おしゃれな京町家レストラン「epice」で、京野菜を使ったフレンチはいかが?

2016.05.22 更新

築100年を超える京町家を改装したフレンチレストラン「epice(エピス)」。町家×フレンチという異色の組み合わせと、新鮮な京野菜や近江野菜を使った料理が味わえると評判のお店です。色鮮やかな野菜に彩られた絶品コース料理を、町家の雰囲気と共に味わってきました。

エビスさんの木彫りの看板、
赤い暖簾と格子窓が目印

京都御所の東側、今出川通りから下ること数分。通りに面したお店の上には、大きな木彫りの看板が。赤い暖簾とともにマスコットのエビス様が鎮座しています。

ちなみにepiceとはフランス語でスパイスのこと。
ぴりっと効いたスパイスのように、一味違うお料理を提供したい、というオーナーシェフの想いがこもった店名だそうです。
▲格子戸を開けると、京町家らしい長屋のスペースにカウンター席が並びます。さらに奥にはテーブル席、美しい坪庭が
▲京町家ならではのこじんまりした坪庭から入る自然光がいい感じです。さらに奥には大人数用の座敷席も
▲カウンター席のテーブルは、引き出しがカトラリーケースになっている特注品。着席してすぐのサプライズです
▲カウンターの上の欄間は、彫刻師をされているシェフのお父様の作品。内装も随所に和洋折衷のこだわりが
▲グラスやお皿も、シェフ自らフランスなどに買い付けにいくそう。「ほぼ趣味の世界ですね」とシェフ

随所に見えるシェフのこだわり
旬だからこその、一期一会の一皿たち

お話を伺ったのは、オーナーシェフの井尻(いじり)さん。滋賀のレストランでシェフをされていた時に近江野菜に出会い、その美味しさにハマってしまったそう。
「朝採れや土がついたままの、田舎の人が食べているような野菜を味わってもらう」がepiceのコンセプト。土日には滋賀や京都の野菜直売所などをまわり、新鮮な食材探しに奔走しているそうです。

旬の野菜をいかに美味しく味わえるかを追求しているため、固定のメニューはなく、月替わりのコース料理のみ。その料理内容も仕入れなどによって変わるというから、まさに一期一会のフレンチなのです。

というわけで、早速頂きました、季節の野菜のフルコース。一皿ごとに感動を覚える美しいお皿の数々、とくとご覧あれ。
まずは「アミューズ(前菜)」で、ウニのムース(上)、ハモンセラーノ&フルーツ(中)、青海苔の揚げパン(下)。
前菜で、この箱型の器が出てきたら、まあびっくりしますよね。これは井尻さんが自ら見つけてきたもの。お店の雰囲気とあいまって、和の趣を感じる一皿です。フレンチでは珍しい青海苔を使った揚げパンも、不思議と和洋折衷な味わいで、すごくワインが飲みたくなりました。
続いての一皿が、お店のスペシャリテで、10種類の野菜やハーブを使った「野菜のテリーヌ」。できるだけたくさんの野菜を食べて欲しい、との思いから生まれた一皿です。
クールブイヨンでやさしく味付けられた野菜と、仔牛のフィレ肉や魚介などを合わせ、層にして重ねていきます。

一口の中に、様々な野菜の旨みや滋味が凝縮し、みずみずしく口の中を潤してくれます。ほんのりと香るブイヨンの味が、野菜本来の味わいを引きたたせてくれる、まさにお店のコンセプトを体現する味わいです。

こちらの一皿は、野菜の種類こそ季節で変われど昼夜全てのコースで味わえるとのこと。ぜひ、そのお味のほどを確かめてみてください。
続いての一皿は「ホタテの軽い燻製 白蕪のピューレソースに、ビーツと山うどを添えて」。
ブナのチップをスモークマシンで燻し、出てきた煙を透明な器に入れお皿に蓋をして待つことしばし。目の前で蓋を取れば、ふわ~っと白い煙と香ばしい燻香が漂います。

演出もさることながら、素材の味を殺さぬよう、スモークフレーバーだけを移すというこだわりにも素直に感動を覚えます。
「グリーンピースのスープ 桜海老の香りをまとった泡と桜海老のチップを添えて」
ほんのり甘いグリーンピースに、桜海老風味の泡がまろやかさを加えています。桜海老のチップを細かく砕いて入れれば、香りと食感がさらに加わって、変化を楽しむことができます。
ちなみに、この器も自然石と板金で、特注で作ったものだそうです。
「桜鯛のポワレ 菊芋のピューレグリーンアスパラのソテーとスライスを添えて」

ソースは白ワインとワインビネガーで作るブールブランというフレンチのソースに、アメリケーヌソースを加えたもの。
新鮮でシャキシャキとしたアスパラの食感と、ソースのコク、さっぱりとした鯛の香ばしさが全体としてまとまった一皿です。
食べ進めるうちに、うずうずとワインが飲みたくなってきましたが、こでメインディッシュの登場です。

「仔羊のロースト ブール・コンポゼ タケノコとジャガイモのロースト添え」

ブール・コンポゼとは、直訳すると合わせバターのこと。バジル・パセリ・オレガノ・パプリカなど20種類以上のハーブとバターを合わせたソースをたっぷりと肉に塗り、じっくりとローストしたのがこの料理。
ギュギュっと凝縮した肉の旨みと、濃厚なソースが口の中でハーモニーを奏でます。付け合せの朝採れタケノコも、肉の味に負けないぐらいに味の主張をしてきます。

いよいよ、ワインの飲みたさが限界を迎えてしまい、思わずシェフに「料理に合うワイン、いただけますか?」とお願いしてしまいました。
実は、目ざとく入り口にあったワインセラーを見て「絶対ワインも美味しいに違いない」と思っていました。
読みどおり、シェフはソムリエの資格も持っていて、そのチョイスやこだわりも半端ではありませんでした。

頂いたのは、「ムーラン・ディッサン 2012」(グラス 税別900円)。
口当たりが柔らかく、スイスイっと染みていくイメージ。肉や脂の旨みを包み込み、爽やかに流していきます。グラスに満ちた芳香が鼻の奥をくすぐります。

嗚呼、美味しい…。
もはや仕事ということを忘れてしまいそうです。
気を取り直して、締めのデザート2連発。

「5種類の柑橘 貴腐ワインのジュレがけ」
メロゴールド、ピンクグレープフルーツなど5種類の柑橘がかもし出す複雑な酸味と甘みに貴腐ワインの深みが加わり、隠し味のペリエがシュワっと弾ける、なんとも贅沢なお口直しです。
例えるならば「大人のフルーツポンチ」。
爽やかで美味しいです。
最後は「桜のムースとアイスクリーム」
桜の香りとほんのり塩気が、なんとも春らしい一皿。パリパリのフランボワーズのチュイール(飴細工)の食感もいい感じです。
全8皿に、オリジナルのパンとコーヒーがついて税別4,900円。

ついつい仕事を忘れて長居をしてしまうほどの満足度。
ぜひ、プライベートでも訪れたいと思うクオリティでした。

大切な人との豊かな時間を過ごすなら、おススメのお店です。
妙加谷 修久

妙加谷 修久

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。ここ京都を中心に、知っているようで知らない「日本のイイトコロ」を紹介します。日本酒好きが高じて利き酒師の資格を取得しました。

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