奈良の伝統的な朝ごはん「茶がゆ」を、町家カフェと名門ホテルで堪能!

2016.04.06

「大和の朝は茶がゆで明ける」と言われるほど、昔から奈良の人々の朝食として食べ継がれてきた茶がゆ。その歴史は古く、なんと1200年前から僧侶の食事として食べられていたともいいます。最近では、各家庭で作られることも少なくなってきているようで、気軽に味わえる茶がゆのお店には、初めて食べるという地元っ子の姿も。今回は、タイプのちがう2つの茶がゆをご紹介します。

茶がゆアップ

そもそも茶がゆって?

茶がゆは、お茶で炊いたおかゆのことです。
たいていは、ほうじ茶を使って炊きます。
作り方は白かゆを作るのと同じ要領で、違うのは、そこに茶袋に入れたほうじ茶を入れることだけ。

奈良の茶がゆの特徴は、水分が多めで、さらっとしていること。
炊き込みすぎず、お米がふっくらとしているので、さらさらっとお茶漬けのように味わえます。

せっかくご紹介するなら家庭では味わえない茶がゆを、と思い、今回はタイプのちがう2店の茶がゆをご紹介します!

伝統的な味わい方が楽しめる町家カフェ

環奈外観
▲町家カフェの「環奈(かんな)」
飲食店や雑貨屋さんが建ち並ぶ、ならまちエリアにある「環奈」は、町家を改装したお店。

間口は狭いですが、奥行きがあり、いわゆる「うなぎの寝床」といわれる町家造りで、奥には坪庭の見えるお部屋があります。
環奈内観カウンター
▲入口を入ると、カウンター席と、奈良の特産品や雑貨を販売するコーナーがあります
環奈店内座敷
▲坪庭を見ながらゆったりとくつろげる店内
こちらのお店、「抹茶チョコフォンデュ(1,100円・税込)」など、女子が歓喜する和スイーツが話題のお店なのですが、「軽めの食事も出してみよう」と郷土料理の茶がゆを始めるやいなや、たちまち人気になったそうです。

その人気の秘密は、“かきもち”にあり。
数あるメニューの中から、お目当ての「大和の茶がゆ」を注文すると、まずは七輪とかきもちが登場。

七輪でかきもちを炙り、そこに刷毛(はけ)で醤油を塗っていきます。
これがまた童心に返ったようで楽しい!
醤油の香ばしいかおりがふわ~っと広がり、食欲中枢がオンに。
かきもち
▲かきもちは2種類付いてきます。醤油の量はお好みで
裏返して反対も塗る頃に、お待ちかねの茶がゆが到着。
店長
▲元ホテルマンというオーナーの池尾嘉奈子さんが、運んで来てくれました
大和の茶がゆ
▲奈良県産の大和茶のほうじ茶で炊いた「大和の茶がゆ」1,000円(税込)
ここに、先程炙った熱々のかきもちをのせます。
茶がゆの上にかきもち
▲かきもちはそのままのせても良し、細かく割ってのせても良し
「奈良に住んでいて、この茶がゆの食べ方は初めて知りました!」とオーナーの池尾さんに伝えると、「昔は、茶がゆにかきもちを入れて食べていたそうですよ。文献にも残っているんです」とのこと。

斬新と思っていたけど、むしろ古来の食べ方だったことにビックリ。
「茶がゆに少しお塩を入れているところもありますが、かきもちに醤油を塗ってあぶることで、茶がゆに香ばしい醤油の味が加わるので、塩を入れなくても十分おいしいんですよ」。

なるほど!たしかに、かきもちを一緒に食べると、ほうじ茶の味がぐんと引き出されています。

また、サクッとした食感のかきもちと、ふっくらとした米との食感の違いが楽しめるのもいいですね。
真上からの茶がゆ
▲この日の漬物は、奈良漬け(中央)、右から時計回りに、みぶ菜、ゆず大根、山吹、赤カブ。小鉢は大根と水菜の和え物
セットになっているのは、奈良漬けをはじめ季節のお漬物、小鉢、自家製くずもち。
奈良漬けって、すごく茶がゆに合うんです。
こちらの奈良漬けは少し甘めなので、ほうじ茶独特の香ばしい渋みとの相性も抜群です。

名門ホテルで優雅な茶がゆの朝食を

もう一軒は、奈良を代表する老舗高級ホテル「奈良ホテル」で味わえる茶がゆをご紹介します。
奈良ホテル外観
▲東京駅や日本銀行本店などを手掛けた辰野金吾の設計による桃山御殿風檜造りの本館
奈良ホテルといえば、明治42(1909)年に「関西の迎賓館」として奈良公園内に誕生して以来、あのアインシュタインやチャップリン、ヘレン・ケラーなど数々の国内外のVIPが滞在してきた名門ホテル。
奈良ホテルエントランス
▲まるで時が止まったかのようなクラシカルな雰囲気のエントランス
そんな憧れのホテルの朝食として味わえるのが「茶がゆ定食」。
食事をいただけるのは、高級感漂うメインダイニングルーム「三笠」です。
三笠入口
▲「三笠」の入口。和と洋が折衷したモダンな雰囲気。期待が高まります
入口を入り、創業以来変わっていないという豪華な店内へ。
三笠内観
▲和のシャンデリアが重厚感を漂わせる「三笠」の内観
茶がゆ定食が運ばれてきました。
サービススタッフ
茶がゆ定食
▲「茶がゆ定食」2,851円(税込)。宿泊者だけでなく、食事だけの利用もできます
さっそく、茶がゆからいただきます。
▲燈籠型のロゴが焼印された木のふたをあけると、湯気がふわ~
こちらの茶がゆは、緑茶で炊いたもの。
京都産の緑茶を濃い目に煮出し、煮詰めないように炊くことで、緑茶のさわやかな香りがふわり漂い、サラッといただけます。
軽い食感なので、胃にもやさしく、朝からいただくのにピッタリです。

御膳に並ぶのは茶がゆのほか、焼魚、焚合せ、小鉢、みそ汁、香の物。
その時々で内容は変わりますが、この日の焼魚はブリの照り焼きとだし巻き、焚合せは海老、南瓜、海老芋、六条麩、インゲン、小鉢はぜんまいと平天、そして毎回付く胡麻豆腐。

丁寧に盛りつけられた贅沢な茶がゆ定食を、朝からゆったりと味わえるなんて、至福ですね。
窓の外には国宝の興福寺・五重塔を望むことができ、料理も風景も1300年の古都を感じられる、奈良らしいひとときが過ごせそうです。
五重塔が見える席
▲興福寺の五重塔を望みながら食事が楽しめます
奈良にはほかにも茶がゆを味わえるお店があります。
そのお店によって少しずつ味のちがう茶がゆ、ぜひいろんなお店の味を体験しに行ってみてください。
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP