるけれど、実は沖縄には沖縄の時間軸が存在する。そう言われた方がしっくりくるような、ゆったりと流れる不思議な空気。

子供のころに遊んだ公園、未来の自分の家族、今日の夜ご飯は何を食べよう……。
ものづくりを楽しみながら、いろんなことを考えました。

ああ、この時間がずっと続けばいいのに!!
▲ムラなく塗れれば、着色完了

あとは、弦を張って組み立てるだけ。もう少しだ~!

先生「あとはちょっと難しい部分が多いから、私がやっておくよ。そのかわり、普段ならお金を頂くんだけれど、今から特別に三線の弾き方を教えるから、完成までに少し弾けるようになっておきなさい」

おおおお!?
まさか、特別に演奏まで教えていただけるんですか。
楽器は鍵盤ハーモニカくらいしか触ったことのない私は今、非常に不安です
▲基本的な持ち方からご指導いただきます

うっわ、うわあ。
持っただけで緊張する。

“ド”は一番上の弦を指で押さえずに弾く、“レ”は一番上の弦を人差し指で押さえて弾く……といった具合で必死に覚えます。
これ、ギターやベースの演奏経験がある人ならわりとすんなり出来ちゃうんだろうなあ。
私の場合、“ドレミファソラシド“をスムーズに弾けるようになるにも一苦労でした。

先生「大丈夫、できとるできとる。“蝶々”と“ふるさと”の楽譜を置いておくから、練習してごらん。練習すればできるようになるさ。私は三線の仕上げをしているよ」

せ、せんせい~。いかないで~。
と思いつつ、自分の三線ができあがるのは待ち遠しい。
せっかくだし、練習して少しは弾けるようになりたーい!
▲着々と完成に近づくマイ三線
▲三線のつたない音色だけが響く空間

15分ほど練習を続けると、なんとか“蝶々”を弾けるようになりました。
ちょ・う・ちょ。ちょ・う・ちょ。
ゆっくりですが上達を感じることができて、思わず笑みがこぼれます。

30分が経ったころには、“ふるさと”もつっかえずに弾けました。
ふう~。なんだか1年分くらいの集中力を使った気がする。
やればできるじゃないか、五島!

先生「そうそう、できとるよー。これを毎日やれば、どんどん弾けるようになるんよ。さあ、こっちも三線ができあがったな。うん、上出来だね」

最後は先生のお力を借りて、ついに完成です!
▲ドン
▲ドン
▲ドドーーン!

できました。オリジナル三線。
楽器作りははじめての体験でしたが、小さな部品にまで魂を込めて作られているんだなあ、としみじみ感じました。
大事な大事な自分の子供のように扱いたくなりますよ、こりゃ。
少しだけれど演奏もできるようになったし、東京に帰っても練習しよう!

そしてラストは特別に、先生の演奏も聴かせていただきました。
▲滑らかすぎる指の動きに、うっとり

少し練習したから分かる。先生の演奏が、どんなに凄いか。
軽やかに動く指も、目を閉じて聴きたくなるリズムも、ぜんぶぜんぶ衝撃的でした。
沖縄の暖かさをそのまま音にしたような、先生の歌声。

……な、泣きそうになっちゃったよ~!
先生、本日は素晴らしい時間をありがとうございました。

先生「上等な三線ができたね。東京に演奏を教えに行ったりもしているから、良ければまた遊びにおいで。ありがとうね」
▲思い出も三線も、大事にします

これで終わりはあんまりだ

はあー……なんて素敵な1日だろう。
ぷかぷか浮かれた気持ちのまま、浜辺にやってきました。

練習したての“ふるさと”を、海に向かって弾いてみようかな。
▲うーさーぎーおーいしーかーのーやーまー
▲こーぶーなーつーりしー……

……あれ。
なにこれ、最終回みたいになってない?

え、おわるの?連載おわるの?

ありがとう沖縄~~~~!
▲~終~

(おわらないけど、おわり)

きょうのいちまい

五島夕夏

五島夕夏

桑沢デザイン研究所卒業。学生時代ロシアの絵本に大きく影響を受け、絵本画家を志す。現在はサロンのレセプションをしながら、イラストレーターとして活動中。

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