すべての人に開かれた教会。90年以上の歴史を持つ「軽井沢高原教会」

2015.06.17 更新

木立の中に佇むとんがり屋根が特徴的な軽井沢高原教会は、キリスト教思想家・内村鑑三らが集った「芸術自由教育講習会」が原点となり誕生しました。思想や宗教にとらわれない教会の魅力とは。

軽井沢高原教会のはじまり

明治19(1886)年、軽井沢を訪れたイギリス人宣教師アレキサンダー・クロフト・ショー。彼がこの地に別荘を建てたのを機に、その魅力を聞いた宣教師仲間などの外国人が訪れるようになり、避暑地軽井沢としての歴史が始まりました。以降、キリスト教が根付き、信仰が育まれていきました。
「軽井沢高原教会」は、大正10(1921)年に材木小屋で始まった「芸術自由教育講習会」が原点となり誕生した教会です。当時はキリスト教思想家である内村鑑三をはじめ、詩人の北原白秋、小説家の島崎藤村ら文化人が集い、語り、学ぶ場でした。その中から生まれたのが「遊ぶことも善なり、遊びもまた学びなり」という理念です。その後内村はこの場所を「星野遊学堂」と名づけ、思想・宗教にとらわれず、心から交流し合える布教の場にしていきました。

星野遊学堂の理念を引き継ぐ

第二次世界大戦後、「星野遊学堂」から「軽井沢高原教会」に改名をしました。それでも原点である「星野遊学堂」の木の看板は、今も変わらず建物の正面に掲げられています。建物自体は何度か改修を重ねていますが、地上から屋根へ向かって三角形となっている建物は、教会としては初めてだったとか。教会の中は、やわらかな光が差し込み、正面の三角窓から四季折々の自然が見えます。木のぬくもりも相まって、とても柔らかな印象です。
軽井沢といえば、“避暑地”以外に“リゾートウェディング”の人気スポットとしても知られています。この教会では昭和49(1974)年、軽井沢で初めてキリスト教信者以外の挙式を受け入れました。以降たくさんのカップルがこの教会で挙式をしていますが、キリスト教信者以外も快く受け入れる姿勢は、星野遊学堂の理念がしっかり受け継がれている証といえるでしょう。
また教会に隣接する「牧師館」では、日本人の牧師が訪れる人を迎えてくれます。結婚したカップルの中には、出産、子どもの入学などさまざまな節目に報告や相談をしに訪れる人も多いそうです。館内には教会で挙式をした人たちの写真がたくさん飾られ、第2の故郷のようにこの場所を大切にしている様子をうかがい知ることができます。

教会行事で訪れるきっかけを

軽井沢高原教会では、毎週日曜日の午後1時30分から、ゴスペル礼拝を行っています。そのほかにもゴスペルの第一人者・亀淵友香さんとThe Voices of Japanを招く「ゴスペルコンサート」や、かつて夏の夜に宣教師たちが灯したランタンにちなんで始められた「サマーキャンドルナイト」、クリスマスにはイルミネーションやハンドベルコンサートなどが楽しめます。1年を通じて開催されるさまざまな教会行事は、普段は教会と縁が無いという人にも、訪れるきっかけになります。慌ただしい生活から少し離れ、自然の中に身を置き、教会で自分の心と向き合う。そんな時間こそ、旅には必要ではないでしょうか。
くぼたかおり

くぼたかおり

エディター・ライター。長野県長野市の出版社でタウン情報誌、観光ガイドブックの編集者として経験を積み、2009年に独立。現在は長野県内外問わず観光関係の仕事を中心に、郷土、グルメ、暮らし、映画などさまざまなフィールドで活動する。2012年から11の事業者と「権堂パブリックスペースOPEN」という複合施設を作り、元呉服問屋の建物を改修。いかに心地よく共有し合いながら働けるのかを日々模索している。

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