夏の風物詩認定!老舗「赤福」のこだわりがつまった赤福氷。

2015.06.18

三重県で一番有名な和菓子と言ってもいいのが赤福餅。伊勢神宮・内宮からほど近いおはらい町に本店をもつ、創業1707年の老舗和菓子屋「赤福」の言わずと知れた看板メニューです。江戸時代前半、お伊勢参りの旅人をあんころ餅でもてなしたのがはじまりとされており、300年以上時を経た今でも、伊勢みやげの定番中の定番として、多くの人に愛されています。そんな名店「赤福」には、「これを食べなきゃ夏が来ない!」と言わしめる夏季限定メニューがあります。それが「赤福氷」。老舗のこだわりがつまった夏の甘味は、ひと味もふた味も違います。

赤福氷ののれん

もはや説明不要の銘菓。伊勢といえばやっぱり赤福

まず訪れたのは「赤福本店」。ひときわ目を引く大きな看板には、「赤福 宝永四年 創業」の文字。明治10年(1877年)に建てられたという今の建物は、貫禄と気品に満ちあふれています。
赤福本店
▲「赤福本店」。店内の縁側では、裏手を流れる五十鈴川(いすずがわ)の景色も楽しめる。

お店のなかも老舗の風格たっぷり。朱色の大きな竈から、もくもくと白い湯気を立ちのぼらせながら、店員さんが急須にお湯を注いでいます。
赤福本店内の大竃
まずは、名物の赤福餅をいただくことに。小さな小皿に行儀よく並べられている3つの赤福餅。艶のある赤い小豆色の餡は、3本の筋がなんともきれいです。これは五十鈴川の清流を表していると言われています。
伊勢名物の赤福餅
さっそくひとくち。舌触りのよいこしあんは、とてもきめ細かく、スーっと口の中でとけていきます。しっかり甘いのに、それでいてまったくくどくない。「そうそう、これこれ」とひとりでうなずいてしまいます。
なかのお餅は、やわらかいのに弾力があって存在感抜群。もち米のしっかりした味わいがあります。
「材料の状態は毎日変わりますから、例えば水の配分なども、それに合わせて職人が見極めています」
変わらない「赤福」の味を支えているのは、職人さんの熟練の技なんですね。
本店では、職人さんが作業する様子も見ることができます。
「ここでは、餅をちぎってまるめ、その餅に餡をつけて仕上げる『もちいれ』といわれる作業をしています。正確に手に取って、形よくつくる。さらにスピードも求められるので、一人前になるのに3年ぐらいはかかる奥の深い作業なんです」
赤福のもちいれの様子
▲赤福では、「もちいれ技能会」と呼ばれる競技会も催され、職人さんたちは日々さらなる技術の向上に励んでいるのだそう。

抹茶蜜と餡と餅の絶妙な組み合わせの赤福氷

赤福餅を堪能したあとは、いよいよ赤福氷。この日は近くの別店舗にて赤福氷がいただけるということで、おはらい町通りを10分ほど歩いて五十鈴川店へ。
赤福五十鈴川店の縁側
▲「赤福五十鈴川店」。広々とした店内で、座敷の縁側でもゆっくりくつろげる。

本日のお目当て、赤福氷が登場。見事なほどの盛られっぷりです。
キラキラと光が反射して、見ているだけで涼しくなってきます。
たっぷりとかけられているのは、抹茶蜜。自家製の蜜に、厳選した京都の抹茶粉末をブレンドしてつくられているそうです。
赤福氷
崩れないよう注意しながら、スプーンでひと口すくいます。
「サクッ」
口に運んだ瞬間、清涼感と同時にシャキシャキとした食感がやってきます。
「この氷は、透明で純度の高いものだけを使用しています」
氷はとても細かく削られていて、すごく上品な口当たり。細かく削るために、繁忙期には、氷削機の刃を一日に何度も交換しているとのこと。このこだわり、さすがです。
赤福氷の中には餡と餅が
崩した氷の中から姿を現したのは、餅と餡。
「この餅と餡は、赤福氷用の特製のものです。餅は冷たい氷の中でも、固くならないように、餡は氷といっしょに溶け出さないように工夫しています」
さわやかな抹茶蜜とこの特製の餡が絶妙なハーモニー。タイプの違う2つの甘みが、口の中で共鳴して、その味はドラマチックに幾通りもの表情を見せます。それを冷たい氷がさっぱりと落ち着ける。そして、シャキシャキの氷とやわらかくてもっちりとした餅が、お互いを引き立てあいながら、食感にも変化をつけています。
蜜、餡、餅、氷が、さまざまなバリエーションで舌を喜ばせてくれるので、飽きる暇がありません。1+1+1+1=4ではなく、10にも20にもなっているようです。
赤福五十鈴川店の縁側にて赤福氷
「ただの素朴なあんころ餅、ただのかき氷でございます。精一杯のおもてなしでお出しして、少しでもお客さまに喜んでいただければ…」
お店の方は謙遜しながらこう言いますが、いやいやこれが「ただの」のわけがありません。ただのあんころ餅・かき氷に、おもてなしの心と並々ならぬこだわりと情熱を注いで、「ただの」を「特別な」伊勢名物の代表格に変える。それが「赤福」流。老舗の真髄を見た思いでした。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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