来館者1,000万人突破の「大和ミュージアム」。10分の1戦艦「大和」と貴重な資料は一見の価値アリ!

2016.02.25 更新

小説や映画、アニメの題材にもなることも多い戦艦「大和」。その「大和」をテーマにした博物館が、広島県呉市にある「大和ミュージアム」です。ここは戦艦としてのスペックだけを紹介する場にあらず!歴史や科学技術、平和を学び、体験もできる場として、子供からお年寄り、男性にも女性にもオススメのスポットです。

▲「大和ミュージアム」の外観。エントランスには海神ポセイドン(ネプチューン)像
「大和ミュージアム」は広島呉道路(クレアライン)・呉ICから約5分。JR呉駅からは徒歩約5分で到着します。館内に入ると、広いホールの右手に受付カウンターがあり、チケットはその横の自動販売機で購入します。
常設展示の他、頻繁に有料・無料の企画展も行われているので、事前にホームページなどでチェックしておくといいですね。

さあ、早速「大和」とご対面!

▲さっそく展示スペースへ

順路に沿って「大和ひろば」へ進むと、ミュージアムのシンボル10分の1スケールの戦艦「大和」が見えてきました。
▲全長は26.3m

ジャ~ン!戦艦「大和」です。写真では大きさを伝えられないのが残念ですが、実に詳細に再現されていて、ほぼ360度どこからでも見ることができます。それにしてもデカい。10分の1とはいえ、そのへんの漁船なんか比べ物にならないくらいの大きさです。
▲最大射程が約40kmもあった46cm主砲
▲艦尾に備えられたカタパルト(射出装置)と水上機
▲スクリューや舵も見ることができます

解説を聞けば「大和ミュージアム」が10倍楽しい!

「大和ミュージアム」には無料で館内を案内してくれるボランティアガイドが常駐しています。午前10時と午後2時の2回「展示解説ツアー(参加無料)」も行っており、1階展示室(大和ひろば・呉の歴史・大型資料展示室)を約1時間かけて案内してくれます。
▲「大和ミュージアム ボランティアの会」会長の川西光治さん

ボランティアガイドのモットーは「真実を正しく伝える」こと。個人の歴史観や思想ではなく、ニュートラルなスタンスで説明してくれるので「大和」の素晴らしさがより一層伝わってきます。

川西さんに教えてもらった10分の1戦艦「大和」のちょっとしたトリビアや「大和ひろば」にあるその他の展示物を紹介しましょう。戦艦「大和」のスケールに圧倒されてばかりいると、つい見過ごしてしまいますよ。
甲板にはあちらこちらに乗組員もいます。もちろんサイズは10分の1。当時の平均的な日本人男性の身長160cmを参考にしているので16cmです。う~ん、「大和」の大きさがよく分かります。
ちなみに、戦艦「大和」の正確な設計図は数枚しか現存していないそうです。様々な資料を集めて10分の1戦艦「大和」を造ったそうですが、展示後も新たな資料が発見されるたびに修正を加え、対空機銃のカバーも最初は半円形だったものが角張った形に変えられました。こういった作業はこれまで200カ所以上に上るそうです。
▲10分の1戦艦「大和」の木甲板用素材

「大和」の甲板は木製で、10分の1戦艦「大和」を作る際にも質感を忠実に再現しようと、木目が細かいタモ材が使用されました。しかも、その作業は実際の戦艦「大和」建造時に携わった棟梁、大下敏明さんが行ったそうです。すべて手作業で行われたその仕事は、まさに匠の技。リアルさを追求した職人魂が活きています。
▲気分はもう戦艦「大和」の乗組員!

