新鮮なトロ馬刺しからスタート!熊本市の「馬肉郷土料理けんぞう」でウマ三昧

2016.04.12

熊本名物といえば、「馬刺し」。首都圏でも馬刺しが味わえるお店は増えましたが、そこは馬肉王国・熊本。本場は鮮度、肉質が違います。しかも馬刺しのみならず、煮たり焼いたり揚げたりした、多彩な馬肉料理も味わえる。中でも熊本市のど真ん中をひょっともぐった、こちらの居酒屋がすごかった!

▲「トロ馬刺し」と評判のサシがきれいに入った極上馬刺し!

接待用や観光客向けでなく、熊本人が
心を許した仲間を誘って馬肉を楽しむ店

お店の名は「馬肉郷土料理けんぞう」。場所は熊本市の繁華街・下通りと銀座通りの交差点付近にある雑居ビルの地下にあります。お店に入ってすぐにカウンター7席。その右奥に15名ほどが座れるお座敷、というかなり家庭的な雰囲気です。
▲座敷には5卓。テーブルは人数に合わせて自由にレイアウト
オープン前に伺うと、たまたま常連さんがいらっしゃいました。その方曰く、
「熊本市内には有名な高級馬肉料理屋さんもあるけど、そこは接待とか観光客向けって感じ。でもココはホントに熊本市民が来るお店。県外の友人や膝を突き合わせられる関係の人にホントにおいしい馬肉を食べさせたいという時は、まず、ココに連れてきますね」

それを聞いてカウンターから「だから下手なもんは出せないんですよ」とご主人。
「みなさん舌が肥えているから、いい馬肉を仕入れなきゃならないし、お出しする量もケチケチできません。大変なんですよ」と笑いながら仰る。
▲ご主人は店名通りのお名前、小島けんぞうさん
▲「はい、まずはつきだし」とご主人が手渡したのは馬肉のおでん風

つきだしから馬肉たっぷり。臭みのないすっきりとした味わいの中、肉々しい赤身やコリコリの馬スジ、やわらかな馬ホルモンといろんな部位が入っていて、それぞれの食感もまた楽しい。
▲けんぞうさんは熊本市内の馬肉料理店で修業。独立後、お店を開いて早15年

馬肉は馬の飼育から肉の加工まで一貫して行う「千興(せんこう)ファーム」から仕入れているそうです。そこは熊本市に隣接する御船(みふね)町にある日本一の規模と徹底した衛生管理を誇る馬肉専門企業。自社の馬肉を使った高級馬肉料理店もあり、熊本市内や福岡市のJR博多駅などに展開しているそうです。

「きちんと処理された新鮮で肉質のいい馬肉が入手できるので、馬刺しなどの生食料理を含め、お客様に安心して提供できます。また、うちは他のお店に比べて仕入れる量が多い方だと思います。その中でも飛び切りの部分を馬刺し用に切り分けます」とけんぞうさん。
馬肉の各部位を丁寧に下処理。その際に出る肉片やスジ、皮などを先のつきだしなどに無駄なく、上手に利用しているとか。では、さっそくけんぞうさん、こちらの看板メニューである馬刺しをお願いします。
▲馬刺し1人前2,200円(写真は2人前)。美しい霜降り!しかも馬刺し1枚1枚が分厚い、大きい、エッジが効いてる!

トロ馬刺しとも呼ばれる極上の馬刺し!先ほどの常連さんが再び解説してくれました。
「ここのはカッティングが見事でしょう!うちの嫁の実家が精肉屋なもんですから、いろんな馬肉を見てますけど、ここまで質のいい馬肉はそうそうないですよ。しかもこんなピシっと角の立った見事な馬刺し。熊本市内でもなかなか食べられませんよ」

ちなみに馬刺しはおろしショウガ、またはおろしにんくにと醤油で味わうのが一般的ですが、けんぞうさんのおすすめは一味唐辛子。
「九州の醤油は甘いでしょ。そこにたっぷり一味をかけ、玉ねぎスライスを乗っけたり巻いたりした馬刺しにつけて、食べてみてください」。
トロ馬刺しに広がるサシの甘みにトロッとした食感、そこにたまねぎのシャキシャキ、そして一味のピリッとした辛み。なかなか合います、どんどん箸が進みます。
「春は甘い新玉ねぎの季節ですが、私は通常の辛い玉ねぎスライスのほうが好み。一味もね、醤油が真っ赤になるほどたっぷりかけます」とけんぞうさん。
ここで、改めて質問です。そもそも、なぜ、熊本は馬肉王国なんですか?
「諸説ありますが、私は熊本城を建てた戦国武将・加藤清正説を信じています。清正が豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、食糧が底をつき、やむを得ず軍馬を食べた。その後、肥後(熊本)の国を治めてから馬肉食が広がった、と言われています。今のように美味しいからというよりは、高熱を伴う病の治療薬として馬肉は食べられていたようです」
現在でも一部地域では民間療法として、熱さましに馬肉を貼りつける風習があるそうです。

トロ馬刺しのお次はレバー刺し、
タンを含む珍味一堂5点盛り!

