祭りの入口、輪島キリコ会館へ!灯り舞う能登半島の夏を先取り

2015.06.23

北陸新幹線の開通で賑わう金沢市から約1時間ほど能登半島を北上していくと、NHK連続テレビ小説「まれ」の舞台である輪島市へとたどり着きます。飛騨の宮川朝市、千葉の勝浦朝市とともに日本三大朝市と呼ばれる輪島朝市には、ぐずついた天気の平日にも関わらず多くの観光客がいました。

▲輪島朝市
漆器と海産物が並ぶ独特な朝市を抜け5分ほど歩くと、本日の目的地が見えてきました。能登半島の祭文化を体感できる新スポットとして2015年3月にリニューアルオープンしたばかりの「輪島キリコ会館」です。

「キリコ」とは「切子燈籠(きりことうろう)」の略であり、能登の祭を象徴する祭礼の大道具。担ぎ棒の上に白い和紙を貼った行灯型が乗った形状をベースとし、幕や提灯など集落ごとに特徴ある装飾が施されています。

能登半島では、7月から10月にかけ、約200もの地域にて「キリコ祭り」が開催されますが、本来キリコは、祭当日にしか目にできない貴重な祭礼具であるはず。建物の中は一体どうなっているのでしょうか?
▲コンクリート張りの建物

現役から160歳のOBまで、総勢31基のキリコが立ち並ぶ

実は、キリコ祭りへの参加経験がある筆者としては、「あの迫力をこんな施設で表現できるのか」と半信半疑な心持ちでした。しかし入館した瞬間そこで感じたのは、キリコ祭りの、まさにあの雰囲気でした。明かりが灯された行灯型に浮かび上がる、幻想的な筆文字や武者絵。全身に「輪島塗」が施された黒く丈夫なボディが放つ、荘厳なオーラ。立ち並ぶキリコは今にも動き出しそうで、その姿はまるで、担ぎ手の男たちを待ち構えているかのようでした。
▲2014年4月25日「灯り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~」として能登のキリコ祭りが「日本遺産」に選定
小さいものでも4~5mのキリコたち。一体何基あるのか?どこから集めたのか?湧いて出る疑問に、キリコ会館スタッフの野口さんがお答えくださいました。

「こちらでは、大小合わせて31基を展示しています。小さい24基のほとんどは、輪島大祭で実際に担がれている現役キリコ(例外あり)。また、奥にある10m超の大きな7基の中には、160年前から担がれてきたキリコもあります。」

希望すればキリコガイドを受けることができます。わずか10分ほどですが、キリコ祭りに興味を抱くには十分な時間でしょう。
▲大きなキリコの前で説明する野口さん。数年前にUターンしてきたお祭り男です
「能登半島には、全部で700~800基ものキリコが存在すると言われていますが、祭礼を行う町内でそれぞれ管理されているのが一般的で、普段お目にかかることはまずできません。ですがここに来れば、一年中見ることができます。そこが何よりの魅力です。」
▲LEDライトによって、昼のキリコ、夜のキリコ、それぞれの表情が映しだされます
▲行灯に「能登國(のとのくに)」と描かれたキリコ
また建物の設計にもこだわりがありました。ポイントは「視点」。キリコを囲むようにあるスロープを登っていくことで、少しづつ視点を変えてキリコを眺めることができます。
▲祭の時ですら見ることのないキリコ会館だけが持つ視点、上から見下ろすキリコ

さぁ、夏が来る。キリコ祭りに行ってみよう!

野口さんのお話で印象的だったのは、キリコ会館はあくまでお祭りへの「入口」であるということ。キリコを間近で見て、少しだけ知的好奇心を満たされたあなたは、「あんな大きなキリコを担ぐって想像できない… どんな雰囲気なのかな…。」と本物のキリコ祭りが気になって仕方がなくなるはず。そんなあなたに、約200近くあるといわれるキリコ祭りの中から、筆者のおすすめをご紹介します。

【七尾祇園祭】
能登半島の中核都市である七尾市。その中心街で開催されるキリコ祭が七尾祇園祭です。こちらでは「キリコ」ではなく「奉燈(ほうとう)」の呼び名を使います。奥能登エリアとは違い、鉄道・バスと公共交通機関で金沢から移動できるため、参加しやすい点がおすすめ。

【西海祭(さいかいまつり)】
羽咋(はくい)郡志賀町の西海地区にて、毎年8月14日の夜に開催されるお祭り。なんとなんといっても「女性がキリコを担ぐ」ことが伝統的に行われていることが特徴。男臭いキリコ祭りとは違った雰囲気が味わえます。大学生(女性)であれば、キリコの担ぎ手になれるツアーも実施しているそう。

※その他のキリコ祭りの一覧はこちらから

帰り際、「おすすめのキリコ祭りは?」と野口さんにたずねたところ、最高の笑顔で「輪島大祭」というお答えが返ってきました。やっぱり、なによりも地元のお祭が一番なんですね。
岡本竜太

岡本竜太

大学卒業後、地元・飛騨高山へUターン就職。その後、ご縁あり能登半島へ移住。現在は、民間のまちづくり会社での長期実践型インターンシップや能登旅のコーディネート活動を軸としながら、フリーでローカル記事の執筆等を行う、地域編集者の見習い。趣味は、スペインとサッカーと里山。

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