私の京都朝観光~京都人が勧めるとっておきの朝~ 法然院 旅館 柊家 女将 西村明美さん

西村明美さん

西村明美(AKEMI NISHIMURA)

京都市出身、柊家6代目女将。京都観光おもてなし大使、みやこ女将の会名誉会長、京都商工会議所女性会理事、国際京都学協会理事など、地域への活動参加や京都市の広報活動でも活躍中。

京の文化を大切にするのが旅館の役割
原点は我が家に帰ったようなくつろぎ

 創業約200年の歴史を誇る老舗旅館「柊家」。文化人や財界人、政治家などから愛されてきた。その一人、ノーベル賞作家・川端康成氏は寄稿文の最後に『「来者如帰」の額が目につくが、私にはそうである』と書いている。「来者如帰」とはどういう意味なのか。六代目女将の西村明美さんに聞く。
「来る者、帰るが如し。柊家にお越しになられたお客様に、まるで我が家に帰られたようにくつろいでいただきますように、という思いです。そのためには、まずお客様がどういう方なのか知らないといけない。最近は、海外の方も多くお越しになられるので言葉が通じないことがあります。でも、その方のしぐさや話し方から、ゆっくり過ごされたいのか、静かにされたいのか、京都のことを知りたいと思っていらっしゃるのかなどを察して、おもてなしをするのは京都では当たり前のこと。相手に合わせて、できるだけ気持ちを汲み取るということが大切だと思っています。
 数年前に、中国の方とお話する機会があり、今中国には、自分たちの故郷として求める文化が残っていないと話されていました。中国の文化を見習った平安京があった街だからこそ、自分たちの故郷に求める良き文化と日本の文化が相まって熟成された、京都独自の文化が感じられることは嬉しいとお話され、「来者如帰」と同様の意味を持つ「賓至如帰」という言葉を教えていただきました。賓客を迎える時は我が家に帰ったようなくつろぎをという意味で、中国では迎賓館やホテルでも使われる言葉だそうです。ゆき届いた清掃からおいしい食事、身の安全に至るまで全て万端整えて、賓客が我が家に帰ったようにお迎えする。簡単に見えてすべてが整わないと難しい。常の家に、ハイどうぞとお迎えするのではないですからね(笑)。
 朝は、食事を召し上がっていただいて、気持ちよくお帰りいただくための準備時間。お客様のためにさまざまなことを整えます。私たちももちろんしておりますが、まちなかで、門掃きや季節に応じての水まきなどの京都の日常があります。朝というのは、京都の素顔を見ることができる時間なんですね。」

法然院 法然院
法然院

心静かに過ごせる「法然院」など
お客様のリクエストに応えて紹介

 女将という仕事柄、お客様からさまざまな場面で京都の見どころを聞かれ紹介してきたという。
 西村さん曰く「静かに過ごせる京都らしいところを教えてください、と聞かれた時に思い出したのが法然院です。学生の時の通学路の近くにあったお寺でしたから、私にとっては慣れ親しんでいることもあったのかもしれません。1人で気分転換に行くには丁度良いところです。哲学の道の洗心橋から東へ坂を上り正門へ。そこから、苔むした石垣に囲まれた道を歩いて行き、山裾の木々に囲まれた静かな空間へたどりついたら、素朴で美しい山門が目の前に現れます。この門をくぐると、もう別世界で、心身を清めて浄域に入ることを意味する、水を表す白砂壇があって、池があって。緑に包まれる時期があれば、秋は紅葉、冬は雪景色。それに、春は桜と椿寺としても知られるところで、境内の椿が見ごろになる毎年4月1日~7日まで[春季伽藍内特別公開]が開催されます。
 早朝から開いているお寺は少ないので、この法然院(6~16時)か清水寺(6時~季節により異なる)をご紹介するのですが、清水さんは建物の力強さとか人の暮らしの気配を感じますでしょ。法然院さんは自然の中に人が寄り添ったという感じ。法然院に向かいながら見る山門奥の一幅の絵の様な景色が特に印象的です。
 他にも、毎朝の日課だからとジョギングされる方がいらして、そのコースをご紹介したこともあります。細かくいえば、柊家から御池通りに出ていただいて東へ。木屋町の高瀬川を北へ。一之船入を見て、二条大橋へ行き鴨川の河川敷へ下りていただいた後、丸太町通りか今出川通りまで走っていただいて京都御苑内を走り、麸屋町通りを南へ走って旅館にお戻りいただくのがとても良いですね。川辺を走るにも緑の中を走るにも朝は清々しいものです。」

西村明美さん

京都の朝を歩くことで見える
普段表からでは見えない姿

 西村さんは、朝観光について「日常の京の街の景色が見えてくると思います。例えば、私どもが朝ごはんに出しているお豆腐の店や湯葉の店でもそうですし、お寺さんもそうでしょうけど、朝の食事に間に合うように支度をしたり、門を開けたり、掃き掃除をしたりと、普段は表から見えない[陰の仕度][人の営み]ということ。また、朝の空気は、冬でも凛としていますし、夏はかえって清々しいですし。何よりも刻々と変わっていく景色の[色の移り変わり]が美しいのが朝。外に出ると気持ちが前向きに元気になる時間ですよね。」と話す。

法然院概要DATA

  • 法然院

    法然院

    075-771-2420
    京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30
    市バス南田町または浄土寺下車、徒歩5~10分
    時間/6:00~16:00

  • 柊家

    柊家

    075-221-1136
    京都市中京区麸屋町姉小路上ル中白山町
    地下鉄東西線市役所前駅から徒歩5分

西村さんおすすめの「法然院」朝観光ルート

  • 1市バス 南田町または浄土寺
  • 2法然院
  • 3哲学の道
  • 4永観堂
  • 5市バス 南禅寺永観堂道
永観堂(禅林寺)
075-761-0007
京都市左京区永観堂町48
時間/9:00~17:00(受付は~16:00)休み/無休
料金/600円
哲学の道 京都市左京区銀閣寺橋~若王子橋

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