さて、お次はこちらの人気第2位のメニュー「熊本馬刺し5点盛り」。馬刺しとありますが、こちらは内臓系の部位を使ったお刺身5点盛り。先に紹介したトロ馬刺し入りの5点盛り、と勘違いするお客さんが多いらしいので、皆さんもご注意ください。
▲5点盛り3,300円。左上から時計回りでタン、ハツ(心臓)、レバー、コーネ(たてがみ)、そして心根(しんね。馬の大動脈)

トロ馬刺し同様、どれも鮮やかで肉厚!噛み応えとサシの甘みの両方が楽しめるタン、瑞々しくサクサク食感のレバー、それよりも少しやわらかなハツ。幅広のコーネは口に入れた瞬間にとろけはじめ、大動脈の心根はメンマのような繊維質で、噛むごとにショキショキ!味はもちろん、5点盛りは食感が楽しい!5点の中でもレバーが一番人気だそうです。しかし、レバーは馬一頭から5~6kgしか取れない希少な部位。

「実を言うと、仕入れ先はレバーを単品で卸してくれないんです」とけんぞうさん。希少なだけにたくさん馬肉を仕入れるお店から優先してレバーを提供していくそうです。その量も然り。けんぞうさんが大量に馬肉を仕入れる理由の1つに、このレバーの確保もあるようです。レバーが品薄の場合は、営業途中から「馬刺し4点盛り」になることも。それを見越して、早めに来店する常連さんも少なくないとか。レバーを含めた5点盛りはそれぞれ単品でも注文可能(各800円~1,100円)ですが、5点盛りの方が断然お得です。

刺身の後もウマ三昧。握りに焼肉、
天ぷら、そしてほっこり味の馬汁を

上の2大馬刺しで満足してはいけません。煮たり焼いたり揚げたりと、馬の各部位の特徴を引きだした多彩な馬肉料理も大評判。中でも必食は以下の4品。
▲馬にぎり1,000円。トロ馬刺しと同じ馬バラ肉、または馬カルビを使った贅沢握りが3貫
▲馬塩焼き1,000円。馬カルビを約100g使用。塩、コショウで味付けしているので、まずはそのまま。途中から自家製のやや甘めのポン酢と共に
噛むほどに脂の甘みと赤身の旨みが口いっぱいに。ビールがほしい!
▲馬ホルモンてんぷら1,500円

てんぷらはホルモンの表面を覆う薄皮を丁寧に手で剥き、衣につけて油の中へ。日によってハツやコジュツ(直腸)を使用することもあるとか。熊本ならではの甘めの醤油と辛子をつけていただきます。
▲サクサクの衣と相反するホルモンのグニッ、コリッ、ときどきトロンな食感
▲馬汁400円

〆は麦みそ仕立てのお味噌汁。馬肉はもちろん、野菜もたっぷり!豚汁のようなこってり感のないあっさり味、でもお肉の味がしっかり感じられる一杯。お腹の底からじんわり温まります。
▲馬肉もトロトロに煮込まれ、とっても柔らか

このほかにも馬ヒレステーキや馬ホルモンの煮込み、馬串焼きなどもあり。また、トロ馬刺しに5点盛りなどの馬肉料理、さらに「辛子れんこん」、まるごと1本茹でた分葱をぐるぐるに巻き、酢味噌につけて味わう「ひともじぐるぐる」など、熊本ならではの郷土料理も楽しめるコースもあります(3人前より、前日までに予約。1人5,000円~)。馬肉料理に合う、球磨焼酎も豊富です。

熊本、及び馬肉初心者にはぜひ行ってほしいけど、ここを知ってしまったら、他ではもう満足できなくなっちゃうかも。馬肉経験値を一気に上げてしまうお店だと思います。
※価格はすべて税込。
※平成28年熊本県熊本地方を震源とする地震により被害に遭われた方々に、謹んでお見舞い申し上げます。被災地域の皆様のご健康と、一刻も早い復興をお祈りいたします。
当該地域にご旅行予定の場合は、あらかじめ現地の状況をご確認のうえ、十分に注意してご訪問下さい。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP