全国の日本酒ファンが集まる、佐賀「鹿島酒蔵ツーリズム」が2016年3月26・27日に開催!

2016.03.18 更新

佐賀県鹿島市は有明海を臨む河口の町で、水が豊富なこともあり、古くから酒造りが盛んな場所でした。豊かな自然の中で育った米と美味しい水、そして蔵人たちの手によって、現在6つの蔵でお酒が醸されています。その鹿島で、蔵元たちと触れ合い、蔵人が心を込めて造ったお酒を味わい、様々な催し物も楽しめるという春のイベントが開催されます。

2015年度は7万人を集客!「鹿島酒蔵ツーリズム」とは?

全国の日本酒ファンが集まるイベント、「酒蔵ツーリズム」。
酒蔵ツーリズムは全国各地で行われていますが、その地で造られる日本酒と地域の文化を合わせて情報を発信し、地域全体を活性化しようと全国に先駆けて推進してきたのはここ、佐賀県鹿島市です。

古い町並みが残る鹿島市の肥前浜宿(ひぜんはましゅく)は、江戸時代には宿場町として栄え、また、良質な水と米に恵まれた土地で当時から酒造りが盛んでした。今も昔の面影が残る町並みは「酒蔵通り」と呼ばれています。


「鹿島酒蔵ツーリズム」は鹿島市内の6つの酒蔵が同時に蔵開きを行い、新酒の試飲や酒蔵見学、日本酒バーなどが楽しめるイベント。2016年は3月26日(土)、27日(日)に開催予定で、すでに旅行会社からオフィシャルツアーが発売されるなど、日に日にイベントへの期待感が高まっています。

ツーリズムに参加するのはこんな蔵!

参加する6つの蔵と「鹿島酒蔵ツーリズム2016」の見どころを紹介します。

1. 富久千代酒造

まずは、2011年に開かれた日本国外最大規模の品評会IWC(インターナショナルワインチャレンジ)の日本酒部門で最優秀賞“チャンピオン・サケ”に輝いた「鍋島 大吟醸」を醸す富久千代酒造。
▲佐賀を代表する酒、「鍋島」の暖簾を掲げる蔵の外観
▲入り口の扉を開けると、「鍋島」の瓶がずらりと並んでいて、その光景に思わず喉がゴクリ

富久千代酒造の蔵や精米所は、2004年に国の有形登録文化財になりましたが、今まで一般公開は行われていませんでした。しかし、今回その蔵をリニューアル。鹿島酒蔵ツーリズム時には見学が可能になり、中で試飲も出来るようになります。
伺った時はまだ片付け途中でしたが、蔵開きまでには出来上がっていることでしょう。楽しみですね。
▲取材時は、蔵人のご厚意で蔵の内部も案内していただきました
▲お酒を仕込んでいるタンクには、何回目に仕込んだかと、使用米の銘柄、精米率が書いてあります
▲リニューアル中の試飲、展示スペース
▲立派なテーブルがある部屋は、社員で食事会を開いたり、会議や打ち合わせなどで使用されています

「鹿島酒蔵ツーリズム2016」開催時には、この部屋で唐津焼の窯元が用意する酒器から好みの器を選んで試飲ができるそう。気に入った酒器があれば購入もできるとのこと。さらに毎年恒例のフラメンコダンスの催し物もあるそうです。

2. 峰松酒造場

「ふるさとをもっと知ってほしい」という想いから「観光酒蔵」として銘打っている峰松酒造場。蔵見学をすると、「観光客が楽しめるように」、「日本酒についてもっと知ってもらえるように」、と社員の方が熱意を込めて説明してくれます。
▲創業時から造っている銘柄は「菊王将」。晩酌酒として地元で愛飲されてきました

醸している日本酒は「菊王将」の他に、肥前の名前をもっと広めたいと地域名をそのまま銘柄にした「肥前浜宿」があります。純米酒はキレがよく、吟醸酒は甘めの呑み口で人気が上がっています。
▲蔵元の峰松一清(みねまつかずきよ)さん

