黒川温泉の便利でお得な「入湯手形」で初心者はまず、この3湯を制覇しよう

2016.03.29

年間100万人以上が訪れる九州を代表する人気観光地「黒川温泉」。そのお楽しみと言えば、1枚で3湯入れるお得な温泉パスポート「入湯手形」での湯めぐり。その使い方を初黒川ならぜひ!の必湯3湯と共にご紹介します。

▲浴衣と雪駄での散策が黒川スタイル。日帰り客のためのレンタル浴衣サービスもあります(9時~16時半まで。利用料1,000円~)

約30軒の温泉宿で楽しめる
8つの泉質、約380の湯船!

入湯手形を説明する前に、まずは黒川温泉(以下、黒川)のおさらい。黒川があるのは熊本県の県北、東側は大分県との県境。福岡市内から車で2時間半、熊本市内からは2時間ほどで行ける山間のちいさな温泉地です。清流・田の原(たのはる)川沿いに風情あふれる温泉街が形成され、竹やナラ、クヌギなど木々に覆われた温泉宿が、30軒ほど点在しています。
▲温泉街は建物や看板も黒や茶で統一され、落ち着いた雰囲気
▲昔ながらの温泉街、山里の暮らしのシーンがあちこちに残っています
温泉宿の多くが自家源泉を持ち、湧き出る湯も美人、美肌湯の代名詞である塩化物泉から白濁の硫黄泉、冷え症などに効くと言われる含鉄泉など全部で8種類。隣同士の宿なのに泉質が異なることも珍しくなく、中には4つの泉質が楽しめるところも。しかもどの宿も趣向を凝らした内湯、露天風呂を数多く持ち、黒川全体の総湯船数はなんと380もあるとか。こんな多種多彩な湯をお泊り客だけでなく、黒川に来た人みんなに開放しよう、せっかくならいろいろ入って楽しんでもらおう!ということで、今から30年前、湯めぐりパスポート「入湯手形」が誕生しました。
▲これが入湯手形。1湯入る毎に裏の温泉マークのシールをはがします

1枚1,300円で3湯に入れる
入浴料も最大800円お得!

入湯手形は直径10cmの木製プレート。黒川のある小国郷(おぐにごう)エリアの特産である「小国杉」の間伐材で作られています。利用できる宿や立ち寄り温泉施設のほか、温泉街の中心にある観光案内所「風の舎(や)」で購入できます。立ち寄り入浴料は1回500円~800円と宿や施設によってまちまちですが、入湯手形なら3湯入れて1,300円。最大800円もお得に利用できるのです。
▲「風の舎」では観光情報の提供の他、お土産類なども販売。ちなみにレンタル浴衣は隣接するべっちん館にあり
入湯手形の使用ルールは以下のとおり。
・利用時間は8時30分~21時まで。
※工事、清掃、休館のため、入浴できない日や時間帯があることも。
・1枚で入れるのは3湯まで。
・1湯利用で裏に各宿の印鑑を押し、温泉マークのシールを1枚提出。
・利用者は1枚につき1名。1枚で1湯に3人利用などは不可。
・有効期限は発行日より6か月。
▲温泉マークのシールをはがして、利用宿や施設のハンコを押してもらいます
また、入湯手形には「手形 de まちめぐり」という特典が付いています。協賛する約30軒のお宿や店で入湯手形を提示すると湯上りラムネや蜂蜜ソフト、さらにガソリンスタンドの洗車代の割引などさまざまなサービスが受けられます。
▲この表示があるところで「手形 de まちめぐり」の特典が受けられます
使用済みの手形は旅の記念、お土産に持って帰ってもいいですが、温泉街の中心部にある「地蔵堂」に奉納する方も少なくありません。このお堂、黒川に湯をもたらした伝説の「身代わり首なし地蔵」を祀るパワースポットなんだそうです。特に恋愛成就、家内安全、合格祈願にご利益があるらしく、御堂前にはそれぞれの祈願用スタンプも用意されています。
▲田の原川沿いの下川端(しもかわばた)通りとお土産店が並ぶいご坂の交差点にあり
▲お堂にはたくさんの入湯手形が結ばれています
▲恋愛祈願のスタンプを押される方が多いようです

基本を知ったら実践。いざ、黒川温泉の人気3湯へ!

