箱根の美術館でアート・自然・おいしさを五感で愉しむ極上の休日

2016.04.05

東京から程近いリゾートエリア・箱根は、旅の途中に立ち寄りたいアートスポットの宝庫です。どの美術館も、価値ある美術品をはじめ、四季折々の自然、おいしいお料理やお茶、素敵なおみやげ探しまで存分に愉しめる場所。魅力を競うラインナップから今回は、「箱根ラリック美術館」と「岡田美術館」をフューチャー。2館ともに、訪れた人の五感を刺激し、解き放ち、豊かにしてくれる、極上のひとときが待っています。

#01【箱根ラリック美術館】
きらめきの美と豊かな自然に日常を忘れて

外観
▲ダイニング用センターピース「火の鳥」(部分) 1922年
「箱根ラリック美術館」は、御殿場と箱根湯本の中間に位置する、仙石原にあります。ここは、アール・ヌーヴォーとアール・デコの時代を駆け抜けた、ジュエリー&ガラス工芸作家、ルネ・ラリックの作品を一堂に集めた美術館。光きらめく美の世界にふれられるだけでなく、レストランの食事のおいしさ、オリエント急行の車両で優雅なティータイムを愉しめることでも評判を集める人気スポットです。
▲ジュエリー作家からガラス工芸家になると、空間装飾まで手掛けたルネ・ラリック。車両内が150枚以上のガラスパネルで装飾されたオリエント急行の特別展示は必見です

【箱根ラリック美術館×cuisine】
一日の幕開けに聴く野鳥のさえずりと至福の朝食

毎朝9時に開く正面ゲートをくぐると、たちまち日常と隔たる別世界へ。高原の自然が息づくガーデンに包まれた、ガラス張りのカフェレストラン「LYS(リス)」へまず入ってみました。
レストラン外観
▲周囲の自然に溶け込む「カフェレストランLYS(リス)」
朝食
▲プティサラダ、ヨーグルト、メイン(卵料理を中心に朝に合う季節の素材を集めて一皿に)、全粒粉パン、フレッシュジュース、コーヒーと、ボリュームたっぷりのモーニングセット(1,300円・税込)は、9:00から10:50までにオーダーを
卵
▲卵の調理法のセレクトもOK。アツアツふわふわのスクランブルエッグは、ストウブ鍋(ココット)で出される
今回のお愉しみの一つは、ここの朝ごはん。シェフが朝から腕をふるうモーニングセットの味が評判なんです。テラス席に近い窓辺の席に座ると、森の景観が目の前に広がり、とっても気分爽快!野菜をすりおろして作ったドレッシングのからみ具合が絶妙なサラダ、厚切りのベーコンとふわふわの卵、そしてお代わり自由なコーヒーをゆっくりといただくと、頭も体も次第にしゃっきり。野鳥のさえずりも耳に心地よく、素敵な一日の幕開けになりました。

【箱根ラリック美術館×art】
ルネ・ラリックの生涯をたどる華麗なコレクション

四季折々の自然が彩る広大な敷地内でカフェレストランとショップ、ミュージアムを満喫することができる「箱根ラリック美術館」。朝ごはんの後は、自然の中の遊歩道をお散歩気分でミュージアムへ行ってみましょう。
エントランス
▲エントランスで迎えてくれるシャンデリアや装飾パネルがきらめきの世界へ誘います
シルフィード
▲ブローチ「シルフィード(風の精)」は、箱根ラリック美術館のアイコンにもなっている、ラリックのジュエリー作品の代表作
エントランスの向こうで待っているのは、精緻なまでに自然を写したデザイン性と、ため息がこぼれるほどのきらびやかさに心ときめくラリックの作品群。所蔵コレクション1,500点の中から、ジュエリー、香水瓶、ガラス作品、室内装飾など約230点が常設展示されています。年に数回は展示替えが行われるため、何度訪れてもきっと愉しめるはず。

パリに実在した1900年代の邸宅の一部を再現した「ベル・エポックの部屋」や、ラリック作品を愛した名女優サラ・ベルナールに捧げられた「サロン・ド・サラ」から見渡す「睡蓮の池」の眺めも素敵です。

【箱根ラリック美術館×nature】
愛をはぐくむヤドリ木の下で

庭
▲常緑の芝生が広がるガーデンには、蝶も舞う仙石原の自然が広がっています
ヤドリギ
▲冬には葉を落とす落葉樹にこんもり丸く茂るヤドリギが。こんなにいくつも目にできるのはめずらしい
看板
▲ミュージアムへ続く木の歩道の傍らには、ロマンチックな立て看板も。見上げれば、樹の上にヤドリギが
仙石原の景色が広がる敷地内は、高原の四季の美しさを直に感じられる場所。春、夏、秋と、ラリックがこよなく愛した季節の草花が咲き、折々に表情を変えていきます。今回訪れたのは冬の時期でしたが、このシーズンならではの風景に遭遇できました。それは、冬枯れの木々の枝に、まるで鳥の巣のようにこんもりと丸く茂る、繊細なシルエットをもった「ヤドリギ」。クリスマスの季節にヤドリギの下でキスをすると、愛が実るといわれているのを初めて知りました。立て看板の足元には、ハートマークが2つ。このハートの上にふたりで立てば、ちょうどヤドリギの真下となり、ここでキスをすると……そんなロマンチックな雰囲気も、この美術館ならではです。

