毎月1日恒例。早朝の伊勢、おかげ横丁がすごい。「すし久」の朔日朝粥に長蛇の列が。

2015.06.22

伊勢には古くから「朔日(ついたち)参り」という風習があります。毎月1日、早く起きて伊勢神宮をお参りし、無事に過ぎた1カ月を感謝し、新しい月の無事を祈るというものです。これにちなんで伊勢神宮・内宮前のおかげ横丁では、老舗「赤福」が参拝帰りの方を季節の餅でもてなそうと「朔日餅」を売り出し、いつの頃からか買い求める人が前夜より列をなすようになりました。そんな方々に、伊勢女衆(いせびと)の味「すし久」では「朔日朝粥」という朝食を振る舞うことに。すると、これ目当てにまた人が集まり、こちらも毎月大盛況。朔日の朝は、まるで月に一度のお祭りのようで、夜明け前からそれはそれはたくさんの方がこの地を訪れるのです。

すし久外観

■てこね寿しで人気の名店が、朔日限定の朝粥を振る舞う。

「すし久」は、連日大変な賑わいを見せる、おかげ横丁を代表するお店のひとつ。
観光客にも好評で、なかでも「てこね寿し」が大人気。
すし久のてこね寿し
▲「すし久」のお昼の定番人気メニュー「てこね寿し」
てこね寿しとは、少し甘めの酢飯に、秘伝の醤油だれで味付けしたカツオを乗せた伊勢志摩の郷土料理。鮮度にこだわった、活きのいいカツオが自慢の逸品です。
そんな「すし久」が、「朔日参りに来られた方をもてなそう」と、早朝から店を開けて提供するのが、毎月1日限定の朝粥「朔日朝粥」。「赤福」の朔日餅と同様、四季にあわせて月ごとに変わる特別メニューです。
朔日参りをして、「赤福」で朔日餅を買う。そして「すし久」で朔日朝粥をいただく。今やこれが、地元の方はもちろん、観光客の間でも定番のコース。
開店前のすし久の行列
年に一度、この日しか食べられない究極のお粥をもとめて、早朝から大勢の人がここにやってきます。
「私は先月のえんどう粥が好き」「私は、何月の…」などと、各月のお粥を食べ比べして楽しめるのも、この朔日朝粥の魅力のひとつ。12カ月の全メニュー制覇に燃えている強者もいます。

■夜明け前より大行列。早朝から並んででも食べたいお粥。

6月1日。AM4:45。まだ夜も開けない、薄暗いおかげ横丁に、続々と人が集まってきました。「すし久」のお店の前には、開店を今か今かと待つ大勢の人々が、早くも列をなしています。
開店したすし久
店員さんの挨拶とともにカタカタと木戸が開けられて、開店。みなさん、嬉しそうな顔で店内に。
お店は、料理旅館であったころの風情ある佇まいが残っており、木のぬくもりを感じることのできる広々とした和の空間が広がっています。
すし久内観
「明治2年(1869年)の遷宮時に出た宇治橋の古材を一部使って、建てられています。これは、神宮の古材が民間に降ろされた唯一の例なんですよ」
お店の方にお話をうかがいながら、土間を上がって二階へ。
すし久2階の大広間
100人は座れそうな大広間ですが、すでにたくさんの人で満席。窓から見えるのは、夜が開けたばかりの白々とした空と、清流・五十鈴川(いすずがわ)の涼やかな流れ。じつに伊勢らしい、趣きのある風景です。
さて、本日のお目当て、朝粥が運ばれてきました。お昼時にはいろんな料理を揃えている「すし久」ですが、早朝のメニューはこの朔日朝粥のみ。
すし久の朔日朝粥
今月は、夏の風物詩・鮎を使った「鮎雑炊」です。乳白色のお粥の上には、焦げ目のついた鮎の切り身。ほのかに香ばしい香りがしてきます。
まずは、主役の鮎雑炊をひと口。
鮎雑炊
さらさらっと口の中に入ってくるお粥。思わずほっとひと息。上品な薄味で、あとからジワ~っと出汁の旨みがひろがってきます。薄くスライスされたにんじんやごぼうのシャキシャキとした食感が、いいアクセントを加えてくれます。鮎の切り身は、皮はカリッと香ばしく、そして身はホクホク。こちらもとてもあっさりしていて、わずかな塩味で最大限に鮎の旨みが引き出されています。
付け合わせには、玉子焼や酢の物、煮物の小鉢などが付いています。これらの小鉢もあなどることなかれ。ひとつひとつに伊勢女衆の味「すし久」の技とこだわりが感じられる、なんとも丁寧な味です。例えば煮物は、ナスやつみれ状の肉団子に、甘辛い醤油の味がしっかり染み込んでいて、お粥のあっさりした味とよく合います。
お客さんたちは、「朝粥って聞いてたから、もっと軽いものかと思ってたけど、すごくしっかりしてて大満足」「この上品なお出汁、さすがやわ~」などと、みなさん満足げ。

早朝から並んででも食べたい「すし久」の朝ごはん。
「すし久」のおもてなしの心がつまった朔日朝粥は、体にも心にもやさしい最高の朝食になるはずです。
朔日参りに朔日餅。そして、趣ある「すし久」のお座敷で、五十鈴川の景色を眺めながら、朔日朝粥に舌鼓を打つ。伊勢の風情を満喫できる「朔日参り」の旅、ぜひ一度ご体験を。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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