「吉田山へは、いつも今出川通り沿いの登り口から入ります。緑に囲まれて、木々の香りを楽しみながら山頂へ。その後は、吉田神社に参拝したり、金戒光明寺にお参りしたり。ゆったりとした朝の散策は、気分をすっきりさせます。吉田神社は2月の節分の頃に賑わいますし、金戒光明寺は桜や紅葉が美しい。スニーカーで十分登れますよ。」
大人になってからも吉田山へは何度も訪れているという笹岡さんは、山頂にあるカフェがお気に入りと話す。「家族とも出かける吉田山には、『茂庵』という素敵なカフェがあります。京都のまちを一望しながらランチやお茶を楽しむひとときは、癒しの時間。家の近くにあるちょっとしたリゾートかな(笑)。このカフェから、神楽岡通りの方に下る道中も魅力的です。そもそも『茂庵』は、大正時代に創られた広大な茶苑で、今は二席だけですが以前は八席もあったそうです。その落ち着いた雰囲気を楽しんだら、続いて斜面地に建つ、昔ながらの家並みに情緒を感じます。登っているときよりも下っているときに見た風景の方が、より印象に残る気がします。
花をいける際、目の前の花に集中しすぎるとかえって花の美しさが見えなくなることがあります。そんな時は、昔のように、近くにある小高い山に登り、頭を休めるようにしています。緑に囲まれて過ごすひとときは、頭をすっきりさせてくれますし、自身を客観的に見ることができる気がします。視点を変えることで、きっと何かが見えてくる。それは、観光についてもいえることなのかもしれません。」