路面電車にカタコト揺られ、街をぶらり歩き。「玉川 広小路本店」「マッターホーン」

2015.06.17

約38万人の人口を擁する、三河地区の中核都市・豊橋市。駅を降り、まず目に入るのは行き交う路面電車。オフィスビルが立ち並ぶ大通りを、少しレトロさを漂わせる路面電車が走る様は、最も豊橋らしさを感じさせる風景である。そんな大通りから一歩路地に入れば、世代を超えて市民に愛される老舗が多くあるのも豊橋の大きな魅力。路面電車に乗って豊橋の名所を気ままに巡りつつ、名店を訪ねる。

楽しいギミックが隠された「豊橋カレーうどん」

路面電車と並んで気になるのが、市内のあちこちで目にする「豊橋カレーうどん」と大きく書かれたのぼり旗。それを味わえる「玉川 広小路本店」でまずはお腹を満たすことに。明治42年(1909年)創業、老舗の麺処である。
「そもそも『豊橋カレーうどん』とは?」
疑問を解き明かすべく、特別に厨房をのぞかせていただくことに。
すると、器の底にご飯をちょこんと乗せ、その上にとろろをかけ始めた。ここまでは到底、「カレーうどん」を調理している風景には見えないが、釜ゆでされたうどんと、とろ~っとしたダシが器の中で合わさると、ようやく〝見慣れたカレーうどん〟が完成するのである。

「豊橋は自家製麺の店が多い全国的にも珍しい地域なんです」と教えてくれたのは3代目主人の真野善和さんと、4代目となる雄介さん。
三河地方ではダシの利いた汁に、油揚げ、花がつお、かまぼこなどをのせた「にかけうどん」が好まれているが、同店も昔からその評判店として知られ、現在も根強いファンを持つ。また、近海で揚がった魚介をはじめ、一品料理や酒の種類も豊富なので、うどんを「締め」として味わう客も多いのだという。

そして、「豊橋カレーうどん」は2010年に豊橋市内40の飲食店で発売されたご当地麺料理。ウズラの卵がトッピングとして使用されるなど、豊橋の名産品も味わうことができ、新名物として認知度が高まっていて、同店でも一、二を争う人気メニューとなっている。ちなみに、全店共通の「おもてなし」として紙エプロンが必ず提供される心配りもうれしいポイントだ。
何はともあれ、テーブルに運ばれてきた「豊橋カレーうどん」(910円・税込)を頂きます!
盛られた野菜の新鮮さが伝わってくるようで、食欲をそそる。
いざ、麺をすするとコシと程よい弾力に驚かされる。そして、カレーのスパイシーさはもちろん、カツオのダシが際立っており風味豊か。箸がどんどん進む。食べ進めたところで初めて顔を出すのが、底に潜むごはん&とろろ。カレーと絡めて味わうのがなんともおいしい。麺とご飯というダブル構成に加え、ルーも残さずに平らげてしまえるのでこの上ない満足感に浸れる。

創意工夫と、豊橋ならではの味覚が凝縮された珠玉の一杯は、「豊橋を訪れてよかったー!」と心から思わせてくれる。幸先のよい街散策のスタートである。

路面電車で近代洋風建築めぐり

お腹が満たされたところで、豊橋市内をぶらり歩くことにしよう。散策に活躍するのはもちろん路面電車。市民の足としての役割はもとより、豊橋のシンボルとしてなくてはならない存在である。
路面電車に揺られ、「市役所停留所」まで。この停留所の周辺では2つの美しい洋風建築に出会える。
まずは、停留所を降りてすぐの場所に堂々と立つ、ロマネスク様式の建築に目を奪われる。昭和6年(1931年)に建設された「豊橋市公会堂」は、半球ドームと鷲のモニュメントがシンボルで、異国の雰囲気も醸している。
国の登録有形文化財にも指定された、豊橋を代表する近代建築で、現在も現役で講演会などのイベントが催されているという。
少し奥まった場所にひっそりと立つのは「豊橋ハリストス正教会」。
大正2年(1913年)に建てられたビザンチン様式のロシア正教の教会。八角形の鐘塔など優美な姿は一見の価値あり。国の重要文化財に指定されている。内部の見学には予約が必要だ。

再び路面電車に乗り込み、終点の「赤岩口停留所」へ。車庫には出番を待つ車両を多く見ることができ、鉄道ファンならずともついつい楽しくなる。
車内でおでんを食べることができる「おでんしゃ」などのイベント電車や、ラッピング電車などユニークな車両も多く、運がよければお目に掛かれるかもしれない。

市民御用達の洋菓子店で一服

少し歩き、甘いものを食べたいところ。再び豊橋駅周辺に戻り、豊橋市民にとって「定番」の洋菓子店を訪ねることに。
40年以上の歴史を持つ「マッターホーン」で腕を振るうのは、2代目のパティシエである河合矩紹(のりつぐ)さん。
「昔はこの近くに市民病院がありまして、お見舞いにもよく利用してもらいました」。現在はその場所に児童施設があり、親子連れの利用も多いのだとか。
ショーケースには生クリームを使ったフレッシュなケーキのほか、バタークリームを使った昔ながらのケーキも並ぶ。休憩がてら併設する喫茶スペースでゆっくり堪能することとしよう。
まずはバタークリームの「ダミエ」(手前)を頂く。濃厚なチョコレートの層と、食べやすいスポンジの層の調和がすばらしい。1個190円(税込)という良心的な価格にも驚かされる。
そして店名を冠した「マッターホーン」(奥・1個250円・税込)は栗の甘露煮を生クリームに合わせた老若男女に愛される逸品。いずれの洋菓子も素朴な味わいで豊橋市民ならずともどこか懐かしさを感じるかもしれない。
そして、「さらに豊橋らしい商品があります」と河合さん。「トラムチョコレート」(850円・税込)にはお父様である先代こだわりのチョコレートに路面電車のイラストが刻まれていて、パッケージにも新旧の車両があしらわれている。この店の看板商品にふさわしいだけではなく、豊橋市民の路面電車に対する並々ならぬ愛情も感じた。
※「トラムチョコレート」は夏期は販売休止なので、詳細はご確認ください。

安田淳

安田淳

主に東海地方の旅行やグルメ、プロ野球などの記事を執筆する。名古屋生まれ名古屋育ちゆえ名古屋めしには目がなく、仕事プライベート問わず「名店」と呼ばれる店を食べ歩いている。よく出没する場所はナゴヤドームとスーパー銭湯。

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