「国際通り」を知り尽くした達人による、おすすめの店巡り

2016.05.12

沖縄県那覇市の県庁北口交差点から安里(あさと)三叉路にかけて『奇跡の1マイル』とも呼ばれる「国際通り」。全長約1.6kmの大通りを中心とした地区に、日夜賑わいを見せる最新のお土産店や個性的な飲食店などがズラリと並ぶ。沖縄独特のゆったりした空気感と南国特有のエネルギッシュな人波、都会の喧騒とはまた違う趣きを発する街で、「国際通り」を知り尽くした達人とオススメのお店を巡る。

沖縄都市モノレール「ゆいモノレール」の安里、牧志、県庁前、美栄橋(みえばし)駅が最寄りのこの「国際通り」は、県内で最も賑やかな通りとして知られている那覇最大の繁華街だ。

表通りはお土産屋や飲食店が軒を連ね、裏道を歩けばおしゃれなショップが点在する。またアーケード街や牧志第一公設市場など、どこか懐かしい雰囲気を漂わせる街並も地元の人々を始め、訪れる人々の心を掴んで離さない。

普通に歩くだけでも十分楽しい国際通りをもっと楽しむために、今回は国際通りを知り尽くした達人に「今、最も注目しているお店」を紹介してもらった!
▲那覇市観光協会・那覇まちま~いのプロジェクトリーダーで国際通りの達人こと、米村徳子さん

沖縄の方言で街を巡るという意味を持つ、「まちま~い」。米村さんは那覇市の観光協会で街の活性化に奔走しながら、修学旅行生や団体ツアー客などへの観光案内も行っている。日々地域の人とのコミュニケーションを深めることで新しい情報を仕入れ、楽しい街歩きを提案してくれる街歩きの達人なのだ。そんな米村さんと一緒に街を歩きながら、今注目しているというお店を巡ってみる。

~オキナワグロサリー~ディープな市場本通りに現れた
スタイリッシュなセレクトショップ

国際通りの中心付近、市場本通り沿いにある商店街。その中ほどに食のセレクトショップ、「オキナワグロサリー」がある。「下町感のあるアーケードに不意に現れるお洒落なお店はインパクトもあっておすすめです」と米村さん。シンプルな内装の店内にはオーナー自らが厳選する安心で優しい食料品や生活雑貨、栽培期間中に農薬不使用で育てた野菜など、こだわり抜いた商品が並ぶ。棚に陳列されているジャムや調味料、お茶などはパッケージが洒脱でお土産にも喜ばれそうだ。希少な商品も多く、定期的に通う地元のお客さんも少なくないとのこと。
▲人気商品のコーディアルシロップ250ml税込1,836円、110ml税込842円。爽やかな甘さと風味がクセになる

季節によって品揃えも変わるが、コーディアルシロップは目玉商品の一つ。健康によいとされるハーブや果物を煮詰め、保存性を高めるためにシロップに加工したもので、さまざまなドリンクで割って飲むのがおすすめ。ハーブの風味が苦手な人でも飲みやすい。
▲鮮やかな巾着に包まれた銀毛さんぴん(ジャスミン)茶。税込1,500円

銀毛さんぴん茶は首里城で提供されているものと同じなのだそう。型染め、描き染めで人気の「Doucatty(ドゥカティ)」の手ぬぐいに入っていて、お土産にとても喜ばれるのだとか。

~市場の古本屋ウララ~日本一狭い!?
本を愛する店主が営む古本屋

市場中央通りを歩いているとひょっこり現れるのがこの「市場の古本屋ウララ」。軒先に本が並べてあるので分かりやすいのだが、驚くべきはそのお店の規模。軒先も含めて6畳程度しかない広さの店内に、様々な書籍が並ぶ。
▲手を伸ばせば本が届くというコンパクトな店内

取り扱っているのは、沖縄県内で発行された「県産本」がメイン。一般書籍や新刊書も揃えるが、蔵書の大部分が古書だ。ジャンルは文学、歴史、民族、哲学など幅広いが、限られたスペースに納められているため、どれも手に取りやすく、人と本の距離感を自然と近づけてくれる。

