かっぽ酒めぐりin黒川温泉。情緒あふれる温泉街を闊歩

2016.04.08

熊本県の人気温泉地・黒川温泉と言えば、お得な「入湯手形」での湯めぐりが人気。実は1枚で3か所をめぐるお得手形は、もう1種類あります。その名も「黒川かっぽ」。温泉街に点在するお宿や酒屋でぐいっと一杯楽しめる“はしご酒”手形です。

▲竹コップを片手に、温泉街でいろんなかっぽ酒を飲みに行こう

18 軒の温泉宿、酒屋で
3杯+おつまみ付で1,500円

安い!多くの居酒屋が生ビール1杯500円。焼酎1杯400円~500円。なのにお酒が3杯飲めて、しかもそれぞれにおつまみも付いて1,500円!その恩恵は情緒あふれる温泉街、さらに奥黒川エリアと呼ばれる山あいに点在する18軒もの温泉宿と酒屋で受けられます。味わえるのは地元酒蔵の日本酒や球磨焼酎、手づくりどぶろくなどなど。お酒が苦手な方のためには、ソフトドリンクや甘酒などが用意されています。飲み物と一緒に出されるおつまみも、黒川の温泉蒸気で作った蒸し卵やお宿の女将特製のお漬物、黒毛和牛のしぐれ煮など、実に多彩。

では早速、体験取材。遠慮なく、飲ませていただきます。気分を一層盛り上げるために「旅館 御客屋(おきゃくや)」さんのご協力の下、ゲタに浴衣、丹前をお借りしました。ちなみに御客屋さんでは、地元・河津酒造が仕込む純米吟醸「小国蔵(おぐにぐら)一本〆」、おつまみは「愛情たっぷりつけもん」を用意しているそうです。
▲「はい、黒川かっぽセット」と「旅館 御客屋」の女将、橋本さん。フロントで黒川かっぽ手形と専用の竹コップをもらいます
▲竹コップはけっこう大きい!すりきり一杯お水を注いで量ったら、200㏄ちょっとありました

入湯手形と同様に黒川かっぽ手形は小国杉の間伐材で作られています。購入は上記の「旅館 御客屋」をはじめとする協賛店舗、また黒川温泉観光旅館協同組合「風の舎(や)」にて。「入湯手形」と同じく、使用の際は手形を見せて、裏に貼られたかっぽシールを渡します。ただし、黒川かっぽの利用時間は15時~21時。また、入湯手形の使用は1人1枚ですが、黒川かっぽの場合は、複数利用も可能。1人で1枚を利用して3カ所回ってもよし、手形1枚で飲める3杯を3人で飲んでもよし。その際、手形1枚で竹コップは1個しかついていないので、他の2人は店舗が用意するコップでぐいっとやります。
▲手形と一緒にパンフレットもゲットしましょう。お店情報やマップのほか、黒川かっぽを心ゆくまで楽しむための十ヶ条も書かれています

準備万端!では、いきましょう!
パンフレットを見て、ライター山田は以下のお宿と酒屋さんに魅かれました。まずは地元米と清流で仕込んだ限定清酒を、熱々の小国大根のおでんを肴に。

1かっぽめ/竹のコップになみなみと地元酒!
温泉街の玄関宿「夢龍胆(ゆめりんどう」へ

▲国道442号から温泉街に入ってすぐ。清流・田の原(たのはる)川と見事な日本庭園を見下ろす純和風の温泉宿

ロビーに入り「黒川かっぽをしにきました~」と叫ぶと、支配人の中尾さんが一升瓶を抱えてにっこり登場。手にしているのは、地元小国町の河津酒造が作る清酒「あきげしき」。「JA阿蘇小国が推奨するあきげしきと言う地元米と田の原川の源流から出る湧水で仕込んだ、このエリアを代表する地酒です」と中尾さん。
▲「年間900リットル、一升瓶では約350本しか仕込まない限定酒。夕飯のお酒にもこれを出しています」と中尾支配人

「一般的に日本酒は山田錦などの酒米で仕込みますが、あきげしきは食用米。でも、甘みがしっかりある力強いお米なので雑味のない、いい酒ができるそうです。当館のご飯もあきげしきで炊いていますが、そのおいしさをそのまま出したいい酒だと思います」と言って、竹コップになみなみと注いで下さる中尾さん。
仰る通り、お米の味と香り、感じます。しかもドライすぎず、甘すぎず、ちょうどいい塩梅のスッキリさ。すいすい飲んでしまいます。
▲地元米あきげしき。温泉街にある「後藤酒店」や総合物産館きよらカァサなどで販売

ちなみに黒川のある南小国町には、3つの特産品があります。まいたけ、里芋、そして小国大根。この小国大根のおでんが、限定酒あきげしきのおつまみに。ぶ厚い輪切りの小国大根を丸2日間、出汁の中でじっくりゆっくり。高冷地育ちの小国大根はしっかりした身と甘みが特徴。そこに出汁の旨みが加わって生まれる深~い味わい。大根の中心部までじんわり染み込んでいます。スッキリ味のあきげしきとの相性も抜群です。「ぬる燗のあきげしきも格別です。ご希望の方は遠慮なく、お申し付けください」と中尾さん。
▲箸がスッと入る、ほどよいやわらかさ。肉厚な小国大根のおでんは5月いっぱいまで。暖かくなったらお漬物などに変更予定
▲夢龍胆での黒川かっぽスペースはロビー、または入口横の囲炉裏で。「ゲストに交じって飲むことも少なくないです」という中尾さん。では今回も、一杯どうぞ

