水郷・佐原でお雛さまの魅力に酔いしれる!江戸情緒たっぷりの町並みも堪能

2018.02.12 更新

江戸の水運の拠点として栄えた歴史が、今も色濃く残る千葉・佐原。小江戸と呼ばれ、「江戸優(まさ)り」と言われるほどに栄えた佐原は、まるで町そのものが古き懐かしき時代を封じ込めた博物館。毎年2月上旬から3月中旬に開催される「雛めぐり」は、商家が自慢のお雛さまを蔵から出して店頭に飾り、風情ある町がひときわ華やぎます。町のあちらこちらで微笑みかけてくれるお雛さまたちに導かれ、佐原めぐりへ出発しましょう。

▲江戸、明治、昭和、平成と、様々な時代のお雛さまが、古き良き町をはんなり華やかに彩ります(写真は福新呉服店蔵/江戸時代の次郎左衛門雛)

いつ訪れても懐かしく温かい小江戸・佐原は、
重要伝統的建造物群保存地区

映画やCMなどのロケ地としても有名な千葉県香取市にある佐原(さわら)。都心から車で約2時間で行けるとあって、日帰り旅行や休日のお出かけにもピッタリな人気観光地です。
▲町の中心を走る小野川沿いや香取街道沿いに連なる昔ながらの商家。千葉県有形文化財指定の歴史建築も多数点在

水郷の町と呼ばれる佐原は、木造町家建築、蔵造りの店舗建築、洋風建築など、伝統的建造物が数多く残り、江戸情緒が感じられるエリアです。そんな古い町並みは文化庁から「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されており、見所もいっぱい。誰もが訪れた瞬間に懐かしさを感じるこの町には、江戸~昭和の繁栄期に花開いた、独自の文化と伝統が息づいているのです。
▲ザッパ船に乗ってゆったり小野川を進む「舟めぐり」も水の町ならでは

毎年2月上旬~3月中旬には、春を告げる「さわら雛めぐり」を町ぐるみで開催

1998年頃、一軒の商家の展示から始まったという「さわら雛めぐり」。今では町の偉人の足跡を伝える「伊能忠敬記念館」でも伊能家に伝わるお雛さまの展示が行われ、すっかり町ぐるみの春のイベントになっているとのこと。訪れたのは2月。小野川沿いの柳の芽吹きはまだですが、春めいた陽ざしのもと、雛たちが町を艶やかに彩っていました。
営業中のお店の軒先や店内、さらに奥にある蔵などに飾られたお雛さまたちは表情もさまざま。素朴なタイプから高貴な美女まで、すべてに幸せへの願いが込められたお雛さまは、どの子も愛らしく可憐です。
▲「植田屋荒物店」の奥に入ると、レトロな和雑貨に囲まれたお雛さまが

まずは、小野川沿いの「伊能忠敬旧宅」と
「伊能忠敬記念館」へ

寛政12(1800)年から文化13(1816)年まで足かけ17年を費やして全国を測量し、実測の日本地図を国内ではじめて作ったことで知られる伊能忠敬は、ここ佐原の大きな商家の婿養子でした。忠敬が30年余りを過ごしたという、今も現存する江戸時代に建てられた旧宅は、国指定の「史跡」。この期間は雛壇が飾られ、古い家屋に緋毛氈(ひもうせん)が鮮やかに映えます。
小野川にかかる樋橋(とよはし)を渡って「伊能忠敬記念館」へ。日本の地図作りに後半生を捧げた隠居前は、豪商の当主として商才を発揮した伊能忠敬。伊能家に伝わる江戸・明治のお雛さまは、さすが旧家の持ち物らしく気品あふれる美しさ。冠も衣装もひときわ豪奢です。
小野川にかかる樋橋は、通称ジャージャー橋と呼ばれます。ここはもともと江戸時代には、水田に送水するために造られた、小野川を横切る大きな樋(とい)だったとか。今はその役目はないものの、水が流れる風情が復元され、1日に15回、30分おきに滝のような眺めと水音を楽しめます。
▲「伊能忠敬記念館」の忠敬像。町の各所で忠敬さんに会えます
▲江戸末期・慶応3(1867)年生まれという、忠敬から5代目の子孫、こうさんの雛人形は冠もひときわ華やかでゴージャス
▲こうさんの妹さんの雛人形は明治生まれ。顔だちがよりふっくらに

佐原町並み交流館には、手作りの素朴な「下野(しもつけ)ひとがた」が

佐原観光の情報が集まる「佐原町並み交流館」。ここもいろいろなお雛さまたちで大賑わい。ほかにも、古い町並みを再現したミニチュア建造物の展示のほか、毎年夏&秋に行われる、大人形が乗った山車が連なる「佐原の大祭」の賑やかな様子も映像で見ることができました。
▲流し雛の伝統を継ぐ「下野ひとがた」の展示も。栃木県小山市の下野しぼり紙で作られた素朴なクラフト感が魅力です