では、実際に入湯手形を使っての3湯めぐりに行きましょう。はじめての黒川温泉でしたら、ぜひこの3湯は押さえておきたいですね。全て源泉かけ流し。しかも毎晩、湯船の栓を抜いてきっちり大清掃を行い、新鮮な湯を提供し続けているお宿ばかり。各宿の場所や混みあう時間帯を考慮すると、以下の順にめぐるのがオススメです。

1湯め/清流の森に包まれた
「山みず木」の大開放露天へ

山あいに佇む雑木林に囲まれた清流の温泉地。ザ・黒川温泉の世界をそのまま表現しているのが、こちらの大渓流風呂。黒川にはこのような野趣あふれるタイプの露天が幾つかありますが、ここまで川べりに寄った露天風呂はないと思います。
立寄り入浴の受付は喫茶処「茶房 井野家(さぼう いのや)」にて。お風呂は店内を通り抜け、女性は右へ。男性は左下の階段をずんずん降りていくと…。
ドーン!と男湯「幽玄の湯」が登場。大きな露天の前は田の原川。清流はこのまま、温泉街へと流れていきます。
巨石で作られた湯船は上流の小さな滝から始まり、その流れに沿って横幅約20m、奥行も約10~15mある大サイズ。この大容量を満たすのは肌に近い弱酸性の単純泉。露天のど真ん中に陣取り、肩まで浸かれば、清流の中に身を置いているような、でもとってもあったかい、ふしぎ~な感じ。ちょっと火照ってきたら、湯船の周囲や中央に配置された平たい大石に腰掛けて半身浴。心地よい川風とリズミカルな川の音、そこに小鳥たちが絶妙な合いの手。ただただ脱力、雑念一掃。カラダも頭の中もどんどんほぐれていきます。
▲湯船の真横がもう川。大雨で増水した際は入浴できないことも
こんな極楽空間ですから正直、利用者も多く、総じてみなさん長湯気味。そんな中でも立ち寄り開始の8時30分~9時30分、さらにお昼時の13時~14時は、割と空いているそうです。
▲女湯「森の湯」。内湯から約30m続く遊歩道・通称「裸の散歩道」もなかなかの開放感
▲入浴後は受付をした茶房 井野家でひと休み。湧水コーヒー(450円)のほか、軽食メニューも用意
▲茶房の横には女性専用のパウダールームも用意されています
「山みず木」があるのは賑やかな温泉街エリアから車で5分ほど里山に入った奥黒川エリア。歩くと30分近くかかるので、ぜひ移動には同宿が運行する無料の「湯めぐりバス」を利用しましょう。毎日11時に山みず木の駐車場を出発し、温泉街の「おつけもの平野商店」前に停車。そこから毎時15分、45分に出発し、奥黒川エリアの各宿をまわります。おつけもの平野商店前からの最終便は17時45分です。
▲見かけた際に手を挙げれば、その場で乗車もOK

2湯め/ぷかぷか浮いてツルツル肌
「こうの湯」名物の立ち湯露天へ

観光案内所「風の舎」から徒歩15分。温泉街の西側にある高台の温泉宿。「入湯手形」で楽しめる広い露天風呂も、雑木林に囲まれた開放的な造り。しかも広い湯船の一角には洞窟風呂もあります。
▲男湯「森の湯」。梅雨前は新緑露天のシーズン
▲男湯の洞窟風呂は湯船の右手、源泉からの注ぎ口の近くにあり
▲洞窟内は意外に広く、3~4人が入っても余裕
これだけでも十分ですが、さらにこちらでは黒川で唯一の「立ち湯」も楽しめます。文字通り、立って入浴する深底の露天風呂です。湯船の底は階段式になっていて、一番深いところで女湯は130cm、男湯は160cm。人によっては水没してしまう深さなので、湯船の真ん中につかまり用の丸太が用意されています。
▲身長183cmの筆者は首から上が湯から出ました。湯船のヘリに肘をのせ、足をぶ~らぶら。高台から見下ろす山里風景にも癒されます
この丸太や湯船のヘリに掴まっての湯あみは、独特な浮遊感も味わえる不思議なひと時。立ち湯を含め、こうの湯に湧く湯は弱アルカリ性単純泉。お肌の余分な角質を落とすクレンジング効果が期待できる美肌湯です。ぷかぷかのち、ツルツルな立ち湯露天の混雑タイムは12時~14時。その前の10時~12時は割と空いているそうです。
▲女湯の立ち湯は屋根付の半露天タイプ。天井から吊り下がった棒につかまって入浴します
また、「こうの湯」は先に紹介した「手形 de まちめぐり」の協賛宿。入湯手形を見せれば、湯上りドリンクやアイス、さらに黒川オリジナルグッズなど、売店の全商品が10%OFFで購入できます。
▲右から/無添加の黒川温泉湯あがりカフェオレ220円、山吹色のジャージー牛乳、ジャージーヨーグルト各210円も10%OFF
▲黒川の温泉水を使った「温泉すぱみすと」1,290円も1,170円に

