B級名古屋グルメ代表「あんかけスパ」発祥の店「そ~れ」

2015.06.17 更新

数ある名古屋グルメの中でもB級グルメ感が強い「あんかけスパゲティー」(通称「あんかけスパ」)。ひつまぶしや味噌カツが一度経験すれば恋に落ちやすい、ある意味分かりやすい名古屋グルメであるのに対し、この「あんかけスパ」はビジュアル的にも味的にも少々ハードルが高めと言えるだろう。ただし、「あの味はなんなんだ…」と二度三度挑戦していくうちに、このメニューの虜になる人が多いのもまた事実。筆者自身、元々「あんかけスパ」好きではあったものの、「そ~れ」現店主の金岡晃弘さんにお話をうかがい、この元祖B級名古屋グルメの起源や味の秘密を理解していくにつれ、さらに恋する気持ちが深まった。

麺、ソース、トッピングの具材など全てが独特!

この「あんかけスパ」、BどころかA級以上の魅力を持つソウルフルなメニューなのだ!
茶色くとろみのあるソースの上に“いかにもこってり”な感じを強調するツヤツヤ光り輝く極太麺がドーン! パンチのあるこの見た目からも想像できる通り、「あんかけスパ」は味にも強烈なインパクトがある。
胡椒の辛みが効いたソースを麺に絡みつかせて口に運ぶたび、その濃厚な味わいがたちまち胃袋と心を満たしていく。

まず麺。ほとんどの「あんかけスパ」の店が使っているそうだが、「そ~れ」の場合も直径2.2mmという太い麺を使い、サラダ油を混ぜたラードで炒める。その麺と組み合わせられるソースは、玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ、牛の粗挽き肉、そしてトマトピューレを煮込んだものがベース。
そうしてできた「ミソ」に塩、胡椒、味の素を調合し、麺と絡みやすくし、また、冷めにくさにもひと役買うデンプンも加えて完成するこのソースは、時代が求める味に合わせ、少しずつ調味料の割合がアレンジされ、現在の調合へと変遷してきた。
「あんかけスパの定番」と言えば、ウインナーやハムをトッピングした「ミラネーゼ」、玉ねぎやピーマン、生トマトなどの野菜をトッピングした「カントリー」、そして「ミラネーゼ」と「カントリー」の良いところ取りをした「ミラカン」など。
ほかにも玉子系、野菜系、魚介系、スタミナ系(肉)など、トッピングは種々あり、「そ~れ」の場合はウインナーとゆで卵をトッピングした、その名も「そ~れ」(一番上の写真/650円・税込)が看板メニューなのだが、ウインナーに関してはどの店も総じて「赤ウインナー」を使っている。
「『あんかけスパ』が完成した当時はウインナーと言えば赤ウインナーしかなかったんじゃないですか!?」と金岡さん。この「赤ウインナーを使う」という部分もB級グルメ感を加速させている。

「あんかけスパ」の〝元祖〟と〝発祥〟

「そ~れ」の創業は昭和36年(1961年)。親戚関係にあった二人が共同経営者として店を立ち上げ、一人が現在まで続く濃厚ソースを生み出した。
翌々年(昭和38年)にその人が独立して「ヨコイ」をオープン、もう一人が「そ~れ」を守った。だから、「あんかけスパの元祖」と言えば「ヨコイ」、「あんかけスパ発祥の店」と言えば「そ~れ」ということになる。
その後、現在の店主である金岡さん(写真)の父上が店を引き継ぎ、さらに金岡さんが3代目として伝統の味を守っている。
「あ、ここ、ここ!」と入ってくるお客が多いことからも分かる通り、「そ~れ」を「あんかけスパ」の“聖地”のように崇める他県の人も多い。一方、お昼時になると近くのサラリーマンがこの味を求めて列を作る。名古屋には「そ~れ派」や「ヨコイ派」など、店ごとに絶大なファンがいるそうだ。

創業当時の味を再現した「クラシック」

現在、「そ~れ」で注目を集めているのが「クラシック」。これは目の粗いこし網を使って胡椒の旨みをふんだんに溶け込ませたソースのこと。
代々受け継がれてきたソースのレシピが書かれたノートを改めて見直した際、「今の作り方とは随分違うなぁ」と金岡さんが感じたことが「クラシック」復刻のきっかけとなった。時はちょうど創業50周年を迎える直前。金岡さんは「創業当時の味を再現して記念メニューにしよう!」とひらめいた。
胡椒がたくさん入っているため、定番ソース(上の写真・手前)以上にパンチがあり、さらに甘みも感じられるクラシックソース(同・奥)は1カ月の期間限定で出す予定だった。
しかし、「美味しい!」「懐かしい!」「定番にしてほしい!」といった要望が多く寄せられただけでなく、創業当時の味を知る年配のお客からは「おいおい、『そ~れ』と言えばこの味じゃないのか!」とお叱りを受けたことから、金岡さんは正式に復刻することを決心。今ではほとんどのメニューでこのソースを注文できる。
食べやすいのは定番ソースだが、初めて「あんかけスパ」を食べるという人は「クラシックソース」で「あんかけスパ」本来の味を楽しんでいただきたい。
加賀啓伺

加賀啓伺

一般情報誌をはじめ、自動車雑誌、旅行雑誌など、なんでもこなす雑食ライター。今まで一番ヘビーだったのはある夏、朝から晩までスーパー銭湯を何軒も取材した翌日に鈴鹿8時間耐久レースを取材したこと。日々の癒しは取材の合間のカフェ巡りと愛犬コーギーの散歩。

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