日光名物の「湯波」を手頃なランチ懐石で味わう。デザートには人気のパリパリ湯波まんじゅうを

2016.05.16 更新

栃木県日光市の名物である「湯波(ゆば)」は、栄養価が高く、保存もしやすいため重宝される食材。栃木県は昔から大豆を加工する料理が多く、特に「湯波」は輪王寺を中心とした修行僧たちの精進料理として食され、発展してきた歴史があり、今では栃木を代表する郷土料理となっています。今回はそんな「湯波」を手軽に楽しめる2軒を訪ねました。

京都名物としても有名な「ゆば」ですが、京都では「湯葉」と書くのに対し、日光では「湯波」と表記します。作り方にほとんど違いはないのですが、最後にゆばを引き上げる際に、日光では膜を二つ折りして引き上げることにより、平たい京都の湯葉に比べて、丸くボリュームがでるのが特徴。
そんな日光の湯波を使った懐石料理を手軽に楽しめるお店があるんです。

しっとり落ち着きある小さなお店で
名物湯波をいただきます

日光東照宮や二荒山神社から東武日光駅に向かう国道119号には、多くのお店が並んでいます。おしゃれなカフェや、古い食器屋さん、土産屋さん、酒屋さん、小さな旅館などが軒を連ねている通りを、駅まで歩いてみるのも楽しい時間です。
その並びにひっそりと佇む、湯波料理がおいしいと評判の「fudan懐石 和み茶屋」に立ち寄ってみました。
▲古い建物を生かしたレトロな雰囲気ある外観。小さな看板を見逃さないようにご注意
看板の横に隠れるようにあるのれんをくぐり、趣ある扉を引くとそこは、若いオーナー夫妻が営む小さな茶屋。椅子席とお座敷席を合わせると24席ほどはあるのですが、こじんまりとした空間はなんともいえない心地よさです。
「観光で日光に来る方に、本当においしい湯波を味わってほしい」と、日光市内の老舗湯波屋2店からのみ仕入れを行い、手軽な懐石ランチを提供しています。
▲もとは薬屋さんだったという建物をリノベーションしたそう。通りから差し込む光が心地よい空間
▲店内のガラスや扉、家具はすべてオーナー夫妻がセレクト。優しい木のぬくもりあるテーブルはオーナーのお父様の手作り
オーダーできるランチは「ゆば懐石ランチ(2,700円・税込)」と「懐石ランチ(1,620円・税込)」の2種類。本日は「ゆば懐石ランチ」を頼みました。先付、前菜、酢の物、煮物、揚げ物、飯椀、汁椀、甘味と一品ずつ順に運ばれてくるので、自分のペースで食べられるのも嬉しいところ。
値段の手軽な「懐石ランチ」は先付「引き上げ湯波」と、煮物「揚巻き湯波」の代わりに「ごま豆腐」が付きます。お腹の具合に合わせて頼みたいところですが、せっかく訪れるなら「ゆば懐石ランチ」がおすすめです。
▲先付 引き上げ湯波
▲しょうが醤油でいただきます
この「引き上げ湯波」は日光だからこそ味わえる貴重な生湯波。添加物を一切使わずに手作りしているので、賞味期限が短いのです。特にこちらで提供しているのは厳選された国産大豆と日光の水にこだわる老舗「海老屋長造」のもの。深い甘みのある湯波なので、シンプルなしょうが醤油でいただくのがもっとも美味!
▲前菜 5種の品が並びます。季節によって少しずつ内容も変わります
5品並んだ前菜のまた美しいこと!写真左から春キャベツのお浸し、菜の花の黄身酢和え、定番の優しい甘さが引き立つ出汁巻き卵、焼きしいたけと春野菜、そしてクラッカー。
クラッカーのディップはクリームチーズとわさび漬を和えたもので、これがまた地ビール「日光路麦酒」(620円・税込)に合います!まさに大人の味。
ゆっくりと丁寧に作られた料理を口に運ぶ幸せな時間。5品それぞれの個性が引き立つ前菜です。

湯波料理に定評あるお店の
味を引き立てる器への想い

▲酢の物 しっとりとした器に色鮮やかな食材が映えます
「酢の物」にはサラダ仕立ての色鮮やかな一品が運ばれてきました。わさび菜の濃い緑色の上で眠るのは、黄色と赤のパプリカ、そして炙ったホタルイカの沖漬とホタテたち。
女子であればきゅん、とくる色合いです。
桜のかたちのニンジンがはらりとのって…それらと加減酢を混ぜ合わせていただきます。更に焼き色のついた油あげが、食べた時のいいアクセントになっています。

このあたりでふと気が付く。
周りで食事をされている人たちと器が全部微妙に違うのです。オーナーにお聞きしたところ「1人1人、それぞれ違うものを使っています。大きさは同じでも色合いや形が違うものなどを揃えてます」とのこと。どうやら4人でくれば、同じお料理を4人全員違う食器で提供するのだとか。
確かに器は料理を引き立てるキャンバスのようなもの。食べることを楽しみながら、目でも器を味わえます。
▲煮物 揚巻き湯波
そして特筆すべきは煮物で出される「揚巻き湯波」。
「揚巻き湯波」とは、生湯波を重ねて棒状に巻いたものを輪切りにして揚げたもの。日光市内のお土産屋さんで売られていたり、旅館などの夕食でも料理されていたりするのをよく見かける一品です。

