秋の気配を感じる北志賀高原で味わう「山の実」の絶品蕎麦
蕎麦処として知られる長野県の山村地域では、昼夜の寒暖の差が大きく、平地が少ないなどの理由から稲作が不向きな地域があり、代わりに蕎麦や小麦などの穀物が栽培がされてきました。かつては各家庭でもお母さんが蕎麦を打つなど、昔から長野県の郷土食として親しまれています。

美味しい蕎麦を求めて模索した日々
「山の実」は、スキーシーズン以外の春から秋の週末のみ店を開いて、蕎麦を提供しています。店の前には豊かな自然が広がり、車から降り立った瞬間に空気が違う!と感じる、何とも気持ちがいい場所です。

「富山県は米文化だったので、蕎麦になじみが無かったんです。そのせいか、最初は蕎麦を美味しいとあまり思えなかったんです」
そういった背景から本当に美味しい蕎麦とはどういうものかが気になり、いろんな店を訪ねる中で出合ったのが「ふじおか」(長野県長野市上ケ屋)の蕎麦でした。木の実のような初めて出合う味わいや、噛むごとに広がる甘みと香りに感動し、「自分もこんな蕎麦を作りたい!」と勉強し始めるように。
哲さんが蕎麦作りで一番こだわったのは、蕎麦の実の鮮度でした。11月に収穫した蕎麦の実は、皮がついたままの玄蕎麦を真空にして冷蔵庫で保管し、使う分だけを毎朝自家製粉。そうすることで蕎麦本来の香りを逃がさずに保管できます。
「蕎麦は素材がとてもシンプルです。蕎麦粉の鮮度をいかに保つのか工夫をすることのほかに、志賀高原の山からの恵みともいえる水の美味しさが重要なんです。毎朝蕎麦の実を挽く時のフィーリングを大切に、太さや茹で加減を調節します」
数土さん夫婦は、見た目のやわらかな雰囲気から想像できないほど、蕎麦に向かう姿勢はストイックです。
「同じ日が1日も無いように、蕎麦も毎日変化します。遠方からわざわざ訪れてくださるお客様のために、いつでも最高のパフォーマンスをしたい。蕎麦と向き合う時は、今でも緊張しますね」
長野県の大地の豊かさを感じる蕎麦

爽やかな黄緑色をした「手挽きそばがき」は、初めて食べる人もいるのではないでしょうか? 「そばがき」は、十割の蕎麦粉と水のみを練って団子状にしたものです。山の実の「そばがき」は、弾力性のあるもっちりとした食感の中に、粗挽きの蕎麦粉がアクセントとして際立っています。岩塩を少し付けて味わえば、甘みが増して見た目の素朴さからは想像できないほど深い味わいです。



石臼挽き蕎麦香房 山の実
長野県下高井郡山ノ内町北志賀高原竜王高原
[営業]5~11月の土・日曜日、祝日11:30~14:30
[定休日]月~金曜日(ただし予約をいただいた場合のみ営業)
0269-33-7577

くぼたかおり
エディター・ライター。長野県長野市の出版社でタウン情報誌、観光ガイドブックの編集者として経験を積み、2009年に独立。現在は長野県内外問わず観光関係の仕事を中心に、郷土、グルメ、暮らし、映画などさまざまなフィールドで活動する。2012年から11の事業者と「権堂パブリックスペースOPEN」という複合施設を作り、元呉服問屋の建物を改修。いかに心地よく共有し合いながら働けるのかを日々模索している。
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