2かっぽめ/酒屋前の長椅子で
地元産の里芋仕込みの焼酎を

さてお次は、黒川かっぽの協賛店舗で唯一の酒屋、「後藤酒店」へ。こちらは黒川温泉を見守り続け90余年のお店。店内の右側は地酒、地ビール、熊本ワインなどが満載のお酒コーナー、左側は多彩なお土産に本、調味料や洗剤、衣料品などを置くコンビニゾーンに。場所も温泉街のど真ん中にあるので、観光客のみならず、地元の人もよく利用しています。
▲コンビニのない黒川では、大変重宝なお店。軒先には井戸水でキンキンに冷やした湧水仕込みのサイダー(200円)も販売

この酒屋さんでの1杯は、黒川温泉オリジナルの芋焼酎「芋車」。芋は芋でも地元の特産・里芋で仕込んだちょっと珍しい里芋焼酎です。仕込むのは熊本県球磨郡水上(みずかみ)村にある球磨焼酎の蔵元「大石酒造場」。
そこの社長さん曰く、「数年前に地元の方々に『南小国の野菜、里芋を使った特産品を作りたい!』と熱くお願いされ、引き受けました」。しかし正直、里芋での仕込みは、米でのそれよりかなり大変とのこと。「毎年11月に南小国から送られる約2トンの里芋をきれいに洗って皮をむき、蒸して潰して発酵、そして蒸留。そして3月、南小国町だけに納めます」。その数、約3,000本。南小国町の一部の酒屋、お宿でしか買えない、飲めない限定焼酎なのです。
▲「うちでも販売しています。720mlで1,890円」と店長の後藤幸子さん
▲お湯割りでいただきました。サツマイモほど強くない、里芋ならではのやわらかな香りと甘み。米焼酎のようにすっと、後を引かないキレも感じました

「酒屋ですから、他のお宿さんのようにこちらで調理したおつまみを出すことができません。お店で販売している商品をお出しします」と後藤さん。この日は明太子味の柿ピーが登場しましたが、日によっていろいろ変わるそうです。
▲店内には地酒の試飲コーナーもあり。そこでの角打ち、つまり立ち飲みスタイルか、店先にある休憩用の長椅子に座って、じっくり里芋焼酎「芋車」と対峙
▲撮影時は生憎の天気。でも雨に濡れた温泉街を眺めながらの一杯も、オツですね

3かっぽめ/田の原川を望む「ふもと旅館」で
無農薬米の古代米どぶろくをすする

▲「後藤酒店」の横にあるいご坂を下って、川沿いの下川端通りへ。黒川かっぽの3軒目は田の原川に面した15もの多彩なお風呂を持つ「ふもと旅館」へ

こちらでは、18軒ある黒川かっぽ協賛店舗で、唯一「どぶろく」が味わえます。どぶろくとは米、米麹、水のみを発酵させ、もろみを濾さない濁り酒のこと。黒川温泉のある熊本県阿蘇郡はどぶろくの製造と販売が許されているどぶろく特区なのです。ふもと旅館ではもち米の原種と言われる古代米で仕込んだどぶろく「風の杜(もり)」を用意。
「地元のハーブ農園あっぷるみんとさんが、無農薬で育てた古代米で仕込みました。黒川かっぽはもちろん、お泊りの方は夕食でもお楽しみいただけます」と女将の松崎久美子さん。
▲右から甘口、やや辛口の熟成、さらにノンアルコールの甘酒の3種類あり。今回は甘口をいただきました
▲黒紫色の古代米で仕込んでいるためか、できたどぶろくもうっすら紫色です

古代米の粒々と共に、竹コップににごり酒がどろんどろんと注がれていきます。口に入れると甘酒のような風味とほどよい酸味、そして微発泡。この濃厚などぶろくに合わせ、おつまみもしっかり味。南小国町の3大特産の1つ「まいたけ」と黒毛和牛のしぐれ煮です。生姜の千切りもいいアクセントでした。
▲「ふもと旅館」での黒川かっぽはフロント前のテーブル、または対岸にある湯小屋と結ぶ太鼓橋で楽しめます
▲屋根付の太鼓橋の中央部分には、湯上りの休憩用に長椅子も用意

「ここから見る田の原川は格別です。初夏は新緑、秋は紅葉に包まれ、また冬は手づくりの竹あかりが川面を照らします。四季折々の清流シーンが楽しめますよ」と女将の松崎さん。そんな松崎さんは、さまざまなアイデアで黒川温泉を盛り立ててきた女性の一人。黒川での過ごし方や楽しみ方、穴場情報などもいろいろ教えてくれますよ。
撮影時は2月、しかも雨でしたが、ちょい枯れな田の原川もなかなか。しみじみしながらどぶろくをいただきました
今回は上記3軒を紹介しましたが、他にも地元酒蔵のフルーティな純米酒や熊本ならではの米焼酎、さらに球磨焼酎ベースの手づくり梅酒など、いろんなお酒が楽しめます。お酒はもちろん、お宿やお店の方、また同席するかっぽ仲間との出会いも、黒川かっぽの醍醐味の1つ。
黒川温泉観光旅館協同組合のホームページでも、黒川かっぽの協賛店舗の一部を紹介しています。事前にそちらもぜひ、チェックを。
※価格はすべて税込。
※平成28年熊本県熊本地方を震源とする地震により被害に遭われた方々に、謹んでお見舞い申し上げます。被災地域の皆様のご健康と、一刻も早い復興をお祈りいたします。
当該地域にご旅行予定の場合は、あらかじめ現地の状況をご確認のうえ、十分に注意してご訪問下さい。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

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