「限られたスペースながら県産にこだわって古本を揃えているところですね。わざわざ県外から訪れるお客さんもいるんですよ」と米村さんがこのお店をオススメしてくれた。
▲この日本一狭い古本屋の店主、宇田さん。以前も古本屋だったこのスペースが空くことを知って店を引き継いだのだという

前職は国内屈指の大型書店の那覇店副店長だという宇田さん。「独自の文化に基づいた出版著書に惹かれて、沖縄勤務を希望して内地から移ってきたのですが、大型書店では取り扱える本が限られてしまって。そんな時にこちらが空くことを知り、自分でお店をやってみようと」。こうして宇田さんは国内最大手の大型の書店から日本一狭い書店の店主へ。

宇田さん曰く、「本は読む以外にも関わり方がある」という。「表紙に惹かれたり、挿絵を楽しんだり、質感を大切にしたり。人それぞれ本への関わり方は違うけど、それでいい」そんな本に対してリベラルに向き合う店主が営む本屋で、“お土産に古本を”というのもオツなチョイスと言えそうだ。

~レキアンカラード~通称「日本最短の商店街」で
温もりを感じる陶芸とガラス工芸に出会う

「味わい深い陶器のカップやカラフルな琉球ガラスが魅力です」と米村さんが紹介してくれたのが、「八軒通り」というストリートにある陶器とガラス工芸を扱うお店「レキアンカラード」。文字通り八軒のお店で構成され、24歩で歩けることから地元では「日本一短い商店街」と呼ばれて親しまれている。
▲八軒のお店共同で作成した横断幕が目を惹く
▲ストリートには24歩の足跡も。遊び心を感じる演出

ポルトガル語で琉球人を意味する「レキオ」という言葉から付けた「レキアンカラード」という店名には、オーナー兼店長である石原さんの沖縄愛が詰まっている。
▲石原さん自らも陶器作りを行っている

店内には、県内の30を超える陶芸工房と、5つのガラス工房から仕入れたアイテムの他、石原さん手作りの陶器も並べられている。手作りされている商品ゆえ、どれも味のある風合いで同じデザインのものでも1点ずつ表情が異なるのが魅力。
▲ひとつひとつの商品から漂う独特な風合いが琉球の文化を物語る

お店に入って正面には石原さん手作りという猫の陶器が並ぶ。沖縄というとシーサーのイメージが強いが、ここ那覇の商店街では同じくらい猫を目にすることが多い。通りの喧騒を一歩離れれば、日向で丸まっている猫がそこかしこに。猫にとってはすべての家が自分の家。命が宝という沖縄育ちの人にとっては周りに生き物がいるのは当然のことなのだという。
▲愛らしい表情の猫の陶器

そんな猫をモチーフにした陶器。観光で訪れる人にも人気が高いとのこと。鮮やかな琉球ガラスや伝統工芸などと一緒にお土産リストに入れておいてはいかがだろうか。

~大衆串揚酒場 足立屋~1,000円で楽しめる
安い、美味しい、楽しい酒場

商店街の中で一際活気付く一角。外の席まで人で溢れるのは、美味しい串揚げを提供してくれる「大衆串揚酒場 足立屋」。米村さん曰く「昼間から絶えず人が訪れるこのお店は1,000円あればベロベロになれるということから『千ベロ居酒屋』と呼ばれているんです」とのこと。
オープンな作りのため気軽に入れる雰囲気で、通り掛かれば立ち寄りたくなる魅力に満ちている。

看板メニューになっているのが「センベロセット」。内容は日本酒と瓶ビール以外のお酒3杯と、おつまみとして串揚げ4本か、もつ煮込みが選べるシステムだ。なんと生ビールも注文できるのでビール党にもうれしい限り。このセットで税込1,000円なのだから人気なのも納得できる。
▲単品で頼んでも生ビール300円、もつ煮込み300円、串揚げ7本盛り500円、ノルウェーのサバ300円で合わせても1,400円!(すべて税込)

もつ煮込みはじっくり煮込んでいるので、口に入れた瞬間ふわっ、とろっと溶けていく。串揚げは揚げたての熱々を提供してくれる。衣のサクサクとした食感の後に素材の旨みが口に広がるので、お酒のお供にもぴったり。

メニューは、どれも良心価格。一番高い日本酒でも600円前後で楽しめるので、時間がないけど一杯だけ…という人たちのニーズにもしっかり応えている。

ちなみに注文はキャッシュオン。先払いで注文するので飲みすぎにも注意できる!?