【箱根ラリック美術館×tea time】
憧れのオリエント急行で優雅にティータイム

カフェレストランに隣接する空間に、ラリックが内装を手がけたオリエント急行のサロンカーが展示されています。150枚以上のガラスパネルで装飾された車内に乗り込めば、時空を超えた豪華な旅へ…。
車両
この特別展示「LE TRAIN(ル・トラン)」では、列車の車両内で、専属クルーの解説を聞きながら、ティータイム(45分・2,100円・税込)を愉しめます。この車両は、1929年にパリと南仏を結ぶ、豪華列車「コート・ダジュール特急」として使用され、その後オリエント急行でも活躍し、世界中の人々を魅了しました。

公開時間は10:00~から16:00までの毎時、約45分間の交代制(定員20名)です。予約受付は、当日現地にて。到着後まず乗車予約をすませてから、ミュージアムをじっくり見学という人も多いようです。
内観
▲絨毯や椅子なども当時のオリジナルのまま。食器やテーブルランプも復刻し、「青きプリマドンナ」と呼ばれたオリエント急行の旅を体感できます
▲車両内に一歩足を踏み入れれば、たちまち古き良き時代へトリップ。専属クルーの優雅な応対も嬉しい
アガサ・クリスティの小説や映画で憧れていたオリエント急行。しかも、ラリックが手掛けた装飾がきらびやかな車両内で、往時のままにカフェを満喫するひとときは、どこまでもエレガント。

飴色のマホガニーの木の壁面にきらめくガラスパネルは、「彫像と葡萄」(1928年作)。クリアガラスにブドウと男女の像が浮き彫りにされています。
装飾
▲テーブルランプの光が、幻想的なラリックのガラスパネルを柔らかに照らし、すっかり夢心地に
コンパートメント
▲コンパートメント(個室)を彩るのは、ラリックの娘、スザンヌがデザインした華麗な花の装飾
飲み物はコーヒー以外に紅茶、ハーブティーからセレクト自由。この日のパティシエお手製スイーツは、りんごのパウンドケーキ。添えられたミルクジャムがとっても美味!春の新メニューは、さくらのシフォンケーキにホイップクリームが添えられるなど、季節ごとにメニューが変わるのも素敵なおもてなしです。
復刻されたオリエント急行の食器でサーブされるメニューもとてもおいしくて、しばし優雅な気分にひたれる45分間でした。

【箱根ラリック美術館×souvenir】
パッサージュで選んだものは?

おみやげ
▲ラリック美術館オリジナルクリアファイル(320円)、朝食のヨーグルトに添えられていたバラのコンフィチュール(1,300円)※共に税込
お愉しみつきない「箱根ラリック美術館」ですが、19~20世紀初頭のパリのアーケード街の名を戴いたショップ「パッサージュ」もお見逃しなく。国内外からセレクトした生活雑貨に目も心も躍ります。思えば、ラリックが目指したものは、アートと生活が結び付いた美しき日常。日々の暮らしの中に美のエッセンスをもたらしてくれるアイテムやヒントを発見できることが、この美術館に訪れる人々を魅了し続ける秘密なのかもしれません。

#02【岡田美術館】
圧巻の日本美と温泉の競演でも話題の美術館

外観
▲「箱根ホテル小涌園」のちょうど向かいに2013年10月オープン。訪れたこの日は琳派(りんぱ)展を開催中
箱根・小涌谷にある「岡田美術館」は、展示面積約5,000平方メートルという圧巻なスケールを誇る美の殿堂。ここにはなんと源泉があり、琳派の祖といわれる俵屋宗達の「風神雷神図屏風」をダイナミックに現代に甦らせた大壁画を鑑賞しながら入れる、足湯カフェがあるのも話題です。

