金沢・ひがし茶屋街にある「志摩」でお茶屋文化を学ぶ

2015.06.23 更新

金沢の人気観光スポットのひとつ「ひがし茶屋街」。市内の東側を流れる浅野川沿いに位置し、かつて茶屋街として栄えていた場所だ。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選ばれていて、江戸時代から明治大正時代の希少な茶屋様式の建物を見ることができる。今回訪れた「志摩(しま)」は、文政3年(1820年)に建てられたお茶屋。当時の姿をそのままに残しているお茶屋は全国でもここだけだという。

▲芸を披露するときに芸妓が使っていたかんざしや櫛。

お茶屋文化とは、“おもてなしのこころ”を尽くすこと

志摩は「一見さんお断り」の格式の高いお茶屋だった。どんなにお金を持っていても、一部の限られたひとだけしか入ることができない場所……そう聞いて、少し緊張しながらお茶屋の中へ――

そもそも「お茶屋文化」とは何か。志摩の代表・島謙司さんにズバリたずねてみた。
「それは、おもてなしの心を尽くし、客をもてなすこと。そしてまた客も同じく、もてなしのこころに応えることです」
お茶屋は、客の求めに応じて、仕出し屋から料理をとり、芸妓を呼ぶ。建物や衣装、髪飾りに至るまで、すべてにおいて最高のものをそろえて客をもてなす。
「一見さんお断り」の理由は、もてなす客が、芸やしつらえの価値を理解できるかどうかが重要であるから。客のほうが、もてなしの心に応じられないと成り立たない世界なのだ。支払いもツケで後日払いという点からも、信頼関係は必須である。
▲2階の広間。お客が床の間を背にして座ると、その正面の控えの間が演舞の場になる。
▲お茶屋文化について説明してくれる。写真は志摩の島さん。ほかにもガイドが常駐し、ていねいに解説をしてくれる。
▲実際に使われていたお座敷太鼓を叩かせてもらった。「ドンドンツクツクドン、ドンドンツクツクドン、ドンツクドンツク」……まずはリズムを覚える。
▲ばちを持って一人で挑戦!
※お座敷太鼓を叩いてみたい方は、館内にいるスタッフに一声かけてください。

職人たちの伝統の技にうっとり

客をもてなす部屋は2つ。押入れや間仕切壁などはなく、あくまでも遊芸のための造りになっている。
四季折々の風情を表現した床の間、春慶塗り(漆)の違い棚、襖の引き手の七宝焼(しっぽうやき)など、どこを見ても、意匠をこらしたものばかり。一流の職人たちによる、一流のものをそろえることができたのは、加賀百万石のおひざもとの金沢の地だからこそ!
▲お客さんが床の間を背にして座ると、その前のひかえの間が舞台となり、芸妓さんの遊芸が披露される。
▲つぼつぼ(写真の下のほうに見える丸が二つ重なったような模様)のすかし模様の手すり。建物全体が優美で細くてきゃしゃな造りのものが多く、そのままのかたちで保存することは大変だという。
▲襖の引き手の美しい七宝焼にもぜひ注目を。襖によって形や絵柄が異なる。
格式が高いと聞いて少し緊張していたが、日本の「おもてなしのこころ」にふれて、いつの間にかリラックスしていた。1階の「寒村庵(かんそんあん)」では、お抹茶をいただいてほっとひと息つける。
▲お抹茶と生菓子(700円)。お抹茶と干菓子のセットもある(500円)。
▲寒村庵。席はカウンターのみ。カウンターの向こうは庭になっていて、四季折々の景色を楽しめる。
ひがし茶屋街には、今も現役の芸妓さんが12名いるそうだ。お正月には、志摩でも芸妓さんを呼び、芸が一般公開される。
現在のひがし茶屋街には、土産店やカフェなど新しいショップも多く立ち並ぶ。買いものやグルメを楽しみつつ、「志摩」で歴史深いお茶屋文化にふれてみてはいかがだろうか。

※価格はすべて税込みです。
写真 奥田晃司
齋藤春菜

齋藤春菜

編集者、ライター。女性の美容・健康・ライフスタイルに関する書籍、雑誌を多数編集・執筆。文芸、料理、アート本の編集も行う。全国各地へと取材に訪れたさいには地元のおいしいお店を必ずチェックする。編集を担当した本に『お灸のすすめ』『瞑想のすすめ』(ともに池田書店)、『足もとのおしゃれとケア』『わたしらしさのメイク』(ともに技術評論社)、『はじめてのレコード』(DUBOOKS)、『顔望診をはじめよう』、『月の名前』、『健康半分』などがある。

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