“佐原まちぐるみ博物館”の1号館、千葉県有形文化財指定の老舗「福新呉服店」へ

町のあちこちで見かけるのが、「佐原まちぐるみ博物館」と書かれた木の看板。この看板がかかったお店は、生活に密着した佐原の伝統の技や文化にふれることのできる、新しい形の博物館なのだとか。現在、40軒ほどの商家が自慢のお宝や代々伝わる伝統の品などを店内で展示&公開しています。
3.11の震災後に「福新呉服店」の土蔵から発見されたという「次郎左衛門雛」。18世紀後半の江戸でもてはやされたという、価値あるお宝があるのもさすが文化元(1804)年創業の老舗です。丸顔に引目鉤鼻の面だちが、なんともやんごとない雰囲気ですね。
▲明治25(1892)年の大火直後に建築された、店蔵(たなぐら)造りの建物に飾られた古い時代のお雛さまは、どこか憂い顔
▲「次郎左衛門雛」の立ち雛も。小さなお雛さまのお道具も、一つひとつが驚くほど精巧
▲おかみさんが娘さんのために贈った現代雛。凛々しいお内裏さまは、この町きってのイケメン(!)だとか
奥には明治元(1868)年築の土蔵もある店内は、まさに代々受け継がれてきたものを敬い、いつくしむ心が息づく暮らしの博物館。江戸~平成までの各時代のお雛さまのラインナップも見事です。そして何より、8代目のおかみさんが温かい笑顔で迎えてくれ、町の歴史のこと、伝統行事のことなどを語ってくれたひとときがとびきり楽しい思い出に。
こちらで見つけたのが、江戸小紋の型で染めた色も模様もカワイイ「小江戸手ぬぐい」(各1,300円)と鏡(800円)。おかみさんが染め元に直接オーダーする逸品で、気に入った柄の浴衣のお誂えもOKだそう。※すべて税込

お菓子屋、造り酒屋、和雑貨屋など、お店を巡りながらたくさんのお雛さまに遭遇

佐原の町には、昔の暮らしや伝統のしきたりを大切に守る江戸時代創業の老舗がたくさん。散策すると、いろんな商店があり、それぞれの家の歴史を物語るお雛さまたちが待っていました。
▲「虎屋菓子舗」/明暦3(1657)年創業、18代続くという佐原一の老舗和菓子屋には、佐原張り子の雛人形が(写真右手前)
▲「東薫(とうくん)酒造」/造り酒屋見学ルートの一角に豪勢なお雛さまブースが。所狭しといくつもの雛壇が並ぶ様は圧巻!
▲「中村屋商店」/和小物や雑貨が売られているこの商店の建物は、安政2(1855)年築。すべての鶴が繋がっている“連鶴”も必見です
▲胡粉(ごふん)が塗られた白い肌が、ほんのり薄紅かかってとってもきれい

ランチタイムは庭園も美しい「吉庭(きってい)」でゆったり

▲「さわら雛舟」を表した船に乗ったお雛さまも店内の一角に
▲ゆっくり流れる時間と庭の眺め、食事を満喫できる店内
800坪の日本庭園を眺めながら、香取の幸を堪能できる「オーベルジュ・ド・マノワール 吉庭」へ。築150年の旧家を改装したこの店も「佐原まちぐるみ博物館」の一つです。和のエッセンス漂うインテリアも庭園も昔懐かしい雰囲気です。
ランチタイムは、松花堂弁当(1,950円・税込)やパスタコース(1,950円・税込)ほか、フレンチをベースに和洋中が競演する創作料理のコースまでありメニューも多彩です。

リアルお雛さま&お内裏さまが水上パレード!
雛めぐり期間中のメインイベント「さわら雛舟」

▲2015年のさわら雛舟のワンシーン
雛めぐり期間中のメインイベントが、2018年は3月10日(土)に開催される「さわら雛舟(ひなぶね)」と「小江戸さわら 春祭り」。雅楽の生演奏が流れるなか、平安時代の装束をまとったお雛さまとお内裏さまが小野川を舟で進む様子は、まるで絵巻物の世界。絢爛豪華な美しさを一目見ようと、毎年大勢の人達で賑わいます。
商家に伝わる歴代のお雛さまに導かれ、古い町並みをひとめぐりする佐原の旅。小江戸の町は、柳の緑がきらめきアヤメが咲くころも素敵。いつでも優しく温かく迎えてくれる笑顔に会いに、また訪れたくなる古き良き町でした。
▲虎屋菓子舗で見つけた季節の練りきり菓子(各240円・税込)、あやめサブレー(5枚入り425円・税込)、東薫酒造の吟醸酒「二人静」(300ml500円・税込)
▲人のこころの温もりを感じられる、佐原の町

※本記事は2016年の取材内容をもとに一部修正したものです
ゴトウヤスコ

ゴトウヤスコ

ホテル、レストラン、神社、婚礼、旅、食、暦&歳時記、ものづくりなどの広告コピー、雑誌記事、インタビュー記事などを多数執筆し、言葉で人と人をつなぎ、心に響くものごとを伝える。旅は、基本一人旅好き。温泉、パワースポット、絶景、おいしいものがあるところなら、好奇心がおもむくままどこへでも。得意技は、手土産&グルメハンティング。最近は伝統.芸能、日本刀、蓄音機など和文化への興味を深堀中。読書会なども開催。(制作会社CLINK:クリンク)

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