【岡田美術館×footbath cafe】
壮大な風神・雷神を眺めながら足湯タイム

風神雷神
訪れた人をあっと驚かせる、高さ12m幅30mという巨大な風神・雷神の大壁画「風・刻(かぜ・とき)」を描いたのは、気鋭の現代日本画家福井江太郎氏。より勇壮な姿で舞う風神、雷神の姿は迫力満点。写真右手にある足湯につかりながらじっくり鑑賞できます。
足湯
▲和紅茶(400円・税込)を飲みながら、敷地内の源泉からこんこんと湧く100%源泉かけ流しの温泉に足をひたして、しばしほっこり
ソフトクリームをはじめ、おしるこ(冬場のみ)、コーヒー、静岡県産の和紅茶やぐり茶など充実のカフェメニューをいただきながら美術鑑賞できるのは、ここだけの醍醐味。足をひたせば小涌谷温泉の源泉パワーで、全身ぽかぽか。日頃の疲れも抜けていきます。

【岡田美術館×art】深海を思わせる濃藍の空間に浮かびあがる日本と東洋の美を堪能

展示
▲日本陶磁・ガラスを中心に展示する2階フロア。深い海の中を思わせる展示空間は、紺よりよりもさらに濃く、黒色に見えるほどの暗い藍色。ライティング効果も併せ展示物を幻想的に引き立てています
金屏風
▲日本絵画が展示されている3階には、金屏風が連なる絢爛たる一角が
パネル
▲液晶タッチパネルによる作品解説は、日本語のほか英語、中国語、韓国語に対応。ほか子供向けプログラムも
テーマごとに展示物が異なる5フロアから成る美術館内部は、その広さも、展示数の多さも箱根トップクラス。わざわざここを目当てに都心から足を運ぶ人もいるというのも納得です。日本と東洋の陶磁器や絵画、土偶や埴輪、仏像や蒔絵など膨大なコレクションの中から、常時約350点を展示。深い海を思わせる空間を回遊しながら、ひときわ色彩艶やかに、どこか幻想味を帯びて浮かびあがる美を、じっくりと鑑賞することが叶います。

【岡田美術館×break time】
庭園一望の「開化亭」で食事&コーヒーブレイク

食事や休憩には、昭和初期の日本家屋を改装した「開化亭」へ。昔ながらの古ガラスの窓一面に映るのは、四季の自然林と、滝や池が織り成す水景。晴れた日は、池を臨めるウッドデッキでお茶もいただける、情趣あふれるスポットです。
カウンター
▲15,000平方メートルという庭園に面して建つ「開化亭」。鯉が泳ぐ池に浮かぶような設計にも風情が漂う
お茶
▲小豆のブラウニーとコーヒーのセット(1,300円・税込)。葉山の名店「杢のはな」から毎日届く甘味と、箱根山の伏流水を使ったコーヒーのマリアージュは絶品
座敷
▲しっとり落ち着いた堀座敷の席も。なんと四季折々の庭の風景をそのまま日本画のように見立てた、床の間の仕掛けもお見事です
うどん
▲岡田美術館名物の「豆アジ天うどん」小鉢・温泉卵付(2,200円・税込)
時間に余裕があれば、周囲に広がる庭園をゆっくり散策するのもおすすめ。入園料が別途300円(税込)ほどかかりますが、渓流散策コースなどもあり見所たっぷりです。

【岡田美術館×museum shop】
ミュージアムショップでお土産ハンティング

「美術館の感動を日常でも楽しめる」をコンセプトとしたオリジナルグッズが揃うミュージアムショップもぜひのぞいてみて。今回は、尾形光琳の「菊図屏風」のブックカバーや、重要文化財指定の尾形乾山作「色絵竜田川文透彫反鉢」のデザインをモチーフにしたしおりなど、琳派関連グッズを選んでみました。
ほかにも人気なのが、岡田美術館専属ショコラティエ・三浦直樹氏が作る、芸術的なショコラセレクション。和の美意識が薫るショコラを目当てに訪れるリピーターも多いそうです。
おみやげ
▲手前左から時計回りにポチ袋セット(648円)、ブックカバー(1,080円)、香入りしおり(400円)。いずれも収蔵品が美しくプリントされたオリジナルグッズ※すべて税込
ひとりでぶらりでも、親子やカップルで仲良く訪れても、食事もお茶もお買い物もハイレベルで愉しめる箱根の美術館。日常を忘れて美を見つめ、おいしさを堪能し、自然の移ろいを感じる一日は心に残る素敵な思い出に。ゆっくり五感を解き放つひとときを過ごしに、ぜひ足を運んでみませんか。
ゴトウヤスコ

ゴトウヤスコ

ホテル、レストラン、神社、婚礼、旅、食、暦&歳時記、ものづくりなどの広告コピー、雑誌記事、インタビュー記事などを多数執筆し、言葉で人と人をつなぎ、心に響くものごとを伝える。旅は、基本一人旅好き。温泉、パワースポット、絶景、おいしいものがあるところなら、好奇心がおもむくままどこへでも。得意技は、手土産&グルメハンティング。最近は伝統.芸能、日本刀、蓄音機など和文化への興味を深堀中。読書会なども開催。(制作会社CLINK:クリンク)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP