鎌倉・小町通り周辺、情緒も歴史も奥深い「和」の専門店めぐり

2016.03.28

鎌倉駅からほど近い小町通りは、いつも観光客でにぎわう人気スポット。新店がいつの間にかお目見えし、日々変化する町並みの中にありながら、時を超えて愛され続ける場所があります。今回は、古都・鎌倉の歴史や伝統を感じさせてくれるお店をピックアップ。小町通り周辺で、長年にわたりそれぞれの世界を極める「和」の専門店めぐりへご案内します。

小町2
▲鶴岡八幡宮への参拝者で、いつも賑わう小町通り。鎌倉観光では絶対はずせない町のメインストリートです

【井上蒲鉾店 小町店】創業85年。鎌倉の海の幸と職人の技が凝縮されたかまぼこの老舗

看板
ショーケース
まず立ち寄ったのは、創業昭和6(1931)年の「井上蒲鉾店」小町店。創業当時のままの製法で、つなぎや保存料はいっさい加えず、魚の味と職人の技だけで絶品かまぼこを作り続ける老舗です。ここ小町店は小規模ながらも、白身魚「グチ」を素材につなぎを加えず練り上げた「蒲鉾」や「梅花はんぺん」、「小判揚」など人気商品が充実。豊かな自然の恵みを生かした鎌倉の逸品は、気軽に1個からイートインもできます。
梅花はんぺん
▲形もかわいい「梅花はんぺん」は、ふわふわ、ぷりぷり。(1枚152円・税込)。バレンタインシーズンには“ハート”、ひな祭りには“つぼみ”のはんぺんも登場!

【鬼頭天薫堂 鎌倉店】「香道」の伝統を伝える専門店で、自分に合った香り、好きな香りを見つける

外観
お香の煙
▲小町通りに面したモダンな外観の建物へ一歩入れば別世界。雅やかに、幽玄に立ちのぼるお香の薫りが胸にすっとしみわたります
続いて、お香の専門店「鬼頭天薫堂(きとうてんくんどう)」へ。身も心も清められるような高貴な香りが漂う店内には、オリジナルのお香やお線香、香木、練り香、香道具、和ろうそく、季節限定商品などさまざまなアイテムがずらり。お香だけでも100種類以上が揃うため、きっと自分好みの香りを見つけることができるはず。和の香りを日常に取り入れてみたいなら、ぜひ立ち寄ってみて。また、2階サロン及び3階「香寿庵」では、香道教室や生け花教室も随時開かれ、奥深い世界へ誘ってくれます。気軽に香りに親しむ会も行われているので、ホームページを参照のうえ参加してみては。
3種
▲左から沈香(じんこう)が凛と香る「雪ノ下」(スティック30本入1,800円)、伽羅(きゃら)を調香した高貴な「老松」(スティック30本入3,500円)、ふくよかな白檀(びゃくだん)の香りを練り上げた「由比ケ浜」(スティック30本入1,500円)、迷って選べない場合は、写真奥の香木系のお試しセットがオススメ(1,500円)※すべて香台付・税別
季節の香り
▲四季折々の彩りも美しい「香りの散歩道」シリーズも人気商品。写真は、毎年春に登場する「春しるべ」のさくら道(右)と竹ばやし(左)※共に1,500円・税別