~島酒と肴(しまぁとあて)~国際通りの新スポット
屋台村で泡盛を楽しむひととき

国際通りに接する「オリオン通り」に2015年6月にオープンしたのが沖縄の離島情報と沖縄食材の魅力を伝える屋台村だ。生まれた島の文化を守り、良さを伝え、人々の交流が生まれる新たなスポットを目指し誕生した屋台村は20の飲食店と、離島情報を伝える3つのブースで構成されている。

魅力的なお店が多く並ぶ中で、今回米村さんがオススメしてくれたのは泡盛マイスターの資格を持つオーナーが作ったお店「島酒と肴」。
▲コンパクトな店内とスタッフ松茂良(まつしげりょう)さんの暖かい接客でアットホームな雰囲気

4畳半ほどの店内にカウンター8席、お店の外に4人掛けのテーブル席を3つ用意したコンパクトな作りだ。カウンターの上には様々な種類の泡盛が並ぶ。屋台村の村長でもあるこのお店のオーナーは泡盛マイスターという資格の持ち主。その豊富な知識を活かし、沖縄県に存在する全酒造所から1種類以上の泡盛を仕入れているのだという。
▲カウンター席の上に並ぶ泡盛の数々。常時50銘柄以上を取り揃えており、選ぶ楽しさもひとしお

注文に迷ったときはオーナーやスタッフに好みを伝えるとオススメの泡盛を選んでくれる。初心者でも美味しく飲めるような計らいがとても親切。またスタッフが気さくに話しかけてくれるので、一人で来ても楽しめる。観光客のおひとり様も多いそうだが、それもこのアットホームな雰囲気を味わってみれば納得できる。
▲写真左手前から時計回りに焼き島らっきょう450円、泡盛(500円~)、豆腐よう350円、つけもずく(つけ麺風もずく)550円、じーまーみ豆腐350円。(全て税込)

少し工夫の効いた沖縄定番のメニューも泡盛にはぴったり。
どれも素材の旨みを調理で引き出していて美味だが、特筆すべきはオリジナルの食べ方で提供してくれる「焼き島らっきょう」と「ざるもずく」だ。

「焼き島らっきょう」はその名の通り、焼いた島らっきょうを味噌でいただく。漬物にしてあるものは多いが、焼き上げたらっきょうの鼻を抜けていく香ばしさは絶品。きっと一度食べたら忘れられなくなるはず。

「ざるもずく」も名前の通りざるに盛られたもずくが出てくるのだが、食べ方が秀逸だ。つけ汁に出てくるのは鳥南蛮汁。鶏ガラ醤油ベースでコクがありつつさっぱり食べられる。まるでつけ麺をすするように食べれば、ざるいっぱいのもずくもあっという間に完食。この「ざるもずく」を飲み歩いた最後の締めに食べに来る人も多いそう。
▲屋台村にはステージなどもあり、ミュージシャンが飛び入りで演奏していたりするので何かと活気が絶えない

飲み始めはもちろん、2件目や締めにも使いやすい屋台村。お酒好きも、そうじゃない人も幅広く楽しめる観光の新スポットとして人気を集めている。
お店巡りの最後に、「おじいやおばあが切り盛りする昔ながらのお店と、次の世代を担う若手が盛り上げるお店の両方が共存しているこの地区は、那覇市の文化を支える大きな礎でもあります。通りが開拓された当時の面影を残しながら、日々変化するこの街を訪れる際には、是非その魅力を存分に楽しんでもらえればと思います」と話してくれた米村さん。

地元に根付いたお店から、沖縄の魅力を感じさせてくれるお店まで揃っている「国際通り」。情熱的な表通りと、情緒ある裏通りを行き来すればきっと自分好みのお店に出会えるはず。街を知り尽くしたガイドに案内をお願いするのも楽しい街歩きをする秘訣。その際は様々なコースを用意している「那覇まちま~い」にガイドをお願いしてみよう!
飯塚鉄平

飯塚鉄平

1980年生まれのフリーライター。ファッション雑誌「Fine」や旅行情報誌などの他、WEBメディアや企業系webサイトなどで執筆。

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