軽井沢の歴史的建造物「ハーモニーハウス」と、育まれた歴史を引き継ぐ「エロイーズカフェ」

2015.06.17 更新

軽井沢駅から車で数分、周辺にゴルフ場が点在する南ヶ丘別荘地の一角にある「ハーモニーハウス」のダイニングスペースを改修し、「エロイーズカフェ」が誕生しました。この建物にはどんな歴史があるのでしょうか。

日本の青少年に、音楽を。私財を投じて作られた「ハーモニーハウス」

宣教師であった両親とともに明治34(1901)年、日本を訪れたアメリカ人音楽教育家、エロイーズ・カニングハム。両親が軽井沢に別荘を建てたことから、毎夏訪れていたといいます。戦時中は母国アメリカへ戻って大学で音楽教育を学び、戦後再び来日して音楽教師となりました。その後(社)青少年音楽協会を創設し、数億円もの私財を投じて、青少年のための音楽ホール兼合宿施設「ハーモニーハウス」を建設。この建物を設計したのは、奈良国立博物館や八ヶ岳高原音楽堂などを手がけた建築家・吉村順三氏。軽井沢の自然にすっと馴染むようなシルエットと、すっきりと無駄のない木造建築です。しかし2013年夏、老朽化が進んでいったことで、この歴史的建造物が取り壊しの危機に瀕したのです。

「エロイーズカフェ」の誕生

「ハーモニーハウス」が壊されないようにと立ち上がったのが、「軽井沢総合研究所」です。いくつかの案からたどり着いたのが“カフェを作る”ことでした。実際にリノベーションをしていくにあたって注意したことは、吉村氏の設計の良さを生かすこと。そのためカフェスペースとなったダイニングの修繕は必要最低限にとどめ、建築美を損なわないようにしたそうです。店名はエロイーズ・カニングハムの名前から「エロイーズカフェ」とし、いずれは彼女が続けていた青少年のための音楽コンサートをこの場所で開きたいという想いがあるとのこと。また今後はシェアハウスなども始める予定で、その実現に向けて修繕費の支援も募っているそうです。

建築美と自然を楽しむ

現在「エロイーズカフェ」は朝8時から営業をしています。軽井沢エリアでモーニングの時間から営業している店は少なく、別荘族をはじめゴルフ客などが朝早くから利用しています。ウェグナーのどっしりとしたチェアーに身を委ねながら、クラシック曲に耳を傾ける。外を見れば遮るものはなく、静かな自然の風景と、そばを流れる川のせせらぎがかすかに聞こえてきます。おだやかな幸せを感じる瞬間です。
この店に訪れたら味わってほしいメニューが、「宣教師が愛したフレンチトースト」980円(税抜)です。軽井沢を有名にした宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーが伝えたといわれるレシピを再現し、イギリスパンをひと晩卵で漬け込んだフレンチトーストは、とろふわな食感! フレンチプレスで淹れた後味すっきりの丸山珈琲との相性も抜群です。ここ数年、軽井沢エリアでは店オリジナルフレンチトーストを“軽井沢トースト”と名付け、新たな軽井沢名物として盛り上がりを見せています。「エロイーズカフェ」の「宣教師が愛したフレンチトースト」をはじめ、フレンチトーストの店をはしごして食べ比べてみるのも楽しそうですね。
くぼたかおり

くぼたかおり

エディター・ライター。長野県長野市の出版社でタウン情報誌、観光ガイドブックの編集者として経験を積み、2009年に独立。現在は長野県内外問わず観光関係の仕事を中心に、郷土、グルメ、暮らし、映画などさまざまなフィールドで活動する。2012年から11の事業者と「権堂パブリックスペースOPEN」という複合施設を作り、元呉服問屋の建物を改修。いかに心地よく共有し合いながら働けるのかを日々模索している。

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