【天ぷら ひろみ】お昼に立ち寄るなら、ぜひ一度、あの小津安二郎や小林秀雄が愛した江戸前天ぷらの専門店へ

入口
天ぷらあげる
▲通りの喧噪とは一線を画す店内に油のはじける音が響く。のれんを守る2代目は、「小津先生からお小遣いをいただいたこと」もあったそう
しらす丼の看板を多く見かける小町通りですが、お昼に立ち寄るならば、鎌倉文士や文化人、歌舞伎役者が多く訪れたという「天ぷら ひろみ」はいかがでしょうか。ここは、創業昭和33(1958)年の天ぷら専門店。新鮮な魚介類をこだわりのごま油でカラリと揚げる江戸前天ぷらは、香ばしく、さくりと軽い口当たり。お昼の「おてがる定食」(1,950円・税込)や「おてがる丼」(1,950円・税込)もボリュームたっぷりで、お箸がどんどん進むおいしさとともに、この店に残された著名人たちの足跡や歴史もじっくり味わいたいお店です。
「天麩羅定食」、あなごアップ
▲おてがる定食
あなご
大きすぎず小さすぎず、程良い大きさとおいしさにこだわって仕入れる東京湾のあなごは、おろしたての大根おろしと天つゆか、塩をつけて。外はさくさく、中はふっくら、ふんわりとした味わいがたまりません。
小津丼
食通としても有名だった映画監督・小津安二郎が好んで食べていたという、ひろみの天丼。本日は特選丼の一つ「小津丼」(3,800円・税込)を注文してみました。「丼つゆのしみた天ぷら部分をおつまみに、アツアツの熱燗を10本ほど空けてから、締めに丼つゆのしみたご飯を食べてらっしゃいましたね」という、何だか楽しい小津監督のエピソードも聞かせてくれました。ひろみの「特選丼」にはもう一種、文芸批評家・小林秀雄ゆかりの「小林丼」(3,800円・税込)も。こちらも根強い小林ファンに人気なのだそう。
壁のサイン
▲壁にかかった額には、小林秀雄、川端康成、團伊玖磨、横山隆一など、そうそうたる人々の筆跡が
サイン帳
▲特別に見せていただいた、昭和40年代ころに訪れた著名人のサインブック。ひろみの歴史を物語ります

【陽雅堂】800年の歴史を持つ鎌倉彫。使いこむほど味が出る伝統工芸品を、和モダンな色とデザインで可憐な趣に

外観
▲鶴岡八幡宮の三ノ鳥居の斜め前にある鎌倉彫のお店「陽雅堂(ようがどう)」
下駄
▲ずらりと並ぶ美しい鎌倉彫の下駄は、雨の日も重宝することでも人気
仏師・運慶、快慶を輩出した鎌倉時代は、仏像彫刻で華やいだ時代でもありました。そんな流れをくむ鎌倉彫は、質実剛健を重んじた武家文化を色濃く留める伝統工芸品。丈夫で、使い込めば使いこむほど光沢がいっそう輝き、風合いが増す、一生ものの逸品と言われています。そんな鎌倉彫をちょっぴり身近に感じさせてくれるお店がここ「陽雅堂」です。

手鏡やアクセサリー、下駄など、現代の生活にもしっくりなじむ和モダンなデザインには思わずうっとり。一度手に取れば、生涯のたからものに一つほしくなってしまいそう。なかでも、手のひらにすっぽり収まり、化粧ポーチにもインできる小ぶりサイズの鏡たちは可愛さもひとしお。一つひとつ丁寧に彫られた花や蝶の模様に思わず女子萌えします。お母様など大切な人へのプレゼントにもいいですね。
鏡
▲手前/丸鏡一色(共に6,500円・税込)、奥/姫鏡一色(共に6,800円・税込)
キメの細かさと軽さは驚くほど。不思議とどんな服にも似合う、洗練されたアクセサリーも多彩にラインナップ。ペンダントのほかブローチ、帯留なども充実。
ペンダント
▲左から、はまなす(12,000円)、クローバー(6,500円)、ゆり(9,500円)、バラ(12,000円)※すべて税込
軽さと指馴染みの良さで好評な箸は、お土産にもオススメ。使えば使うほど塗りに光沢が出てくるのだそうです。ちなみに鎌倉彫の材料に用いられるのは桂(かつら)の木。漆の塗りの回数でも価格が変わってくるのだとか。
箸
▲左から、銀杏、菊、桜(各2,100円・税込)
鳥居
▲いつ訪れても清々しい気持ちになれる鎌倉のランドマーク・鶴岡八幡宮。青空に映える朱の鳥居を一歩くぐれば、心もすっと穏やかになれる別世界が待っています
鎌倉・小町通り周辺、和の老舗めぐりはいかがでしたか?長く大切にされてきた日本のいいものは、ふれるだけで心が落ち着き、気持ちにしっくりなじむもの。そんな和の良さに気付かせてくれる古都・鎌倉は、何度訪れても奥深い魅力にあふれる町です。
ゴトウヤスコ

ゴトウヤスコ

ホテル、レストラン、神社、婚礼、旅、食、暦&歳時記、ものづくりなどの広告コピー、雑誌記事、インタビュー記事などを多数執筆し、言葉で人と人をつなぎ、心に響くものごとを伝える。旅は、基本一人旅好き。温泉、パワースポット、絶景、おいしいものがあるところなら、好奇心がおもむくままどこへでも。得意技は、手土産&グルメハンティング。最近は伝統.芸能、日本刀、蓄音機など和文化への興味を深堀中。読書会なども開催。(制作会社CLINK:クリンク)

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