2015年の10月から新しく30代の若い杜氏を迎え入れた峰松酒造場。
やってみなければ分からないと、杜氏のチャレンジを受け入れ、「杜氏のやりたいようにやってもらいたい。その中から良いものが生まれる。」と言う峰松さん。これから、峰松酒造場の新しい銘柄が生まれてくるのが楽しみです。

峰松酒造場では、予約すれば個人の他に団体での蔵見学も随時可能。仕込み蔵などを見学することが出来ます。中でも、峰松さんが趣味で集めたという昭和部屋は必見。
▲古き良き昭和のモノが展示された室内
▲羽釜、炊飯器、タンス、火鉢など昭和初期に使用されていたものを展示しています

峰松さんが昭和のものを収集していると評判になり、地元の方々から譲り受けたものも多いそう。

蔵開き以外でも酒蔵見学を受け付けていますが、鹿島酒蔵ツーリズム当日は特別に「はね木搾り」の実演、販売が行われます。「はね木搾り」というのは、お酒を搾る方法のひとつ。醪(もろみ)が入った袋を大きな木でテコの原理を利用してゆっくり搾っていきます。昔ながらの製法で、この「はね木搾り」を行っている蔵はかなり少ないため、実際に見られるのは貴重なんです。

3.光武(みつたけ)酒造場

▲光武酒造場

光武酒造場は「魔界への誘(いざな)い」という焼酎の認知度の方が高いかもしれませんが、もちろん日本酒造りの実力も折り紙つき。代表銘柄は「金波(きんぱ)」「光武(みつたけ)」。「金波」は全体のバランスが良くキレがあり、「光武」は華やかな香りと米の旨みが特徴の日本酒です。
その「手造り純米酒 光武」は2015年の全国酒類コンクールでの入賞を果たしました。
▲発酵中の醸造タンク
▲焼酎の出荷量も多いため、大きな蒸留機も存在感を放っていました

通常は一般の蔵公開は行っていませんが、鹿島酒蔵ツーリズムの期間のみ、お酒の搾り、しかも「袋吊り」を見ることが出来ます。
袋吊りとは、お酒を搾る行程で、布袋を吊るしてポタリポタリとゆっくり自然に落ちてくるお酒を集める方法。当日は、このしぼりたてのお酒を購入することも可能です。
※見学、購入は前日までに要予約
▲旧蔵。当日はこの蔵内にバーを設置し、「日比谷バー」からバーテンダーを呼んで、日本酒カクテルを作ってもらうそうです

4.幸姫(さちひめ)酒造

▲幸姫酒造の杜氏、峰松さん

日本三大稲荷のひとつといわれる、祐徳(ゆうとく)稲荷神社の御神酒を醸している幸姫酒造。杜氏はまだ30代と若いですが、すでに11年も幸姫造りに携わっているベテラン。
▲「幸姫」がズラリ!幸姫酒造の代表銘柄「幸姫」の呑み比べもできます

幸姫酒造では、予約をすれば仕込み蔵の見学が随時可能。外国の方の見学も受け付けており、英語でも説明をしてくれるそうです。

蔵開き当日は、酒好きだけでなく、呑まない人も楽しめる地酒ソフトクリームやどぶろくアイスも販売します。
▲子供も食べられるアルコール0%の地酒ソフトクリーム
▲幸姫酒造から車で5分、徒歩でも20分ほどの場所にある「祐徳稲荷神社」へ立ち寄るのもおすすめ

5.矢野酒造

矢野酒造は約200年に渡り酒造りをしている歴史ある酒蔵。2014年に製造の見直しを行い、「純米酒宣言」をするほど純米酒造りに力を注いでいます。
▲仕込み蔵。酒米を洗い、蒸す作業場

代表銘柄は「竹の園」という、すっきりとキレのよい、呑み飽きないお酒。
▲「竹の園」の中でも可愛らしいラベルのパンダシリーズが人気です!
▲タンクの中には発酵中のお酒が。9代目蔵元の矢野元英さんが毎日状態を確認します
お酒が出来上がる途中経過、醪(もろみ)を特別に試飲させてもらいました。ガスが発生しており、お米の粒も残っているため、シュワシュワ、ツブツブ、と口の中でいろいろな食感を味わえます。まだ日本酒としては完成途中ですが、矢野酒造らしい淡麗ですっきりとした印象はそのままでした。