10分の1戦艦「大和」を背景に記念撮影をしてくれる「やまと写真館」もあります。海兵さんの帽子をかぶって、ここでの合言葉は「はい、やまと!」。写真はその場でプリントされ、オリジナル台紙付きで1,100円(税込)です。

1階は戦艦「大和」や呉の歴史を伝えるフロア

▲展示スペースは吹き抜けで2階や3階からは全景を撮影できる

「大和ミュージアム」では、シンボルの10分の1戦艦「大和」ばかりがクローズアップされますが、実は魅力はそれだけではありません。10分の1戦艦「大和」だけを見て「でけぇ~!」「超カッコいい!」なんてはしゃいでいるだけでは、もったいない!
冒頭でも紹介したように、ここは戦艦「大和」を通して科学技術や平和を学び、体験もできる場です。開館10年目の2015年5月には来館者が1,000万人を突破し、博物館としては異例の人気ぶりを誇っていますが、平和や科学技術など、多彩なテーマと真剣に取り組んでいるからこそ、多くの人に訴えかける魅力があるのではないでしょうか。

各展示物をじっくりと見ていくことによって、技術という「モノ」が持つ素晴らしい一面と同時に、多くの悲劇を生む要素をも持っている、ということが伝わってきます。
今では戦争を知らない世代がほとんどになりましたが、だからこそ語り継がれるべき「真実」がこの施設にはあるのです。

戦艦「大和」を建造した技術力や、歴史的に呉が担ってきた役割を通じて、子供たちにも科学技術創造立国を目指す日本の未来に夢と希望を抱いてもらえると思います。

では、一般的な観賞順路に沿って館内を進んでみましょう。
「大和ひろば」のすぐ横にある「呉の歴史」展示室の入口です。
呉市には明治22(1889)年に呉鎮守府、明治36(1903)年には呉海軍工廠(こうしょう)が設置され、戦前は戦艦「大和」を建造した東洋一の軍港、日本一の海軍工廠の街として栄えました。当時の呉の賑わいや、戦後に平和産業港湾都市としての復興を経て世界的な造船の街となった歴史などを8つのコーナーで紹介しています。
▲回収された戦艦「大和」の備品や乗組員の遺品
こちらも同じフロアにある「大型資料展示室」。戦時中の実物資料が数多く展示されており、平和の大切さなどを伝えています。
「零式艦上戦闘機六二型(ゼロ戦)」や特攻兵器「回天」十型(試作型)、戦艦「大和」などで使用された46cm主砲弾などの実物が展示されています。
▲「零式艦上戦闘機六二型(ゼロ戦)」に搭載されていた「栄三一甲型エンジン」<資料提供:大和ミュージアム>

3階は遊びながら科学を学べる体験フロア

ここからは科学技術を学ぶフロアに移動します。
3階の「船をつくる技術」は、広いフロアに操船シミュレーターや波の性質を学べる実験水槽などがあり、船が浮く仕組みやプロペラの動きなど科学の不思議を体験できます。
子供はもちろん、大人もつい夢中になっちゃいそうです。
▲フェリーと高速船の操縦を体験できる「操船シミュレーター」
4階の「未来へ」。地球や宇宙に関する科学技術のこれからを紹介しています。
シアターでは「JAXA」の宇宙事業などに関する映像資料や、CG映像による戦艦「大和」の建造プロセスなどを上映しています。
4階にはウッドデッキの展望テラスもあり、呉港を一望。かつて戦艦「大和」を生み出したドック跡や行き交う船など、呉らしさを感じることができます。運が良ければ航行中の潜水艦をみることができるかも。
▲戦艦「大和」の乗組員の写真や、家族に送った手紙、葉書などを展示

「大和ミュージアム」を見学することで、改めて平和の大切さを考え、誇るべき日本の技術を認識することができました。
戦艦「大和」に乗った若者たちの悲痛な想いを感じる貴重な資料もあり、当時の若者の考え方を知るいい機会にもなるはずです。皆さんも、ぜひ出かけてみてください。

1分の1スケールの潜水艦が陸上に!

▲海上自衛隊で実際に使用していた巨大潜水艦「あきしお」

「大和ミュージアム」を出ると、道路を隔てた向かい側にあるのが「てつのくじら館」。海上自衛隊の施設で、日本で唯一、実物の巨大潜水艦を陸上展示する博物館です。
入館無料で潜水艦「あきしお」の内部を見学することができ、展示フロアでは海上自衛隊の歴史や掃海活動などを知ることができます。
こちらも2007年の開館以来、毎年30万人以上が訪れている人気の施設です。ミュージアムショップやカフェもあり、潜水艦をかたどった「あきしおカレー(税込850円)」が大人気です。
▲ハンバーグでクジラを、オニオンチップで波を表現した「あきしおカレー」
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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