煎茶道の聖地で宇治茶の奥深さを知る。「椿堂茶舗」
東京ほか他府県に住むゲストから度々、「京都でお茶を楽しみたい」とリクエストされます。美味しいお茶や抹茶スイーツは、京都市内の各地で楽しめるけれど、時間があれば私は宇治へ案内します。宇治には煎茶道の聖地として知られる黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)があり、煎茶道の開祖も黄檗宗を開いた隠元隆き(いんげん りゅうき。きはおうへんに奇)とされているため、全国煎茶道大会もここで開かれます。茶道とはまた違った煎茶の世界を「椿堂茶舗」で堪能するのも面白いものです。

商店街で宇治茶を味わう&学ぶ

「椿堂茶舗」は明治12年(1879年)に創業した茶商で、大本山東福寺、伏見稲荷大社など社寺御用達でもあります。「6月からは、土日のみ伏見稲荷大社内でお茶をお出ししています。場所は元宮司官舎で、ちょっと面白いので来てみてください」とのお誘い。これまた楽しそうなので、ぜひどうぞ。


今日は「宇治茶初心者でも楽しめるものを」というリクエストに応じて、用意してくださったのが、宇治茶「雲華(うんげ)」のセット800円(菓子付き・税別)。「椿堂茶舗」を代表する人気のお茶です。
でも飲む前に、まずは出てくる道具をゆっくりご堪能あれ。中には「これ、欲しい!」と思う愛らしいものが。これもまた、煎茶の世界の楽しみの一つなのです。

「ちなみにね、仙媒は茶葉を計って急須へ入れる道具ですけど、この名前の由来をご存知ですか?仙人の世界へ媒介するという意味なんですよ」おお、それまた面白い。お茶は仙人の世界へ誘う秘薬という意味かも。

「自宅で淹れるなら、湯温は約70度前後といわれていますよね。簡単にいえば、高い温度で淹れると、苦味が出やすい。でもお茶は嗜好品ですから、いろいろな温度で淹れてみて、自分の好きな味を探すのも一興です」

「ほうじ茶みたいに長く火入れをするんじゃなくて、釜でさっとだけ炒ることで、香りを際立たせるんです。白っぽく見えることを、白摺れ(しろずれ)、なんて言いますね」

「でもね、宇治茶も煎茶道の作法で味わうと、また違うんですよ」と武村さん。では、それをまた体験するため、茶房の二階で行われる煎茶道教室へ。

「店や骨董市で、常に道具を探しているんです。この中では、この涼炉(りょうろ)が特に古いかな、200年くらい経ってます」

「しかも、この小さな急須で5人分を淹れるんです。だからギュッと味が凝縮された、滴りのようなお茶を味わうんですよ。普段、茶房で飲むものより、もっとワイルドな味といったらいいかな」そんな違いも楽しめる、煎茶道教室もおすすめ(要予約)。



宇治の旅は、そんなきっかけを与えてくれます。
椿堂茶舗
京都市伏見区深草北新町635
[営業時間]10:00~18:00(茶房竹聲11:00~16:30)
[定休日]日曜・祝日
煎茶道教室の体験見学は要予約(2,000円)
075-644-1231

内藤恭子
編集者・ライター。京都出身。関西や東京の京都特集で取材・執筆を20年以上担当している。事務所である祖母の町家で土壁を塗り、モザイクタイルを貼りながらリノベーションしつつ、取材に出かける日々。著書に『竹中木版 竹笹堂 紙と暮らす京の一年』(宝島社)などがある。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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