「和み茶屋」では揚巻き湯波をお湯で戻し、油分を適度に抜いてから煮崩れしないよう丁寧に煮込んでいきます。この料理は日光湯波の定番料理のひとつで、家庭でもお正月や大切な行事の際にはお母さんたちが作ってきたという伝統的な味です。
ライター金澤は口に入れてから「ふがっ」と叫んでしまいました(美しくなくて失礼)。
なぜならそれは、揚げた香ばしさを残したまま、予想以上にゆるく、甘く、口の中でふんわりとほどけたから。
これは、旨い。
▲揚げ物 3種
「揚げ物」は、写真の手前から新ばれいしょ揚げ、真ん中に平湯波の包み揚げ、そして奥には春らしい香りがふわり漂う、桜えびのしんじょう揚げが並んでいます。湯波と一緒に季節の野菜を様々な料理で楽しめるのがいいですよね。
▲飯椀 春にはさくらごはん
そしてご飯と汁椀が運ばれてきます。春のこの日のご飯はなんと「さくらごはん」。乾燥させた桜をすり鉢ですりつぶしたものが、そっとご飯の上にのせられています。もう、この味だけで一膳いけてしまうほど良い塩加減です。
季節によって炊き込みご飯や、黒米、赤米、豆入りやとろろ付きと様々なものが楽しめるそうです。
▲お座敷席もあります
▲地元日光出身のオーナー夫妻。だからこそ名物の本当の旨さにこだわる
観光客にも、地元の人からも愛される「和み茶屋」の味を、ぜひ手頃なランチで楽しんで。最後にはもちろん甘味までついて、日光湯波を様々な料理で堪能できますよ。
▲甘味 豆乳の杏仁とうふ(2種から選択)

東武日光駅前で愛され続ける湯波のお菓子
「揚げゆばまんじゅう」

▲昭和33(1958)年創業の「さかえや」は東武日光駅の目の前
次に紹介するのは、気軽に買えるオヤツの湯波。料理は堪能したので今度はデザートですよね。さきほど「和み茶屋」でもデザートはいただきましたが、日光に来たらもっと湯波を食べたい!
ということで東武日光駅まで戻ったライター金澤。駅前で湯気が上がるこちらのお店へ、吸い寄せられるようにふらふら…。
▲店先で「日光ゆばまんじゅう」(1個150円・税込)の湯気が上がり、この日も多くの人が立ち寄っていました。こちらも人気
「さかえや」は、日光名物の湯波を使った「揚げゆばまんじゅう」で有名。湯波だけでなく、一緒にまんじゅうの皮に練りこんであるという「豆乳」そして中の「餡」、使う「水」まで、地元・日光のもの。店先で湯気が上がる「日光ゆばまんじゅう」に湯波の衣をつけて、からりと揚げています。
▲「揚げゆばまんじゅう」1個200円(税込)を早速購入
▲セルフサービスのほうじ茶と一緒に
お店の中に座って食べられるスペースがあるので、ちょっとお邪魔しちゃいました。壁には有名人との写真やサインの他に、日光らしい縁起物などが所狭しと並べられています。
無料のお茶の他にブレンドコーヒー(150円・税込)もあります。長居したくなるような、ほっとする空間です。
ぱりっとした外側の湯波が新鮮!中の餡の甘みと、外側に振りかけられている「塩」が絶妙にきいてます!
塩は西オーストラリア奥地で採れるという、天然塩「ごえん」という名前の縁起の良い塩。塩湖にミネラル分が多量に湧き上がる時期に限定して収穫される塩だそうで、大粒の結晶がまた美しいです。
ステーキや魚料理に合わせても美味しいとのことで、100g300円(税込)で販売もしています。この塩が、湯波を揚げたパリパリ部分と融合し、旨みを引き出しているんです。
▲店先で揚げたてを買い食いできちゃうのがまた楽しい
▲テキパキとおまんじゅうを出してくれる女将さん。お土産として5個入り1,000円(税込)もあります
日光の名物である「湯波」を様々な形で楽しめる2店舗を紹介してみました。現地でしか食べられない「生湯波」や、湯波の煮物、揚げたての湯波まんじゅうなど、美味しいものがいっぱいです。日光に来たなら、世界遺産観光と共に、美味しい思い出もたっぷりどうぞ。
金澤佑樹

金澤佑樹

旅行ライター・編集者。 旅行雑誌で新潟や栃木を担当して12年の後独立。現在はLCCの機内誌tabicシリーズを制作。LCCを使って弾丸日帰り旅するのもダイスキ。4人の子どもの母でもあるため、長期は家を空けられないと言う理由もある。好きなものは、旅とビールと子どもたち。

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