3湯め/探検気分&胎内の温もり
「新明館」の手掘り洞窟風呂に突入

3湯めは温泉街のど真ん中にある人気宿へ。明治35(1902)年の創業以来、田の原川の左岸から温泉街を見守り続けてきた「山の宿 新明館」。こちらの名物湯と言えば、手掘り洞窟風呂。先代のご主人が本館裏の岩山をノミと金槌でコツンコツン。約10年かけて完成させた渾身の湯です。
▲橋を渡って新明館へ。洞窟風呂は本館左手の岩山にあり
お宿のフロントで受付を済ませたら、本館入口の左手にある階段を降りましょう。囲炉裏のある休憩所の横にコインロッカー(15扉)があるので、貴重品類など、入浴に不要なものはこちらへどうぞ。
▲湯上り後もこの囲炉裏でひと休み
さて、洞窟風呂は混浴の「穴湯」、女性専用の「洞窟風呂」の2つ。どちらも岩山にあけられた大きな穴から入ります。
洞窟を入ってすぐに竹かごが置かれた脱衣スペースがあり、さらにその奥からナトリウム塩化物硫酸塩泉の湯を湛えた洞窟風呂がはじまります。混浴の「穴湯」は、脱衣スペースの先が左右二手に分かれていて、その通路はやがて1つに。つまり全長約25mの“コ”の字型トンネル風呂、といったところ。
▲混浴の「穴湯」。横幅約1.5mのトンネルがそのまま湯船に。脱衣スペース左手の湯船に入り
▲洞窟の中をざぶざぶと進んでいくと…
▲脱衣スペースの右手にでてきます
一方、女性専用の「洞窟風呂」は西と東に入口が2つあり、それぞれの脱衣スペースも「穴湯」よりはやや広め。そこから先の洞窟風呂は“ロ”の字に掘られていて、湯船をずんずん奥へと進んでいくとそのままぐるっと1周。全長約30mの回遊式の洞窟風呂になっています。
▲女性専用「洞窟風呂」。奥に源泉があるので脱衣スペース付近はわりと温かめ
この洞窟風呂を作った先代は「お母さんのお腹にいるような懐かしさ、居心地の良さを感じながら湯を楽しんでほしい」との思いで、洞内をやわらかなオレンジ色を放つタングステン電灯を灯すのみに。ほの暗い状態の洞内は、温泉成分を含んだ蒸気によって常にミストサウナ状態。時折、湯気が大量に発生して、洞内が視界不良の状態になることも。そんな日の翌日は決まって雨が降るそうです。

温泉街のど真ん中にあって、さらに国内外のメディアに多く取り上げられている人気湯ゆえに、日中の立ち寄り入浴は混雑必至。ゆっくり入りたい方は日帰り客も減り、宿泊客も夕食タイムに入る18時以降がおすすめです。
▲洞窟風呂を楽しんだ後は、露天風呂「岩戸風呂」もぜひ
入湯手形で楽しめるのは2つの洞窟風呂だけでなく、その上流に設けられた露天風呂「岩戸風呂」も。ただし、混浴で脱衣所も男女兼用。川沿いの露天風呂なので、目隠し用の木々に覆われていますが、その隙間から対岸の温泉街を闊歩する浴衣姿の人々が時々チラリ。ちょっとスリリングだけど、のどかな温泉街シーンを望む露天風呂はたぶんここだけ。勇気のある方はぜひチャレンジしてみてください。
今回は上記3湯を紹介しましたが、他にも黒川には魅力的な露天風呂が満載です。その詳細は黒川温泉観光旅館協同組合のホームページでご確認を。ホームページには各湯の混み具合、清掃中、工事の為に入浴不可など、現在の露天風呂状況が確認できるQRコードも載っています。
※価格はすべて税込。

※平成28年熊本県熊本地方を震源とする地震により被害に遭われた方々に、謹んでお見舞い申し上げます。
被災地域の皆様のご健康と、一刻も早い復興をお祈りいたします。

当該地域にご旅行予定の場合は、あらかじめ現地の状況をご確認のうえ、十分に注意してご訪問下さい。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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