桜山で老舗店の心意気にふれる。「ブルーデル」「芳乃家」

2015.06.17 更新

周辺には名古屋市立大学や各種学校などが建ち、名古屋きっての文教地区である桜山。かつては市電が行き交う交通の要衝であり、一大繁華街であった。一歩路地に入れば、味のある酒場が軒を連ねる「ボンボンセンター」など往時の面影が残る場所があり、散策が楽しい。そして、現在も絶えず愛され続ける実力派の名店も点在する、知られざるグルメエリアでもあるのだ。

桜山で愛されるドイツパン。

まず、この地域で古くから愛されている店といって浮かぶのが、パンと洋生菓子で評判の「ブルーデル」。昭和48年(1973年)の創業とその歴史は長い。
この日訪れたのはちょうど夕食前の時刻であったが、パンなどを買い求め、ひっきりなしに客が訪れていた。皆、お目当てのパンがある様子で、予約した品を引き取っていく客も多い。
店に置かれているパンは噛みごたえがあるドイツパンが主体。
適度に塩が効いたザルツプレッツェル(120円・税別)は、ワインはもちろんビールとも合わせて味わいたい逸品。心なしか男性客の比率が高いのにも頷ける。
特別に店頭で様々なパンを試食させてもらったのだが、ほかの料理の味を引き立ててくれる味わいが特長で、毎日でも食卓にあげたくなるパンが多い。
例えば、人気商品のブリオッシュ。卵とバターがふんだんに使われているが、重たさよりもやさしい味わいが際立っており、次から次へと口に運びたくなる。

そして、試食させていただいた中でも、筆者が特に気に入ったのは、いちじく入りのライブレット(290円・税別)。セミドライの状態にしたいちじくの果実感と、甘さの裏にある独特の苦味がライ麦ベースのパンにマッチしている。運よく店頭にあればぜひ試してほしい。
本場の味を頑なに守り続ける、名古屋最古にして希少なドイツパンの店。すぐ目前の名古屋市立大学病院にドイツから赴任する医師や、ドイツにゆかりのある教授からも贔屓にされているのだとか。

魅惑の「幅広系」きしめんを堪能あれ。

次に訪れたのは昭和30年(1955年)に創業し、半世紀以上に渡りこの町の住民に親しまれている「芳乃家(よしのや)」。昔ながらの麺類食堂といった趣の店内の壁にはメニューがずらり、うどんやそば、中華そばなどフルラインナップでついつい目移りしてしまいそうだが、ぜひとも味わって欲しいのがきしめん(500円・税込)である。
厨房を見せてもらうと幅2.5cm(!)はあろうかという幅広い麺が湯がかれていく光景に驚かされる。一般的なきしめんと比べると2倍ほどはあるだろうか。そのインパクトたるや絶大である。
麺を箸で持ち上げてみると改めてその幅広さに圧倒される。なにはともあれ、そのまま口に運ぶと、意外にもスムースにすすることができる。麺のモチモチっという食感をしばらく楽しんだ後は、するっと喉を通って行くイメージで、ヤミツキになりそうな新食感である。
ダシはムロ、サバ、カツオを伝統的なたまり醤油に合わせたものを使用し、程よく濃い目で少し甘みも感じさせる。この旨みが時間を経るにつれて、幅広麺に染み込んでいくので、味の変化を楽しみながら、最後までおいしく平らげられる。

桜山を代表する老舗店の味に触れることができ、大満足のまま店を後にした。
安田淳

安田淳

主に東海地方の旅行やグルメ、プロ野球などの記事を執筆する。名古屋生まれ名古屋育ちゆえ名古屋めしには目がなく、仕事プライベート問わず「名店」と呼ばれる店を食べ歩いている。よく出没する場所はナゴヤドームとスーパー銭湯。

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