蔵開き当日は、毎年恒例のサックス奏者による演奏会が行われ、3月27日には酒粕まんじゅうが振る舞われるそう。200個限定なので、お早めに。

6.馬場酒造場

▲馬場酒造場のお酒「能古見(のごみ)」

ここまで紹介した他の5蔵とは少し距離が離れますが、鹿島市街地から車で約10分のところに蔵を構える馬場酒造場。8代目の蔵元杜氏、馬場第一郎(だいいちろう)さんは、地元ならではの酒を造りたいという思いで1993年から造り始めた銘柄に、この界隈の地名「能古見」と名づけました。
地元の契約農家により、低農薬で作られたお米を使用した日本酒は、フルーティーな風味とまろやかな口当たりで、女性にも好まれています。

普段は蔵見学を一切行っていませんが、鹿島酒蔵ツーリズム期間のみ開放しているそうです。
当日は、新酒の試飲、販売の他に、近所の婦人会の方が作った「だご汁」の販売も行われます。

鹿島酒蔵ツーリズムの始まりは“チャンピオン・サケ”

▲蔵が立ち並ぶ鹿島の町並み

今回の取材では「鹿島酒蔵ツーリズム」初代会長の富久千代酒造、飯盛さんにお話を伺いました。

鹿島酒蔵ツーリズムを始めたきっかけは、富久千代酒造の酒、「鍋島」が2011年にIWC(インターナショナルワインチャレンジ)で最優秀賞に輝いたことでした。

そもそも、ツーリズムなどの企画を行おうとすると、行政の許可を得たり協会を作ったり、目玉となる商品の開発をしたりと、膨大な時間と労力、予算が必要となります。それが、「鍋島」という名前からも分かるようにこれが佐賀の酒だというのは一目瞭然。その酒がチャンピオン・サケに選ばれたのですから、これを活かさないわけにはいきません。おかげで協会が立ち上がるのも早く、スムーズに企画が進んだそうです。

もともと3月の鹿島市では、花と酒祭り、発酵祭りなどのイベントが開催されていたため、全てひっくるめて「鹿島酒蔵ツーリズム」として盛り上げようではないかということになったのでした。

初代会長は飯盛さんが就任。最初はどうなることかと思いながらも、初回は約3万人が鹿島へやって来て、イベントは大成功を収めました。鹿島市の人口も約3万人ですから、いかに凄いことか分かりますね。

その後は峰松酒造場の峰松一清さんが2年間務め、5年目となる2016年は馬場酒造場の馬場第一郎さんが会長に就任しました。

2015年は天気が良かったこともあって、なんと約7万人が参加。さて、今年は一体どれほどの盛り上がりを見せてくれるのでしょうか。
▲日本酒6蔵セット(4,000円・税込)も限定で発売されます

2016年の会長、馬場さんの意気込み

2016年の会長を務める馬場酒造場の馬場第一郎さん。
「一番苦労するところは何ですか?」と問いかけたところ「マンネリ化させないこと。」と仰っていました。毎年新しい感覚で更に発展させるのは大変なこと。それでも鹿島を知ってもらい、日本酒の未来を考えると、努力を惜しんではいられないそうです。

馬場さんが考える2016年のイメージは、もっと海外の方に来てほしいということでした。特に佐賀県在住の外国の方。日本酒にもっと触れて、日本酒の良さを知ってほしいと願っていました。
多くの方に鹿島のお酒と共に日本酒のことを理解してもらえると良いですね。
▲酒蔵通りの一角

心和む風景と温かい人柄に触れられる「鹿島酒蔵ツーリズム」。お酒に興味がある方はもちろんのこと、お酒を呑めない方でも楽しめることと思います。これを機に、佐賀県鹿島市を堪能してみてはいかがでしょうか。
まゆみ

まゆみ

日本酒専門メディア「SAKETIMES」ライター、酒匠、料理研究家。1年365日酒を呑み続ける驚胃の持ち主。日本酒を愛し、旨い肴に目がない。全国各地の酒蔵を訪ね、純米酒の普及に力を注いでいる。ブログ「スバラ式生活」では様々なお酒に合うレシピを公開。

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